プロジェクトが頓挫しました(カンボジア)

皆さま、こんにちは。

安希@バンコクです。

 

去年1年間は大学院に通っていたせいで、ほとんど旅ができないまま終わってしまいました。それに帰国した後もなんとなくモヤっとして調子が上がってこなかったので、とりあえず目の前の雑用を全てほっぽらかして旅立ってみることにしました。今回は3週間ちょっとしか時間がないので、近場(東南アジア)をゆる〜く回るだけになりそうですが、でもね、ゆる〜くとは言ってもね、いや〜もうねぇ、旅立ってまだ1週間とちょっとしか経ってないですけど、なんか毎日がめちゃめちゃ面白いです。カンボジアのプノンペンからスタートして、数日前にタイのバンコクに移ったわけですけど、よく考えたらカンボジアもタイもちょうど10年ぶり!だったんですね。10年ぐらい間を置いて来てみるっていうのも、まぁ〜面白いわ〜と思いまして。

 

前置きが長くなりましたが、今日は少しばかりカンボジアの話を書いてみることにします。

 

チームメイトを訪ねてプノンペンへ

 

今回、あえてプノンペンに立ち寄ったのには理由がありました。大学院で一緒にプロジェクトをやったチームメイトに会うことと、プロジェクトの進捗を確認するためです。このプロジェクトは、アントレプレナーシップの授業(スタートアップビジネスを考案するクラス)で私たちのチームが取り組んだもので、「カンボジアに新しいメディアを作る」ことが目的でした。チームメイトは、それぞれカンボジアとフィリピン出身の20代半ばの2人のジャーナリスト、それに私(日本のおばちゃん)を加えた3人。来年カンボジアで行われる国政選挙を視野に入れたプロジェクトで、大学院の宿題というより、狙いは現実にメディアを立ち上げることにありました。宿題の範囲内でプロトタイプは完成していて、資金調達もほぼ目処がつくところまでいっていたので、あとはそれをチームメイトが国へ持ち帰り、プノンペンのメディアで働く同僚2人を加えた現地メンバー3人で引き継いでいくという計画でした。ただ、私とフィリピンのチームメイトは、現場の状況がどうなっているかよくわからないままやっていたので(資料や統計から判断するしかないというか・・)、実際はどうなっているのか、それからプロジェクトはその後どうなったのか、ついでに、プノンペンにいるチームメイト(現場で引き継いでくれるメンバー)に会っておきたいということで、今回訪ねていったわけです。

 

過去20数年で最大の危機に直面中

 

現地に行って分かったことを結論から言うと、私たちのプロジェクトはほぼ頓挫しました。原因は、カンボジアの英字メディアを取り巻く状況が急激に悪化したことと、Facebookが新しい機能の実験地にカンボジアを選んでしまったことにあります。

 

そもそも私たちのプロジェクトは、カンボジアの地方に住む若者にクオリティの高いニュース、政府の息のかかっていない独立系メディアのニュースを届けることにありました。どうやるかと言うと、まず、権力に媚びない報道を続けてきた海外メディア(英字メディア)の記事を要約&翻訳して、facebookのchatbotに流す。言うなれば、ニュースのアグリゲーション、キュレーション、トランスレーションをやって、それをアクセスしやすい形に変えて配信し直すということです。と言うのも、これまで英字新聞を読んできた層というのは、都市部のインテリに限られていました。地方の一般市民にとっては、英字新聞を読んでニュースを理解し、それを自分の行動(例えば投票や社会活動)に結びつけるというのは、とてもハードルの高いことでした。それならばということで、英語をクメール語(カンボジアのマジョリティが使う言葉)に翻訳して、分かりやすいサマリーだけをとりあえず流せば、もう少し間口を広げられるんじゃないか、ということで始まったのがこのプロジェクトでした。若年層を中心にスマホの普及率が高く、特にカンボジアでは、インターネット=facebookと言われるほど、facebookの浸透率が圧倒的に高いという背景を利用して、facebook(messengerのchatbot)を使えば、ニュースに興味を持つ若者を増やせられるのではないかと考えたわけです。

 

ところが、2つの誤算がありました。

 

1つ目は、自分たちが当てにしていた英字メディア4つのうち2つが、この9月に立て続けに廃刊に追い込まれたこと。理由ははっきり分からないですが、20年以上続いてきた有力紙が、このタイミング(来年の選挙に向けて、有権者登録をする時期。本日11月9日が締め切りです)に、突然2つも消えてしまった事実に、私たちも少なくはない影響を受けることになりました。チームメイト達曰く「この20数年で最大のメディア危機」が起きてしまい、私たちが配信する予定だったソースも半分になってしまって、立ち行かなくなったわけです。

 

それからもう一つは、ここへきてfacebookが新しい機能「Explore Feed」なるものを開始して、これまでとはfacebookの使い方が変わってきてしまったらしいんですね。この機能は、カンボジアやスロバキア、ボリビア?など、なんだかビミョーな地域ばかり7カ国ぐらいが選ばれて機能テストが始まったらしいんですけど、おかげで、これまで計算に入れていた機能が使えなくなって計画が狂ってしまったわけです。

 

メディアプロジェクトって難しい・・

 

2018年の選挙までに、できるだけ多様な(できれば権力の支配下にない)メディアからニュースを届けて、これから選挙に参加する若い人たちに参考にしてもらいたい、そういう思いから4月末にプロトタイプを完成させたのに、わずか数ヶ月で、こんなにも状況が変わってしまうとは・・・と驚いています。それに、このプロジェクトをやったからといって、チームメンバーに真っ当な給料が支払われるという訳でもないですから、みんなそれぞれに、自分の本業も忙しくて、一度モチベーションが落ちてくると、そこから次の手を打って挽回という方向にもいきにくい。そういう面も含めて、この手のプロジェクトの難しさを痛感することになりました。

 

ただ、一つ間違い無いのは、カンボジアの民主的な政治(一応目指してることになってるんですが)にとって、ここが踏ん張りどころだということ。ただでさえ力のない独立系メディアがさらに力を失って、選挙を軽視するムードが国全体に広がっていけば、“再び”暗い歴史を繰り返すことになるかもしれません。

 

ということで、私たちが目指したオリジナルのプロジェクトは頓挫してしまいましたが、まあ、それで全てが終わりということではなくて、またアプローチを変えながら、若年層のメディアリテラシーの向上を目指して手を打っていきたいとは思っています。私個人としては、一つのプロジェクトが立ち行かなくなったおかげ?で、他に進むべき方向が色々見えてきて、そっちの方が面白そう(そして重要)だとも感じているので、まあ、また、やれる範囲で・・ね。

 

ではでは、今日はこの辺で。しばらくはここ、東南アジアで、この地域を巡って展開されてきた覇権争いについて、あれこれと考えてみたいと思っています。帝国主義、冷戦構造、それから中米の覇権争い、もちろん巻き込まれてるのはアジアだけではないんだけれど・・。街を歩くと、いろんなものが見えてきます。

 

ではまた、ごきげんよう。

安希

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