134.途上国市場と可能性1(マシンゴ) ヨルダンに進出する現代自動車、アフリカを走るトヨタ。世界市場は今?!

アジア・パシフィック医療改革フォーラム メール会員の皆様

皆様、こんにちは。安希@日本でぼけ~っとしているくらいなら、国内の旅にでも出ようかしら・・・。ママチャリとテントで日本縦断、やってみたいな~。釣竿と飯ごうとマッチと、あと何を持っていけばいいのかしら。

では、ジンバブエ編の最後に、旅人から見た途上国市場と、企業進出についてちょこっとだけお話を。

■車

2007年ごろのレポートで、アラブとアフリカの一部を一緒に旅したサムソン君(韓国サムスン電子の世界マーケット戦略部?)との珍道中をレポートしたこと、覚えている方もいると思います。
あの時の旅行で一番面白かったのは、彼が途上国の市場戦略を基準に世界を見ながらバックパック旅行をしていたことでした。
つまり、当時でいえば、サムスンの広告や商品の浸透具合、日本を含む他国の企業との競争状況、新しい市場や開発価値のある商品の開拓、などを毎日毎日話しながら旅をしました。

韓国のサムスンやLGの世界浸透度は、凄まじいものを感じますが、そんな彼がある日こんなことを言いました。
「家電、モバイル、そういった分野で、韓国は国内の力を結集し、日本企業を追い越すことはできるだろう。ただし、貿易輸出全体となると、韓国は次の50年は少なくとも日本には勝てないだろう。」と。
そりゃねえ、日本だって必死で物作りやってるわけだし、人口は韓国の3倍以上、国土だってずっと広いのよ。負けるわけないわよ、と思ったけど、実際に途上国をず~っと歩いていくと、サムスンやLGの健闘ぶりはすさまじく、「もしかしたら、負けるかも?」とおばちゃんなんかは思っちゃったのでした。
そこで彼に、「なぜ?」と聞いた。
彼の答えは、「日本にはトヨタがあるから。」でした。
韓国の自動車産業は、少なくとも次の50年くらいは、トヨタには追いつけない。そして、どれだけ電化製品や携帯電話を売ったところで、自動車一台当たりの単価に比べると小さすぎるんだよ。と。
ほぉ・・・。そうですか?

そこでまずは、日本が世界に誇る輸出品、自動車について書いてみましょう。

●クオリティーの日本、マーケティング力の韓国、低価格大量生産の中国

日本の自動車産業にとって、最大の輸出先といえば北米だったかと思います。性能の良さ、燃費効率の良さなどが受けて、特に北米ではトヨタやホンダが広く愛用されています。
ところが、北米以外の地域はというと、特にインド以西(中東やアフリカなど)の地域では、ホンダはほとんど見かけませんでした。
日本産の車では、「憧れのトヨタ」「心強い輸送の味方のミツビシ」「庶民の足の、いすゞ、スズキ」と言った印象。

日本人や世代が上の欧米人にとっては、いわゆる欧米の高級車が憧れだったかも知れませんが、若い世代や途上国では、トヨタは憧れの車として広く受け入れられています(と、旅人は思う。)
日本人が「メルセデス」や「BMW」という言葉の響きに感じるステータスを、「トヨタ」という単語がニュージェネレーションの間で獲得してきたということでしょう。
だって、砂漠や未舗装地帯のジャングルを走るときに、自慢できる車はBMWではなく、トヨタランドクルーザーやトヨタハイラックスですからねぇ。

さて、ジンバブエで出会った中国人技師たちと、トヨタハイラックスに乗って辺鄙な場所に立つ電波塔めぐりをしていると、運転手(ジンバブエ人の兄ちゃん36歳)が、トヨタを絶賛。
うんうん、だって世界のトヨタですもの。世界中どこに行っても走っているトヨタ自動車。その評判の高さを今さら言われたって、驚きはしませんが、おばちゃんは聞いてみました。
「トヨタは確かにすごい。だけど最近では韓国の現代自動車なんかが、かなりアフリカ地域にも入ってきてるんじゃないの?現地の人たちはどう思ってるのかしら・・。」と。

すると彼は言いました。
「確かに、トヨタをはじめとする日本車はとても高額でなかなか買えるものではない。ジンバブエでは一時期、政策の一部として、日本車に代わり現代自動車が大量に販売されたことがあった。
日本車に比べればかなり割安だったし、行政側が現代自動車を後押ししていたんだ。けれど、購入後約1年で、ほとんどの車に故障が出て、結局元の日本車、特にトヨタに戻ったという経緯がある。
アフリカには未整備の道も多いし、輸送運搬にも耐えられるクオリティーの高さ、つまり耐久性が一番求められる。だから高くても結局はクオリティーの高い日本車は好まれている。」

確かに。砂漠やジャングルのぬかるみ、穴だらけの道をバンバン走っても軽快さを失わない、トヨタランドクルーザーや、ミツビシパジェロに向かう敵なし!でしょう。

がしかし、世界の状況は刻一刻と変化を続けているのも事実。
とくに、今回訪れたアラブ圏における韓国車の浸透度合いの高さはすごいと思いました。
ヨルダンなんて、首都アンマンが現代自動車の宣伝一色で染まっているくらいの勢い。そして、実際に現代自動車の乗用車がたくさん走っていました。

