143.贈り物 OR 試練? (バンダセリベガワン) オイルマネーに潤う、ボルネオの小さな国ブルネイ。資源があるって羨ましいな~。あっ、そうでもないかな?

アジア・パシフィック医療改革フォーラム メール会員の皆様

皆さん、こんにちは。
安希@東南アジアのちっちゃ~い国、ブルネイの首都に来ています。
移動と日中の気温上昇でバテました。体がとてもだるいです。

ところで、ブルネイというのは、マレーシアのボルネオ島の一角に埋もれかけているような、人口わずか38万人弱の小国。
東南アジア諸国中、最も存在感が無く、私自身も実はあまり興味が無かったのですが・・・。
来てしまった理由はただ一つ:
数年前にマレーシアで賭博詐欺事件に巻き込まれた際、事件現場に「ブルネイの未亡人」なるキャラクターが登場し、しかも彼女の服装と化粧がとっても変だったこと。

もちろん、賭博詐欺には、偽者のブルネイ人=マレーシアの詐欺犯が出てきただけなので、彼女が実際のブルネイ人だったわけではありません。(マレーシア人)
けれどその時思ったのです。どうして賭博詐欺の現場に出てくる女性が「ブルネイ出身」の「大金持ち」の「未亡人」だったのか。
マレーシア出身の小金持ちの夫付きの女性ではダメなの??

しかも彼女(詐欺犯)は、ブルーのピチピチの制服(軍服みたいなもの)を身にまとい、ものすごい厚化粧でした。
つまり、その時私がイメージしたブルネイとは:
大金持ちで、みんながピチピチの制服か何かを着ていて、未亡人が大金を持ってギャンブルに参加し、厚化粧で周りの男たちを翻弄し、強欲に任せて金を巻き上げる・・・、というのはつまり、人工的に作られたカジノの街?でした。

そして、数日前、フィリピンからの飛行機の中でも「搭乗しているフィリピン女性の多くが、ブルネイへ家政婦か売春として出稼ぎに行く」と聞いていました。
私の頭の中のブルネイは「ザ ラスベガス WITH ブルーの制服!」でございました。そこでブルネイがどんな国か、一度この目で見ておくことにしたわけです。

■ベガスではない

ブルネイはジャングルの中にある静かな国です。ラスベガスではありません。
ただし、バスで通ったジャングルの道沿いには、かなり大きくて豪華な家が建っていて、それぞれの家に3~4台の車が停まっていました。
だからと言って、成金風というほどのこともなく、マレーシアよりも、もう少しお金が行き渡っているかな~、という程度です。
(ところで、マレーシアのインフラ整備と住宅事情は、こちらもかなり良い。フィリピンを見た後なので、特に良い。)

街の中は、規模は大きくないですが、成金建築もありますね。
成金エリアには、ほとんど人が見当たらず、豪華絢爛のモスク周辺を歩いている時に、ふと「何処かで見たことある風景だな」と思いました。
ああ、そうだ、トルクメニスタンの首都、アシュガバードに雰囲気が似ている~、けど規模はもっと小さいけれど。

トルクメニスタンは、何もない砂漠の国ですが、天然ガスと独裁政治のおかげで、砂の上に贅沢の限りを尽くしたキンキラキンの街が出来上がっていました。
もちろん庶民が出入りする市場の辺りは、人出もありましたが、とにかく金のモスクやら政府の建物がある豪華絢爛ストリート周辺には、人は誰もいませんでした。
ブルネイも、市場や庶民系飲食店周辺には人がいるけれど、豪華絢爛ストリート(ショッピングモール周辺)はと~っても静かで、人が少ない。
ジャングルの中に切り開かれたドリームランド的な一面を見た気がします。

では、ジャングルの小さな国ブルネイに、どうしてそんなことができるかと言うと、オイルマネー(天然ガスも出るらしい)ですね。
とにかく国土は小さいけど、土の下には大量の原油=お金が埋まっている国なのです。
しかも人口が少なくて、隣国との関係も良くて資源をめぐる戦争なんかもしておらず、王族がお金を使いまくってもまだ余りある豊富な資金で、インフラも整い、社会保障もしっかりしていて、国民生活には安定と余裕があります。
そして、有り余る資金を豪華建築に使っているというのは、なんだか今度は、UAE(ドバイ)を感じさせますね。

資源の力って、やっぱりすごいのねぇ。

■アラーのおかげ?

ブルネイは、マレーシアよりも戒律の厳しい、敬虔なイスラム教国です。
従って、美味しいサテー(焼き鳥)を摘みながら、美しい夕日を眺め~、でもビールは飲めない(イスラム教はアルコール禁止)。
この国は街作りにもイスラームの影響が強く出ているな、と感じますが、そう言えば、イスラムのモスクと豊富な原油って、いつもセットになっているわねぇ。

中東の国々も、みんな原油による成金国家です。何もない不毛の地に、天然資源が湧き出してきて、突然、贅沢三昧都市が形成される。そしてその中心には、煌びやかなモスクとガラス張りの高層ビル。
ブルネイがこんなにも天然資源に恵まれた成金国家とは知らず、しかも敬虔なイスラム教国家とも知らず、「ブルネイ、お前もか・・・」って思いましたね。
こうなると、天然資源=富=アラーからの贈り物 みたいな気がしてきますね。
やっぱり仏様を崇めている程度では、資源は出てこないのかしら・・・。仏教国で、天然資源の成金国になった例なんて、聞いたことがございませんもの。

■神の試練?

