142.なんとな~くフィリピン『後編』 (マニラ) 国内の雇用がダメなら、国外で稼げばいいじゃんかぁ~。そうね~。前向きにね~。

アジア・パシフィック医療改革フォーラム メール会員の皆様

皆様、こんにちは。
安希@先ほどフィリピンを出国し、マレーシアのボルネオ島へ入りました。

朝7時にドゥマゲテのホステルを出てから、長い移動の一日でした。
まず、7時にバイクタクシーに乗り空港へ行って、国内線(3500円)でマニラへ。
マニラの空港からバスターミナルまでタクシーで移動。そこから長距離バス(700円)に乗り換えて2時間半後、北部の空港へ着きました。
それから別の航空会社(5800円)で、マレーシアのボルネオ島、コウタキナバルへ。

なぜわざわざ値段を書いているかと言うと、安いから!
東~東南アジア(日本を除く)には、格安の飛行機が飛びまくっています。とても手軽に利用できます。国内線も国際線も、一般の人たちの足として大活躍しています。
で、なぜ日本だけ、格安航空圏内から一国だけ外れてしまっているのかしら・・・。というのがいつもいつも、本当に腹立つ疑問!

従っておばちゃんは、日本で『法外にお高い』片道航空券を買ってとりあえず海外の最寄ハブへ出て(香港、バンコク、シンガポール、どこでもいいけど)、そこを拠点に動きます。
そしてそれらのハブで、「往復のチケットを買う」つまり、ホームを日本にせず、日本を「一時滞在の場所」にして、いつも国外のハブ都市へ「帰っていくチケットを持っている」わけです。

どうして日本だけ、こんなに高くて不便なのでしょうか。一応国際的な国なのに、システムだけが変わらない。なぜ?
海外から日本へやって来る旅行者たち、友人たち、みんな口をそろえて言います。「日本の航空システムは最悪です」と。(ヨーロッパも格安ですからね。)
うんうん、アジアもヨーロッパも、格安でバンバン飛ぶのが世界のスタンダードだもん。日本だけオカシイんだってば!
いつか、日本を本当の意味での「ホーム」帰っていく国にしたいですね。そのためには日本のハブ空港から、アジア圏内なら8千円~2万円ぐらいで、いつでも自由に飛んでいける環境が必要です。

さて、移動ばかりで過ごした一日でしたが、思いのほか有意義な一日でした。
なぜなら、マニラのバスからマレーシアに着くまでず~っと一緒だったフィリピン人の男性と、いろいろ話ができたからです。
そこで今日の会話を元に、もう一度「フィリピンって何だろう」という視点で続編を書いてみようと思います。よろしく。

■暮らしをよくするために

知り合ったフィリピン男性の職業はパイロット。マレーシアの航空会社に勤めているのだそうです。
まさに「外国で働くフィリピン人」=私の今回のトピックではありませんの。ということで、お話を伺いました。
「なぜ、フィリピンの航空会社ではなく、マレーシアの会社なのか?」

話によると、マレーシアの航空会社の給料は、フィリピンの航空会社の二倍以上。チャンスがあれば、マレーシアの会社で働くのが妥当です。
「フィリピン政府は、国民が国外へ出稼ぎに行くことを奨励しているわけではないし、もちろん教養高い人たちが国内に残ることを望んでいるけれど、現実には、フィリピンは給料が安すぎるので、国民の国外流出は止められない。」
同じ飛行機にも、沢山の出稼ぎのフィリピン人(男性が「みんな出稼ぎに行く人」と言っていた。)がいましたが、特にボルネオ島へ行く便には、ボルネオの金持ち国家ブルネイへ家政婦や売春目的で行く人がとても多いらしい。

フィリピンは人口も増加傾向にあり、またマニラを中心に都市化=都市貧困層の増大(低所得者の居住区は最悪の状況!)が進み、だけど政府は腐っているため十分な職業や賃金を供給できず、暮らしをよくしたいなら海外へ行って稼ぐ以外に方法はない。
「政府に何かを期待している人は、フィリピンには一人もいません。」というのが現状らしいです。

大卒だからと言って、就職口が約束されているわけではなく、ショッピングモールの売り子などとして、月収1万2千円程度(国民の平均月収は約2万円といわれていますが)で暮らしているようなケースも多いらしい。
そんなんだったら、海外へ行って、例え日本での給料が15万だったとしても、歯を食いしばって働くでしょう。

高額な賃金以外にも、男性がマレーシアで暮らしている理由はあります。
マレーシアのほうが、社会保障(福利厚生)がしっかりしていて、政府が物価をしっかりコントロールしているので、生活コストが抑えられる。
マレーシア政府は、国籍に関係なく出稼ぎ労働者にも医療保険や教育制度を適応してくれるらしく、定年退職後は、年金がもらえます。(フィリピンは、年金は無いに等しい)
もし、定年後(またはそれまでに)フィリピンへ帰った場合は、強制積み立てしたお金は全額払い戻してもらえるらしい。とても親切なのだそうです。

それからマレーシアでは、インフレを防ぐために、ガソリンや電気の値段も政府が介入して抑えている、と男性は話していました。
従って、マレーシアでは賃金が倍以上もらえる上に、生活コストがフィリピンの3分の1程度に抑えられる。だから貯金も可能だし、フィリピンの家族へ送金だってできる。ということですね。

■ばら撒き選挙と、あきらめモード

フィリピンは、社会保障も雇用機会も乏しい国。「国民は一生懸命働こうとしているし、働いているのに暮らしはちっともよくならない」という男性の言葉に対し、聞いてみました。
「国民に中に、現在の政治を変えようとか、選挙で他の政党に投票しようとか、不満が爆発してデモが起きるとか、何らかの方法で国のシステムを変えようという空気や動きは無いのですか?」

