113.アフリカのヨーロッパなアラブ③(ラバト)
ハンサムなお医者さんに出会いました。モロッコで逆ナンパのおばちゃんです。

皆さん、おはようございます。
安希@モロッコの首都ラバトに来ています。明後日、カサブランカからイタリアに飛ぶまで、最後のモロッコライフを満喫したいと思います。
何を満喫するかって?それは食べ物、の一言に尽きますね。
まずは屋台でスープを飲み、それから、揚げ魚のサンドイッチを食べて、カタツムリの煮物を炉端でつまんで、最後は手作りのヨーグルトと絞りたてのオレンジジュースで締めくくり。
全部で200円くらいの出費ですね~、幸せです。どうもです。

さて、第3部は、モロッコのお医者さんとの出会いについて。

列車の中で向かいの席に座ったハンサムな男性は、さっきから独り言をブツクサブツクサ…、変なお兄さんだわ…、と思っていたけれど、ここはイスラムの国なので、お祈りの最中?かもしれないと考え直しました。
それにしても長い長いお祈りを、ブツクサブツクサ…。なんだこのお兄さんは…、また変態かしら…、と思っていたら、携帯電話のスイッチがピッと切れて、独り言終了。
よーく見ると、耳に小さなイヤホン、首もとに小さなマイク。そしてお兄さんの両サイドのポケットから二個の携帯電話が出てきた!うわぁ、なんだなんだ~、この人は~。

そこでお兄さんに話しかけてみました。
おばちゃんの、おばちゃんによる、おばちゃんの為の、逆ナンパの一種です。

「最初は独り言の変態かと思いました。次にお祈りをしているのだと思いました。けれどお祈りにしてはあまりにも長すぎると思っていたら、電話中でした。」

こんな調子で知り合った向かいのお兄さんは、英語が堪能で、突然「東洋医学」について話し始めました。
なぜ東洋医学の話なのか分からないまま、聞いていると、以前アガディールの病院に中国人医師が派遣されて、ある患者を東洋か西洋かどちらの治療を施すかで揉めた事があると。
結局、一度東洋医学を試してみることが決定し、患者を中国人医師に任せると、この治療が思いがけず好転して、低コストで素晴らしい結果が得られたのだ、と。
はぁ、そうですかぁ、それはよかったですなぁ。
中国の海外援助政策には、医師の派遣という項目があって、かなりの数の中国人医師が海外で活躍しているらしい。

お医者さんは、「あの一件以来、僕は東洋医学にもとても興味を持つようになった。ただ中国人は英語が全くダメだったし、頑固なので、付き合いは難しかったけどね。」と。
どうしてそんな話しをしているのか、たぶん私がアジア人だから、そんなトピックを探して話してくれているんだわ…、と思いつつ、このチャンスにとハンサムなお兄さんの顔に見入っていると、彼が一言。
「ああ、ところで僕は、医師です。フェスの病院で働いています。自己紹介が遅れました。」
あら~、それで医学のお話しをされていたのですね。
おばちゃんは、お医者さんの顔をじっくり眺めることで、またとない目の保養(視力回復)をさせていただきました。さすがお医者さまですわねぇ~。もしかして目医者さん?(違います)

■モロッコ版、英語で話さナイト

おばちゃんを宿まで送りとどけてくれたドクターは、
「今夜8時に電話してください。母が何か料理をすると思います。英語学校に通う妹達も喜ぶと思います。」と。
「はい。栄養回復、語学練習、目の保養を兼ねて、今夜お伺いします。」
とは言いませんでしたが、もちろん8時に電話しました。

英語塾に通う妹達を迎えに行くついでに、宿までピックアプに来てくれたドクターの車はもちろん新車。
郊外の高級住宅街のお宅は、パレス?のように巨大で豪華でしたが、周りのお家の全部同じ作りでした。

確か、男兄弟があと3人いるはずですが、皆さんそれぞれに仕事をされているため不在で、妹さん達は、一人(高校生)がコンピューターサイエンス、一人が大学で数学を専攻しているらしい。
そして兄弟姉妹に共通しているのが、全員マルチリンガルという点ですね。アラビア語、フランス語、英語がぺらぺら。
高校生の妹さんは特に英語に力を入れているということで、高校生ながら、その高い英語力と物怖じしない態度に驚かされました。
そこで、お母さんのご自慢のモロッコ料理(ビーフ、チキン、そら豆、の伝統料理とオリーブの実)を食べながら、モロッコや日本について話しをしました。