つまり、途上国とは言っても道の整備は進んでいくし、道の整備が進めば、それほど高耐久性や高機能を求めない乗用車でことが足ります。(4WDなんかに乗らなくてもよい。)
そして、街中での生活や、舗装道路の上で運転するだけの、これからの中流階級(途上国の多くの人口がこの階層に入りつつある)は、自動車を「値段」で選び、手軽に買える普通の乗用車が大量に途上国市場へ流れ込んでいくのだと思います。

これからは現代自動車をはじめ、韓国産車以外にも、中国やインド産のより安い自動車が世界へ浸透していくことでしょう。
インフラ整備が各国で進めば進むほど、「クオリティーの日本車」は、シェアを狭めていき、「宣伝力(本当に韓国企業の宣伝の勢いは強烈です)の韓国」や、低価格大量生産の中国車などが幅を利かせてくるはずです。
すでに、現代自動車の乗用車や、中国のバス(クオリティーもまずまず良くて安い)が、インフラ整備がかなり進んできた国々の一般市民の交通手段として大活躍を始めている。そんな印象を受けました。

■バイク

次は、途上国で活躍するバイク。車にはなかなか手が届かないけれど、バイクであれば一般庶民でもちょっと頑張れば買うことができます。
バイクの数を見るのも、その国の中産階級の育ち具合を測る手がかりになるはず、と、旅するおばちゃんは思います。
さて、そんなバイク市場について。

バイクと言えば東南アジア(特にベトナム!)ですが、今一番多く目にするブランドは、中国産です。
日本産は中国の約3~5倍の高値ということで、やはり中国の安いバイクが大量に入ってくるわけです。

そして、ブランドに対するとらえ方は人それぞれ。

例えば東南アジアの国々では、昔からの日本製品に対する憧れなどもあって、お金があるのなら(あるいはローンを組んででも)、ちょっと頑張ってホンダ、カワサキ、ヤマハを買いたい!という人はいるみたいです。
ただし、一方では、中国産であっても性能にそれほど違いがないのなら、別に中国産でいいじゃんんか、という考えの人もたくさんいるようです。
インフラが整い、近い将来、中国産バイクの耐久性が日本産と全く変わらないか、あるいは追い越していった時に、日本産ブランドのネームバリューが維持されるかどうかは不明。

また、現在は中国産というと、日本ブランドの名前をもじっただけのような(たとえば、ホンダをホンデにするとか、ヤマハをヤマホにするみたいな・・)、日本産のコピーを大量に安く売っているイメージがありますが、その傾向すら近未来には変わって来るはずです。
中国バイク産業の底上げにより、中国産の高級ブランドがでてきて、利用者の信頼を正面から勝ち取っていく日もそう遠くはない。という気がします。

ではアフリカのバイク事情はどうかというと、地域によっても差はありますが、バイク率の高かった西アフリカでは中国産がかなり幅を利かせていたように思います。
そして、世代によっても意識に差が出てきている、そんな印象を受けました。

つまり、年配の人たちは、いわゆる日本産のバイクを長く大事に使っていて、その耐久性や機能の高さを認めています。私が子供の頃(80年代)に日本で走っていたような旧モデルのホンダが、大切に使われていたりします。
けれど、都市部の若い世代は少し違って、中国産の最新モデルに乗っていました。
乗り心地を聞くと、
「中国産はとても良い!デザインもかっこいい!」と。

中国産の性能UPに加えて、都市の若者は「かっこいい新車」に乗りたいのだろうと思いました。
年配の人たちにとって、「輸送手段」であったバイクが、若者にとっては「ファッション」になりつつある。

「日本産の新車に乗れる財力はなけれどバイクを手に入れたい」と思ったとき、年配の人は「見た目はぼろぼろでも、何十年も壊れずに頑張ってきたカワサキ」を重宝し、若者は「かっこいい中国の『カワサコ?』を新車で!」となるようです。

では、今後10年、20年して、若者が年配になり、彼ら(アフリカの)経済力が向上した後に、彼らが「じゃあお金が溜まったから、次は日本ブランドの新車を買おう」という形にすんなり移行できるかというと、そこが疑問。
その頃までには、中国の高級ブランドバイクも出ているだろうし、若者にとっては「若いころから愛用してきた中国ブランドとともに成長していく」というような意識が残るかもしれない・・と。

逆に、日本の輸出貿易の歴史を見れば、そのことが分かるのではないでしょうか?
日本の製品が北米へ輸出され始めた最初の頃は、「日本製品(たとえばトヨタ)は安くて機能もまずまずいいから」という位置づけで若い世代に浸透し、その後、日本車がもう「安さ」を売りにしなくなった後もトヨタ世代はトヨタに乗っている。
つまり、年をとったから、じゃあこれからはGMやフォードに乗りかえます、という訳ではなかったはずです。

ブランドに対する価値基準やイメージは、世代と共に変わっていきます。
若者が最初に手にする「ファーストカー」「ファーストバイク」が、新しく出てきた世代の流行を決めていくはずです。

ヨーロッパを旅行中に、「ヨーロッパの高級車は?」との問いに、友人はこんな答えを出しました。
「父親の世代だったら、メルセデス、アウディ、BMW。私達より下の世代だったら、そこにトヨタが加わる感じかしら・・と。」
30年後、そこに、現代自動車や、中国の車が加わっているかも・・と、おばちゃんは想像したのでした。

だらだら書いていたら、また話が長くなってきました。
また続編を書くということで、一旦終了します。

それでは、ごきげんよう。

安希

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