123.ならば窓から飛べ!(アスワン)
 いよいよスーダンへ向けて出発の日の朝、トラブルが発生。焦ったおばちゃんは、とっ、飛んだ!

一般読者向け

皆さん、こんにちは。
長い間レポートをお休みしてしまいすみません。
エジプトからスーダン、エチオピアを経て、どうにか南アフリカ行きのフライトに間に合いました。
ということで、南アフリカのヨハネスブルグから久しぶりに安希レポです。
久しぶりといえば、久々にシャワーを浴びました!久々に電気に出会いました!久々に便座のあるトイレで用を足しました!水の流れるトイレです!WOW!

そして今、南京虫とダニと蚊にやられた(あらゆる対策を講じたものの、腕と足をやられた)ぼこぼこの皮膚の治療をしながら、2日間は疲労回復に努めたいと思います。
そしてこの機会に、溜まりに溜まったレポートを片付けるぞ!エイエイオ~!

最後にレポートをしたのは確か…、エジプトのカイロでしたっけ?
あれから3週間くらいサボっていた(長距離移動と僻地生活で多忙でした)ので何から書けばよいのやら、話が積もり積もって…。
ではエジプトの最後辺りから、思い出して書いてみましょう。

エジプト南部のアスワンから船に乗り、スーダン国境までの道のりを船で移動しました。ナイル川です。
船以外の移動手段はなく、船は週一便しかなく、しかも500人乗りの船には毎週650人を超える乗船応募者がいる。
つまりチケット争奪戦が繰り広げられるわけですね。
だったらもう一便くらい増発すれば??といいたいところですが、そうしないのが「不便と段取りの悪さ」をこよなく愛するアラブ主義。
(以前、モーリタニアからのレポートで、その段取りの悪さというか、効率の悪さを書きました。)

カイロのチケットオフィスへ何度も通い、何時間も待ち、アスワンオフィスへ電話を掛け、そしてアスワンオフィスのオフィス長さんと最後はお茶会までして粘りました。
お茶を飲んでいる間もオフィスへ詰め掛けてくる大勢のチケット待ちの人たち…。そして断られる度に喧嘩勃発…。
あらまあ…、だから増発すればいかがですの?と、説教の一つもしてみたかったのですが、私もチケットをどうにか手に入れなければいけない身。
ここはとにかく、笑顔笑顔。そしてお茶をすすって、また笑顔。とにかく、チケットを手に入れると決めた以上、前進あるのみ!なのです。

外国人と女の特権を最大限に生かし、ごまをすりまくって、オフィス長さん曰く「最後の秘密の5席(そっ、そんなものがあるんですの?)」とやらの一席を譲ってもらいました。はぁ、頑張ってしまいました。
面倒な国ですが、まあ、そこは愛嬌と思うことにしましょう。

さて翌朝、アスワンハイダムから船に乗るはずの私は、朝8時のハイダム行き列車に乗り遅れないよう、7時25分に準備を整え、駅から徒歩5分のユースホステルを出ました。
と言いたいところですが、出ようと思ったら、受付の人が誰もいない。しかも入り口の鉄の扉には南京錠が掛けられていて出られない!!!
焦りました。困りました。
宿の一階の出口は一つしかなく、そこの扉が閉まってしまうと宿から出られないのです。

そこで焦ったおばちゃんは、二階へ戻り、受付周辺の戸棚を荒らしまくって、南京錠の鍵を探しました。が、見つからない。
次におばちゃんは、二階の窓の縁へ足を掛けて上り、眼下の表通りを眺めました。つまり、窓から飛ぶしかないかも…、と思いつつ。
窓の縁へ上り、まずは通りの人々に「Help!!!」と叫ぶと、大勢の野次馬が集まってきました。
「一階のドアの鍵が開けられない!もう飛ぶしかない!列車の時間が迫っている!」と訴えるおばちゃん。額からは汗がだ~らだ~ら。

通りの人たちの中には宿の受付係の知り合いも多く、みんなが電話を掛けてくれたり、一階へ回って、南京錠を叩き壊そうとしてくれたり、必死で助け出そうとしてくれるのですが、なしのつぶてでして…。
そして、7時55分、一階の鉄の扉の格子の間から、年配のおじさんが神妙な面持ちで言いました。
「こうなったらもう、二階の窓から飛ぶしかない。」と。

そこで二階へ駆け戻ったおばちゃんは、二階の窓から、まずはバックパックを道路へ投げました。おりゃ~!(落下の衝撃で、ベルトの留め金と、洗濯桶が割れた…。)
次に、紐につけたパソコンバッグとカメラバッグを下ろしていくと、下にいた男性たちが無事キャッチしてくれました。
そして最後は、おばちゃんが落ちる番です。
列車に乗ると決めた以上、船に乗ると決めた以上、前進あるのみ!なのです。

女の道は一本道(篤姫より)、覚悟を決めて飛べ!と。

二階から飛ぶとは言っても、一階の商店の看板やら、道路に置かれた物が邪魔で、真っ直ぐ下に向かって落ちればよいと言う訳ではないのですね。
そこで、道路の男性たちは、近くにあった冷蔵庫を空いたスペースに設置し、その上へさっきの年配のおじさんが上ってきました。
私は窓の外の壁を伝って、冷蔵庫のある地点まで移動…したのですが、とにかく足元の瓦礫がぼろぼろ崩れるわ、絡まった電線があっちこっちから伸びているわ、で簡単には移動できない…。
全身から汗がだ~らだ~ら、壁をつかむ手にも力が入りました。足元の瓦礫が崩れると、あら恥ずかしい、膝がプルプルしてきましたわ(恐怖で。)

そして冷蔵庫の真上まで移動したおばちゃんは、まず冷蔵庫上の男性に支えてもらって、冷蔵庫の上へ降り、そこから、無事道路へ落っこちたのでした。
はぁ、助かった~。
助けてくれた皆さんにお礼を言う間もないまま、荷物を担いで駅へ走るおばちゃん。
駅へ着いたのは8時2分でしたが、何といってもここはアラブ。時間通りに列車が出るはずもなく、おばちゃんは無事列車に乗り、無事船に乗ることが出来たのでした。めでたしめでたし。

実はこの日は、おばちゃんの誕生日でした。
誕生日に、エジプトのアスワンのユースホステルの二階の窓から飛び降りた人は、世界広しと言えどもいないと思います。絶対いないだろうな~。
船のチケットに始まり、朝8時になっても表の扉が閉まったままのユースホステルの受付と言い、とにかく「コラ!」と怒りたくなるアラブにあって、
けれどその一方で、列車に乗り遅れそうな一人の旅人を助けるために全力を尽くして「飛ばせて(ただ落ちただけ)」くれた20人を超える野次馬さんたちの、温かい人間性に触れることが出来ました。
これも一つ、心に残る「誕生日プレゼント?」ですね。最後までアラブらしい演出というか、はぁ、飛んでしまったわねぇ。

以上、段取り最悪でも愛嬌たっぷりのアラブから、エジプトレポートでした。

ではまた、ごきげんよう。

安希

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