アフリカ人はバカで怠け者ですか?えっ?!(ルワンダ)

皆さま、こんにちは。安希です。

今日は、去年(2015年)訪れたアフリカの小国「ルワンダ」からのレポートです。わざわざブログに書かなくても、もういいや、と思っていたのだけど、やっぱり書いておこうという気になったので書いています。

ルワンダに滞在したのは、一週間程度と短く、とくに何もしてないんですけれど、ルワンダから帰国したあと「A Film About Coffee」という映画をたまたま映画館で観ていたら、ルワンダで触れたものや感じてたこととリンクしてくるものがありました。そこで、ルワンダから2つのレポートをアップしておくことにします。一つ目は、ルワンダで出会った若者からの質問、そして2つ目は、「A Film About Coffee」について。

■ ルワンダの大学生から質問を受ける

ルワンダというと、1994年に起きたジェノサイドが不名誉にも有名な国ですが、旅行者が訪れる場所の一つに虐殺記念館というのがあります。この記念館に行く拠点となるのが、フイエ(現在はブタレ)という街で、私がフイエにいた頃に、ちょうど街のバス停の広場を利用したExpoが開かれていました。たまたま宿の隣室になったパキスタン人のグループもExpoに出店しているということで、私も様子を見に行きました。

会場には、各国(といっても大した規模ではないが・・・)のブースがあって、ラホール出身の彼らは、レザーのサンダルを販売していました。昔、ラホールを旅行中に、知り合った家族のママがサンダルを2足も買ってくれたことなんかを思い出して、すごく懐かしくなりました。それから、彼らのブースに出入りしていたインドでビジネスをしているネパール出身のお兄さんからも、「僕のブースも見に来て」と言われ、見に行きました。彼はインドから持ってきたアクセサリーを売っていて、こっちも懐かしい・・。ただ、どちらも全然売れなくて、かなりストレスが溜まっているようでした。しかも連日のスコールにやられて、どしゃ降りの雨から商品を守るだけでも大変!同じアフリカでも、ファッションにバンバンお金を使う西アフリカのマーケットとは全く状況が違うらしく、しかもスコールの多い時期に開催するなんて、主催者側の設計ミスで大損させられてる!と怒り心頭のご様子でした。

「ルワンダ人はバナナばっかり食ってるだけじゃない!奴らの頭がバナナなんだよ!」と。

まあね、出展料、かなり高かったみたいだから、腹も立つだろうに・・・。

そんな中、パキスタンのブースで雨宿りをしていると、向かい側のマレーシアのブースの手伝いをしていた現地人の男の子が、健康飲料のパンフレットを持ってやってきました。パンフレットを受け取って、少しだけ健康飲料の話とマレーシアの話をしたのですが、彼が「話をしてもいいですか?」と聞いてきたので、「はい。っていうか、今私たちは、話をしてるよね」を返すと、彼は照れ笑いをして、「僕は質問がしたいのですが、いいですか?」と、とても丁寧に聞き直してきました。
彼は大学生だそうでして、ムズング(この辺りの言葉で、肌の色が明るい外人を指します)と話がしてみたい、と。不思議なものですが、おばちゃんになるに従って、こんな風に若者から「話がしたいです」とか、「友達になりたいです」と、声をかけられることが増えてきました。若い女性に声をかけるのは勇気がいるけれど、こっちはおばちゃんオーラ全開だから、安心感があるのかしら?

「君、ブースの手伝いはほったらかしでいいの?」と茶化すと、自分のブースを振り返りってはにかみまして、パンフレットを手にしたままモジモジしてから、「いいと思います。僕はせっかくのこの機会を逃したくないんです・・・」と、困った子犬みたいな顔するんですよ。そうかそうか、それじゃ仕事サボって、おばちゃんとお話ししましょう。(笑)ということで、雨が上がるまでおしゃべりすることになりました。

■ アフリカ人はバカで怠け者ですか?