彼女達の関心事は、日本のハイテク文化。モロッコに比べらた、とても進歩した高度な機器を使いこなして生活しているのだろう、と想像していたらしい。
「いや、そうでもないですね。正直言って、モロッコはとても進んでいると思います。街や公共機関、インフラの整備が進んだ便利で快適な国です。日本は確かにハイテク技術の国ですが、私達が生活の中で使っているものはモロッコで皆さんが使っているものとそれほど違いはありませんね。
例えば、皆さんの家にも冷蔵庫やテレビやDVDプレーヤーがあって、みんな携帯電話を持っていて、デジカメで写真も撮るし、インターネットを使い、乗用車やバイクに乗って生活していますが、私達も同じです。日本人だって、自家用ジェットに乗ってロボットに囲まれて生活しているような人はいないと思います。
ただし、違いを挙げるとしたら、開発と生産をしているという点ですね。日本の企業や研究室では、モロッコにはないハイテク技術、10年後に出てくるような技術が開発途中にあって、毎年新しい製品が生み出されています。
したがって、生活レベルで使用する製品のレベルにほとんど差は無いけれど、日本では製品の開発と生産を行っているため、一般生活の中に登場してこないハイテク技術が沢山あり、そこがモロッコとの違いだと思います。」

モロッコの印象はどうですか?
「ヨーロッパの印象ですね。と言っても、私はヨーロッパには行ったことが無いのでこんなことを言うのは変かもしれないですね。ただし、昨年トルコにいたときに、近代化された都市に驚かされ、またトルコが将来のEU入りを視野に入れて、欧米化、自由市場、経済発展を急いでいると聞いて納得したのを覚えています。
そのトルコと同じような印象を受けました。第一印象として、『あら、トルコに戻ってきちゃったの?』と思ったぐらい。両国とも、ヨーロッパに隣接していて、広く豊かな国土を持ち、宗教的戒律の緩和と近代化(金融面も含め)が進んでいる点が類似していると思います。
さらに、最近ヨーロッパに関するガイドブックを見つけて驚いたのですが、その本が乗せているヨーロッパには、モロッコとトルコが入っていたという点ですね。少し古い、ロンリープラネットのヨーロッパ版です。驚きつつも、納得でした。」

皆さんは、モロッコをどう位置づけているのですか?自分達をアフリカ人と認識していますか?ヨーロッパ人ですか?それともアラブ人?
「う~ん。アフリカ人ですけど…。ヨーロッパではないし、アラブとも少し違います。でもアフリカかといわれると、確かにアフリカ大陸の国ですから…、という程度ですね。モロッコはモロッコです。私達はモロッコ人であって、それ以外のアイデンティティーについては余り意識はしていません。」

私が旅をしてきた印象では、モロッコと南アだけは、経済面とインフラ整備の面で、他のアフリカ諸国と一線を画している印象でした。南アには金(鉱物資源)がありますが、モロッコはどんな産業でここまで発展してきたのですか?
「モロッコの主要産業は、元々は農業(地中海性気候でオレンジやオリーブがよく育つ)とテクスタイルです。けれど、テクスタイルは中国の安い製品に押されて最近はだめですね。現在の急成長を支えているのは、外資企業です。現在の国王の方針で、規制が緩和され、外資を積極的に受け入れてきたことで、急成長していると思います。」

うんうん、確かに。以前、タイやトルコからのレポートで書いたことがありますが、地理的利点を生かして外資企業を積極的に受け入れ、急速な近代化に成功し成長を続ける国として、モロッコも例外ではないということです。
スペインとほとんど繋がっているモロッコは、アフリカとヨーロッパをつなぐ、大きな国土を持った中継地点国家です。つまりヨーロッパと中近東をつなぐトルコとますます同じ。

今後、モロッコは更なる発展を遂げて、更なるヨーロッパ化やEU加盟のようなことが実現していくのでしょうか?
「発展はすると思いますが、モロッコにもいろいろな部分、地域があり、問題も多いのです。都市部の発展に比べて、砂漠や山岳地帯などの僻地は全く未発展のままです。水道や電気もなく、テントで暮らしているような民族もいるくらいです。それに人口増加や教育格差や色んな問題が出てきているので、都市部が発展したからと言って、モロッコ全体の生活レベルが上がってくるわけではないと思います。モロッコはモロッコです。」