「無いですね」と男性は穏やかに、しかしキッパリと言いました。
まず、フィリピンには政党が山ほどあるらしいのですが(10個以上)、それらは全て、水面下でつながっているらしいです。
だから、メディアの前では討論をしたりして、対立姿勢を見せていても、結局はお互いが裏金やお互いの条件を調整することで、うまく話しをまとめ、票をまとめて当選するので、どの政党が政権を取っても、結局は同じなのだそうです。

そして、政界と財界は癒着していると言うよりは、一心同体。ほんの一握りの富裕層(政界と財界のトップ)が金と権力の全てを握っていて、中産階級が少なく、マジョリティが貧困層にいるために政治運動などが起こらない。
つまり、貧困層の人々は教養もなく、明日の政治よりも、明日の生活や今日の晩御飯の心配をしているので、選挙によって政治を変えるという発想がない。

それから、選挙は一応、民主的な形式で行われますが、票の多くが買収さているらしい。
つまり、選挙キャンペーンの間だけは激しいばら撒き合戦をやるらしく、明日のお金に困っている貧困層の人々は簡単に買収されてしまい、選挙が終われば、有権者も当選者(政治家も)全てを忘れます。
そんなことを繰り返しているだけ、なのだそうです。

そういえば、北部の山岳地帯には、ところどころ舗装された道があり、けれど大部分が未舗装のままほったらかしてあたので、不思議に思って聞いたところ、
「選挙期間中だけ、政府がばら撒きの一部として道を作りパフォーマンスをしたけれど、選挙が終わったので、工事は中断されました。また次の選挙のとき(6年に一度)に再開されるでしょう。」とのことです。
なんじゃそれは~。

国民は、政治をあきらめてますね。だから、「国の未来を考えるより、自分や自分の家族の未来を考えて、暮らしをよくするためにできることを、できるだけダイレクトにやる。そのために、僕はマレーシアの航空会社を選びました。」
と、淡々と話す男性の言葉に、妙に納得するおばちゃん。
なるほどね~。

■良くも悪くもフィリピン

フィリピンで感じてきた不思議な空気は、「あきらめと同時に、海外に活路を見出してストレスを減らしている」という独特の姿勢によるものかな、とも感じました。
国民の多くが、家政婦やら売春として海外へ出稼ぎに行き、大卒でも仕事は無く、国外へ出稼ぎに行かなければならないフィリピンの現状は、決して楽観視できるものではないと思います。
だけど、その割には、みんなすごく明るくて、やさしくて、笑顔。
それが不思議でしょうがなかったのですが、逆を言えば、海外へ放出される(その権利がある)というのは、ある意味では希望の抱ける環境なのかもしれないですね。

それから、歴史や文化の面を見ても、フィリピンは「独自文化が消えた」といわれるほど、他国の影響を受けながら(アジアの中で唯一のカトリックの国になったのはスペインの影響。そして英語を話す、とてもアメリカンな文化がある)、けれども疲弊することなく、完全に欧米化することもなく、
一見すると不幸に見えるようなことを、うまく「いなし」ながら、吸収しながら、前向きに活路を見出してきた国民性なのかもしれません。

フィリピンには、年配の欧米人など、沢山の先進国の人が、若くてかわいい女の子漁りにやってきます。
見ていて気分が悪くなるほど、あからさまに女漁りに来ています。
こんな光景はもちろん、タイにもあったし、他にもあったけれど、フィリピンの女性たちは、他の国の笑顔を失っていった人々とは違い、今でもまだ笑顔。
周りのフィリピン男性たちも、笑顔。そして、小さなことにこだわらず、正直でいて柔軟な印象。
以前タイのレポートで「食い散らかされるアジアの笑顔」について書いたことがありますが、フィリピンに限っては違うように思います。歪みを歪みにしてまわない柔軟性・・・?驚きでした。

そしてもう一つ、マニラの公園で知り合った「船乗りのおじさん」の言葉を借りれば:
「フィリピンの経済は良くも悪くもない。良くもならないだろうし、そんなに悪くもならないだろう。フィリピンはフィリピンのまま。こんな感じです。」
彼は、素晴らしい経済発展をとげた日本の話をした後に、穏やかに笑いながら、そんなことを言いったのでした。
過剰な期待も、嘆きもない・・・、そんなフィリピンの一面が現れていたのかなぁ。

いつもの悪い癖で、話が長くなりました。すみません。

フィリピンの経済に関して言うと、最近は中国系企業の進出がすさまじく、フィリピン政府ですらコントロールできない状況になりつつある。
という興味深い話が続いていくのですが、この話は、マレーシア以降の東南アジアの国々で、もう少し「中国系」を観察してから、できれば書いてみたいですね。
男性曰く「中国だけは、どこの国でも別枠。彼らはとてもシンプルに貪欲に『金』のために動く。政府も、国家も、ルールも、現地人も、モラルも、中国系企業だけは関係ない。」
うんうん、なるほど~。

ではこの辺で。ごきげんよう。

安希

P.S フィリピンの宿の食堂で、頬杖をついてパソコンをしていたら、オーナーに言われました。
「頬杖はBAD LUCKだ。はやく机を三回たたいて!」と。
慌てて机を三回叩いたおばちゃん。これでBAD LUCKは一掃されました。めでたしめでたし。
ちなみにGOOD LUCKを呼ぶコツを聞くと、「笑顔でいること」と。なるほど。宿のオーナーはいっつも笑顔。

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