「アフリカ人はバカで怠け者だと思いますか?」
ええっ、いきなりそこ?!と思いましたが、彼は大真面目に質問してくれているので、答えなくてはいけません。
「何を基準とするかで、答えはイエスにもノーにもなると思います。あなた自身はどう思いますか?」
「ムズングから見たら、きっと僕たちはバカで怠け者なんだろうなと思います。だから本当はどう思われているのかが知りたい」
「どうしてバカで怠け者だと思われていると思うの?」
「僕たちの国には、フランスやチャイナのような産業がありません。農業しかありません」
「農業は重要な産業です」
「僕が言いたいのは、車や携帯電話の産業です。そういう工業製品を自分たちの国で生産できないのは、アフリカ人がバカで怠け者だからだと思いますか?」
「そうですね。車や携帯電話がうまく作れるかどうかを基準にして、賢さや勤勉さを測ったら、確かにあなたの言う通りでしょうね。でも、車や携帯電話って、そんなに大事なの?」
「大事です」
「でもさ、そういうの作るのが得意な人たちがいて、ほっておいても徹夜で働いて作ってくれるんだったら、わざわざアフリカで頑張って作らなくても、得意な人から買ったり貰ったりした方が効率的じゃない?」
「はい・・・。でもそう言えるのは、あなたがチャイナの人で、自分で作れるからだと思います」
「私はチャイナの人じゃないです」
「ええっ?!」
「ジャパンの人です」
「ほらね、僕はチャイナの人とジャパンの人の違いも分からない。僕は、あなたの国の大統領が誰かも知らないんですよ。大学生なのに」
「チャイナもジャパンも、大統領いないですけどね」
「ええ?!」
「ただ、日本の大学生で、ルワンダとブルンジの違いが分かってる人、ほとんどいないと思いますよ。ルワンダの大統領誰ですか?って聞かれて、すぐに答えられる人も珍しいと思います。日本人も十分バカだと思いませんか?」
「・・・そうですね。でも僕が聞きたいのは・・・、僕はルワンダの大学生なのに、英語も話せません」
「話してるやん!!」
「でもこんな程度にしか話せません。日本の大学生が聞いたら、きっと笑い者にされるでしょう。だって僕はこれでも大学生なのですよ?!」
「・・・。君さぁ、日本の学生と英語で討論したら、ものすごく自信つくと思うわ・・・。しかも、君は英語以外にも、ルワンダ語とフランス語が話せるんでしょ?あとスワヒリ語も?」
「はい。でも英語は話せません」
「だから話してるやん(笑)」

■ 必要がないなら、やらなくてもいいんじゃない?

ここでもう一度、最初の質問について考えてみましょう。日本のような技術立国の基準で測れば、車が作れないルワンダ人は「バカ」であり、一方で、ルワンダのような小国の基準で測れば、多言語を流暢に操れない日本人は「バカ」ということになります。(個人差はすごくあると思いますが、あくまで平均的に見た場合にという意味です)

ただ、どちらもバカだけど、どちらも合理的だとも思うんですよね。というのも、気温が一年を通して安定していて、水も土もあって、庭にバナナを植えておけばポコポコ育ってくるし、鶏も放し飼いにしておけばそこらへんで育つし、というような場所に、わざわざ工場を建てて、世界中から鉄やらレアメタルやらを集めて、技術者を教育して、朝から晩まで働いて車や携帯電話を作る必要なんて、あるんだろうか?と思うからです。それに日本もそうです。語学が出来ることは、可能性を広げることにはなるけれど、1億人以上が日本語を使っているという国で、わざわざ3つも4つも外国語を覚えなくても、とくに不自由なく生きていけます。

「工業化も長時間労働化も、必要ないならしなくていいんじゃない? 必要ないことをしていないからといってバカだとは思わないし、せかせか働かなくてもいいっていうのは、いい事だと思いますけどね」

おばちゃんの答えがこんな感じになった理由の1つは、実はルワンダ入国前に登山をした隣国、ウガンダで聞いた話がありました。地元のガイドさん(2人)やポーターさんたちと一緒に7日間も山でキャンプをしていたので、毎晩、いろんな話をしたのですが、ウガンダと日本の教育制度の違いが話題になったときに、ガイドさんが「ウガンダでは、高い教育を受けてもあまり意味がない。必要ないから」と話していて、なかなか興味深かったです。ウガンダって、実はかなり教育熱心な国で、いい大学もあるんですけど、高学歴の人たちの失業率がすごく高いんです。ガイドさんは、大学を出ても仕事はないが、逆に、出ていなくても十分生きていける、と話していました。
「ウガンダには、とても豊かな土地があるので、小さな土地を大切に守って、コツコツ耕していれば十分食べていけます」