モロッコの医療制度はどうですか?欧米化が進んでいるのでしょうか?
「医療もいろいろですね。都市部はもちろん西洋医学が主流ですが、地方や民族の間では、精神療法や宗教的な治療法などが施されることもまだまだあります。東洋医学に似たような、モロッコ伝統の医療もあります。それらの医療を、どちらが良いとか進んでいるとか比較することは出来ませんし、都市部の人でも伝統医療に頼る人はまだまだ沢山います。西洋の医療はコストもかかりますからね。
ヨーロッパで勉強する医師も多く、西洋医学の技術習得は進んではいるけれど、それが全てではないところがモロッコです。」

医療保険制度はあるのでしょうか?またあるとしたら、伝統医療にもそれらは適用されるのでしょうか?
「国民皆保険制度は無いです。現在は任意保険のみで、加入している人は総人口の25%くらい。けれど国王の政策で、もうすぐ国民皆保険が実現します。この制度は、今までは真っ当な医療サービスを受けられなかった多くの人々を救うと思います。僕は、素晴らしい制度だと思っています。ただし、伝統医療の場合は、ちょっとシステムが違ので適用されないでしょうね。」

国民皆保険になって、医療サービスを受けられる人口が拡大するのは良いことですが、それに伴って国が負担する医療費も増大します。大丈夫でしょうか?
「どうでしょうねぇ…。まだ始まっていないから何とも分からない。」

日本では、少子高齢化が進み、増大する医療費が国家予算を圧迫しつつあります。そこで、私達は効率よくコスト削減を図らなくてはいけなくなり…、打開策のオプションの一つとしてITを使った医療、遠隔医療なるものが試されつつあると…。(フォーラムのことを少しだけ説明)
「興味深いですね。僕もそういうシステムについては聞いたことがあります。遠隔医療ね。けれど、僕が知っている遠隔医療は、より高度な医療技術を目指すためのものなので、コストはさらにかかるものばかりです。コスト削減のために使うのはすごいですね。僕達の国はそこまでは進んでいません。例えばコスト削減のための、ITを使った予防医療という話がありましたが、予防医療という考えもまだないですね。」

地理的条件に恵まれたモロッコなので、ヨーロッパの医療と提携して医療技術を簡単に輸入できたりするといいのにねぇ~、と思ってしまいました。それにモロッコは、アフリカを牽引していく国なのだし。
「すごい話ですね。実現したらすごいね。でもまだまだ国内基盤の整備(基本的な医療サービスの浸透)だけで精一杯ですね。」

■モロッコの将来

モロッコなんてただの砂漠の国だと思っていたら、大間違いでした。すごい可能性を持った国です。
アフリカ大陸にありながら、ヨーロッパとアラブを兼ね備える国。地理的条件に極めて恵まれた温和なイスラム国家として、世界の通信、金融、政治、そして医療面も含め、将来的にキーになっていく国かもしれないと思いました。

豪華な夕飯を囲んで、デタラメな話も沢山しました。いらないことを色々話しているうちに、夜も遅くなり、おいとまの時間になりました。
ドクターに、
「明日、フェズの街を案内しようと思ったいたのだけれど、仕事が抜けられそうにないので、夕方6時ごろ、電話してください。」
と言われたおばちゃんは、もちろん翌日の6時に電話しました。すると、
「今から病院に戻らなければいけないことになりました。申し訳ないです。メールアドレスを聞き忘れたので教えてもらえますか?」

もう少し話してみたいことがあったので残念でしたが、電話を切ってなんだかホッとしました。
なぜなら、ドクターが忙しそうに働いていたからです。
他のアフリカ(発展途上の国)の男性達は、とにかく暇で暇で、外国人を見つけるとず~っと付きまとってくる人が多かったので、「それなりに忙しく活動している人」に接することが出来て、妙に安心しましたね。

モロッコで出会った人々、タクシーの運ちゃんもドクターもそれぞれ一生懸命に働いていて、妹さん達は勉強に励んでいました。
ああ~、先進国に戻ってきたぞぉ~。

以上、モロッコ情報でした。いよいよアフリカを脱出してヨーロッパへ入ります。
ヨーロッパは旅行ではなくて、各国の友人宅をめぐる旅、「ヨーロッパ居候行脚(いそうろうあんぎゃ)」ということでめまぐるしく動き回る予定です。
過密スケジュールのため、レポートを書く時間はほとんどないと思いますが、「おお、コレは!」というようなことがあれば、少しでもメモしてレポートしたいと思います。
どうぞよろしく。

ではまた、ごきげんよう。

安希

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