天然資源は、確かに富をもたらします。要するに、労せずして地中からお金が沸いてくるわけですから、当たり前です。
けれど、この手の繁栄は、資源が切れたらそれで終わりともいえる。
産油国は、大いなる浪費の後、資源が枯渇する前に、今あるお金を別の分野へ投資して、繁栄の存続を図るべく手を打ち始めているようですが、そんなにうまくいくのだろうか、と思います。

日本を含む、資源に恵まれない貧乏くじ国は、知恵を絞り、システムを整え、熱心に勉強し、勤勉に働きまくり、新しいものを開発しながら、激しい競争にさらされて生き残ってきました。
ノウハウや物事への考え方というのは、一朝一夕で変わるものではなく、長い時間をかけて蓄積されてきた「稼ぐ力」は、失うのにも時間がかかります。
けれど産油国は、一種のバブル状態が資源の枯渇とともに終わったとき、「稼ぐ方法」をすっぱりと失うようにも思います。

そうブルネイで感じた理由は二つ:

1.王族の浪費壁のすごさ。お金を湯水のごとく使ってきた国のリーダーが、次の数十年の間に改心し、国の長期的繁栄に向けた、具体的で的確なプランを発案して実行に移せるとは思えない。
  ロンプラによれば、国王の弟の浪費額だけで一兆6000億だって~。ひえ~、マジで~。

2.インド料理屋の店主との話。

何度かお世話になった、近所のインド系の飲食店の店主と、夕飯を一緒に食べました。その時、彼はこんなことを言っていた。
この国のビジネス(資源以外の商業取引全般)を握っているのは全て中国人。あと、小売では宝石や飲食の分野でインド系が活躍している。
「それでは、地元のブルネイ人は何をしているのですか?」
「地元の人たちは、あまり働いていないね。一般庶民の平均所得なんて、せいぜい300ドル程度。だけど社会保障もあるし、国にお金があって税金がかからないので、のんびりとした暮らしは約束されている。お茶を飲んで、ぼんやりして、それが地元の人たちだ。」

インドや中国といえば、人口&国土の大国で、国内での生き残りは熾烈です。
そんな国の人たちが、国内でうだつが上がらないなら、じゃあ国外へ行って一旗あげてやろうじゃん、と言って熱意と戦略をもって海を渡ってくるわけですから、お茶を飲んでぶらぶらして、王族が浪費してもお金がじゃばじゃば出てくる人口38万の国の人間とは、意識もスタートラインも違いすぎます。

ブルネイの資源が枯渇し始めたとき、次の産業が十分に育っていないと、中国やインドの商人たちは、蓄えた富を持って、さっさと次の土地へ移っていくでしょうね。

浪費壁と怠惰・・・、労せずして富を手にしてしまった国の試練です。
しかも、フィリピンの家政婦さんが、わずか人口38万の国へ大量にやってこれるような環境から、一転して「コツコツ地道に稼ぐ」生活へシフトするのは、ある種の苦痛を伴うと、おばちゃんは思うのでした。

治安が良く、人がとても親切で、潤っていて、素敵な場所だけど・・、資源が枯渇した後に、どうなっていくのかな、という心配がある国です。
ちなみに、国王の弟が作った借金のうち25億円あまりは、ギャンブルによる損失だそうです。
それでギャンブル=ブルネイだったのかしら・・。

ではまた、ごきげんよう。

安希 

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2件のコメント

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    前略
    「インパラの朝」感動しながら読んでます。すごいですね、私は丁度還暦になる一カ月前に北海道を稚内から青森 十三湖まで徒歩(本来は小走りの予定でしたが荷物が重く徒歩になりました)にて34日間旅行をしましたが、安希様の旅とは比べものになりません。
    現在もいろいろ出ておられるようで、お体だけは本当に気を付けてください、と通り一遍のことを言っても安希様の行動力には無意味かもしれませんが。あとすこしで「インパラの朝」読み終わります。読んだらまた連絡入れさせていただきます。メールアドレスは自宅のアドレスを記入いたしました。草々

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    中村安希様

    旅の記録は断片的ではあるものの、現地が日本にはなじみが薄い地域であるが故に、貴重な記録だと思います。このような断片的情報がもっと紹介されればいいと思う。ただ、中村さんのとらえ方に、資本主義を疑う観点がないのが残念です。アフリカの貧困を疑うというようなことをおっしゃいますが、ヨーロッパ人によるアフリカの侵略から今の状況がある、という歴史の観点が抜けているのではないでしょうか?世界システムの中でヨーロッパとアフリカは対等ではありません。アフリカに貧困があるとすれば、資本主義を押し付けた先進国にその責任があり、それは先進国の問題です。それなのに、援助をするとアフリカ人が怠ける、と心配することは、資本主義を押し付けることの延長ではないでしょうか?とはいえ、先進国が資本主義をすぐに捨てることはないでしょうし、色々な議論はあって良いと思います。いい本をありがとうございます。

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