実際、登山シーズンは、一年の半分くらいで、ガイドの仕事は月に2回程度らしいのですが、ガイドをしていない間はどうしているのかと聞くと、「家の裏の小さな畑を耕してる」と。
ガイドさんは、29歳(子ども3人)と31歳(子ども1人)でしたが、ガイド業でお金が稼げるのはありがたいけれど、自分と家族の暮しは、小さな畑があれば成り立つ、と言っていました。彼らは、あまりガツガツしていなくて、豊かな感じがしましたね。

おばちゃんの日本的な感覚だと、オフシーズンは出稼ぎにでも出た方がいいんじゃないか、とか、もっと活発で効率的なビジネスを考えて、村の人たちにお金が入る仕組みがあったほうがいいんじゃないか、というような方に目が向いてしまうのですが、7日間、彼らと過ごしてみて、生きてきた環境や感覚の違い(彼らのほうが、ずっとおっとりして落ち着いている)を感じました。ウガンダ辺りの土の良さ(ものすごく生産性の高い、ふっかふかの土と十分な水がある)は専門家のお墨付きですけれど、彼らは、「庭でできるバナナやトウモロコシ、イモ類、野菜、フルーツ、があれば一家5人ぐらいは不自由なく生きていける。気候も穏やかで、暑くもなく寒くもない」という環境でのんびり生きてきたんだと考えると、日本の教育制度や労働環境の説明を聞いた後で、彼らが「僕らは、そんなのは嫌だな」と苦笑いを浮かべていたのも納得がいきます。

ガイドさんたちが住んでいる麓の村には、銅山開発の長い歴史があるのですが、村の人たちにとっては、銅よりも小さな畑を大切にすることのほうがよほど大事なんだろうなと思いました。もともと、カナダやオランダ(だったと思う)が開発に来ていたのだけど、途中で採算が取れなくなって撤退したところへ、こんどは中国が入ってきて現在に至っています。中国系の採鉱技術者を村でも見かけましたが、村の人たちは「だから?」という感じ。村人の視点で海外からの労働者を眺めていると、「切羽詰まってるなぁ。なんでそんなに、金、金、って血眼になってるの?」という感じがしてくるのです。

ウガンダで聞いた話をルワンダの学生さんに伝え、ウガンダで出会ったガイドさんやポーターさんたちは、彼らの土地に合った暮しをしているだけなので、高い教育を受けたり、高いテクノロジーを持っていないからと言って、とくにバカだとも怠け者だとも思わなかったけど、先進国の人間みたいなずる賢さや強欲さはなかったかもしれないと話しました。まあ、ずる賢さも賢さのうちではあるんですけれど・・・。笑。

■ そもそも、なぜそんな話になったんだっけ?

バカか怠け者かという議論は、基準をどこに置くか次第なので、状況によって答えは変わってくると思いますが、それよりも気になったのは、なぜそんな話になったのか、ということ。なぜ彼は、そんなことをムズングのおばちゃんに聞いてきたのか、ということです。

なぜなら、彼が「自分たちは、ムズングからバカで怠け者だと思われている」と思っているから。あなたもそう思ってるでしょう?と聞かれたので、思ってないですよ、と。自分が育った文化圏の価値基準や常識や行動様式や考え方は、確かにアフリカの多くの文化圏のそれとは随分違うので、「違うな〜」と思うことは多いし、おおよそ理解不可能ですけど(理解できない部分に魅了されて、私は何度もこの大陸に来てるんですけどね)、でも「違い」は「優劣」ではないからねぇ、という話をしました。

アフリカで見つけたトヨタのオープンカー!バカか賢いのか判断は分かれるが、私はこういうの大好きです。はっはっは。
アフリカで見つけたトヨタのオープンカー!バカか賢いのか判断は分かれるが、私はこういうの大好きです。はっはっは。

「でも、あなたはさっきからムズング(インドやパキスタン人)のブースにいて、彼らとは仲良く話しをしているのに、僕みたいなアフリカ人には話しかけてこなかった。なぜですか?アフリカ人と話をしても意味がないと思っているからではないですか?」
ああ、そういうことか。分かりました。
「それは君の勘違いです。他のムズングがどうかは知らないですが、私はアフリカの人と話をしても意味がないとは全然思ってないです。現に今、君と話をしていて、かれこれ・・・40分近くになるわけだからね、おしゃべりを楽しんでいますから。(笑)こうしてパキスタンのブースにいるのは、このブースのオーナーと宿の部屋が隣同士で、彼がエクスポに誘ってくれた本人だから。だから、彼に挨拶するために今日はエクスポに来たんです。そしたら直後に他のパキスタンの商人やインドの商人に出会って、たまたま話をしていただけです。このあと、他のブースももちろん見に行きますよ。せっかく入場料も払ったんだし、全部見てから帰ります。まあ、こんなにどしゃ降りだと、まだしばらくはこのブースから出られないと思うけど」

彼は熱心に話を聞いてくれまして、分かってくれたようでした。バカか賢いかの判断なんて、本当に難しいんだから!って。

なが〜い話になってしまいました。長くなりそうだったので、ブログに書くつもりもなかったんですけれど、日本に帰国後、「A Film About Coffee」を観ていて、彼との会話を思い出したので書いてみることにしました。

続きはまた来週。

ではでは、ごきげんよう。

安希

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5件のコメント

  1. エアコン、ショッピングモール、水洗トイレ、なめらかに走る地下鉄、そんな生活を知ってしまったら、もう手放すことはできないだろう、と思っていました。

    でも、中村さんのレポートを読んで、先進国へやって来た途上国の方で、そんな文明生活?を体験したあと、再び故郷の村に帰っていく、という人が少なからずいることを知りました。

    自給自足ができれば、それが可能なんですね。
    便利なものは先進国の低賃金労働者が作ってくれる。

    とても賢い方法に思えます。

    だから、世界をおおう資本主義から逃れ、その外部で生きる、ことはできるのかもしれない?

    1. ねのひさんのコメントを読んでいて、大学時代に履修した文化人類学の授業を思い出しました。大好きだった授業の一つなんですが、歴史的に見ても、現代人の労働時間の長さは尋常じゃないくらいに長く、近代化する前の人類は、もっとのんびり暮らしていたという話でした。現代人は、労働の中に余暇がありますが、昔は、必要な時しかそもそも労働なんてしないのが普通だったという話です。当時の私は、世界を牽引していたアメリカにやっと留学できて、アメリカはきっとすごい国だと憧れていたのもあって、先生が「我々はバカかもしれない」という話をしてくれたのが新鮮だったのを覚えています。

      日本にいると、発展途上国=不便でかわいそうな暮しをしている=開発が必要、というように捉えられがちですけれど、現地に入ってしばらく過ごしていると、ちょっと不便だけどゆったりした暮らしに慣れて、割と居心地が良かったりします。冷房の効いたビルの谷間で5時間睡眠の暮しを続けるか、冷房はないけど、昼間はずっと木陰で涼んでてもいいような暮しを取るか。どっちがいいかは、各々が決めればいいことなんじゃないかなと。

  2. 彼の「バカ」を測る物差しは、車やスマホを作る技術や、それに費やす開発時間であるのかと思います。しかし、人それぞれに持っている物差しは違うから「バカ」の判定も変わる。
    高い技術や合理性を追求することを否定はしないが、汗して働く尊さも忘れないでほしい。

    都会は便利で何でも手に入る、あらゆる最先端が集まって退屈しないのかもしれない。
    でも、今の私の物差しは、「少しの便利と、美味しい空気、水、美しい自然の景色」くらいなので、ここが一番。

  3. アフリカのブルキナファソに住んでいる和さんです。
    なんだか、当たり前の物差しがいかに偏っているか考えさせられます。

  4. 工業化、そしてその先の情報化を達成する知的集積や技術や能力がないと、結局はいつまでも先進国に搾取され続ける構造に甘んじるしかないということを、このルワンダ人は言いたいのではないでしょうか?

    綺麗事抜きで率直に言うと、残念ながら各人種の能力は平等ではありません。五輪などで人種間の身体能力差は明らかであり、これは遺伝によるものです。そうであるならば、当然脳の能力も遺伝的に差が現れると考えるのが自然です。そしてそれ故か彼らには学問の歴史的な蓄積は全然ありません。このルワンダ人はその事実を肌で感じているのではないでしょうか?

    私はドイツ在住ですが、社会における各人種の能力差は明らかです。私は彼らを差別したいわけではありません。彼らにとって、人は人という気休めを言ったり、人種平等のイデオロギーを持ち出すのは、結局のところ彼らの自立能力養成につながらず、彼らを逆に追い詰めるだけではないでしょうか?事実に向き合う勇気が本当の支援につながると思います。

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