112.アフリカのヨーロッパなアラブ②(シャフシャウエン)
トラックの運ちゃんと続ける砂漠の旅。アラブ式お風呂屋さんで、これぞまさしく裸の付き合い?!

モロッコレポートの続き、「アフリカのヨーロッパなアラブ」②です。

■裸の付き合い?IN モロッコ

運ちゃんと二人なった後もさらに北上を続けていると、お昼時になって、運ちゃんの友達のトラックに「行き着けの焼肉屋」で追いつきました。
もう二人のトラックのドライバーも加わって、今度は四人で肉の塊を食べながら、我々の「地球語(一般言語は通じないので)」で話していると、別のトラックのドライバーが言いました。
「アガディールから先はどうするんだい?」と。
「私はマラケシュまで北上するから、アガディールのホテルに今夜は泊まって、明日の朝一でバスを捕まえてマラケシュに行こうと思う。」
すると、ドライバーは嬉しそうに言うのです。
「だったら、僕と一緒に行けばいい。明日、僕はマラケシュ経由でカサブランカまで荷物を運ぶから、僕のトラックに乗っていけばいいじゃないか?」と。
もちろん地球語しか話せない我々の会話なので、100%ではないけれど、アガディールから先は別のトラックの運ちゃん(仮名、運ちゃん2)についていくことになりました。

さて3時ごろアガディールに着き、運ちゃん達の出入りしている倉庫などへ挨拶周りを済ませ、ついに運ちゃん2のお家へ到着しました。
ここまで乗せてきてくれた運ちゃん1ともコレでお別れ?と思い、お金を払おうと思っていたら、皆さんが私のバックパックを持って家の中へ入っていく~、待ってぇ、みんな待ってぇ~。
運ちゃん1も、夕飯の時にまた来るから、と言い残して、さっさと車を動かして行ってしまいました。まぁ、仕方ない。夕飯の時にまた会えるならその時でいいかぁ…。

運ちゃん2のお家には、奥さんと妹2人と1歳半の娘が住んでいて、「地球語」で挨拶を終えるとすぐ、女性達は夕飯と支度に取り掛かりました。
そしてお夕飯は、モロッコ伝統料理のタジン(お肉と野菜の煮込み)です!絶品。肉はとろとろ、ズッキーニはふかふか。モロッコサラダもついて、超豪華。食べ物の力って、すごいです。
だけど、来るはずの運ちゃん1が来ない…、お金、渡さないといけないのに…。

お家には、キレイなベッドやガスコンロや冷蔵庫や水道やテレビやDVDプレーヤーがあって、女性も全員が自分の携帯電話を使いこなしておられました。モロッコはほぼ先進国、との印象を受けました。
特に、その地形的、地理的条件や、文化や発展度合いから見て、将来のEU加盟を視野に入れていると言われるトルコ、とかなり類似しているとの印象を受けました。

翌朝もチーズにクロワッサンに自家製パンにフレッシュミルクにコーヒーに、と感動的な食事が続きました。
そしてまたお昼ご飯がタジンでして…、こんどは豆とお肉のタジン!ああ~、良いのだろうかこんなに贅沢をしていて…。

けれどよく考えると、私は確か今日、マラケシュへ行くんじゃなかったかしら?本当にマラケシュへ行くのかしら?ご飯食べてだらだらしている場合なのだろうか?
そこで地球語で、マラケシュへ今日行かなくてはいけないことを伝えると、女性達は「どうして?もう一晩泊まってから行けばいいじゃない?明日にしましょう、マラケシュは。」のノリになってきました。
「いや、お泊りは楽しいんだけど、実は予定が押していて、最後カサブランカから飛ぶまでは、あまりゆっくり出来ないの。だから旦那さんのトラックが今日出るのなら、どうしてもそれに乗ってマラケシュへ行かなくてはいけない。」と、おばちゃんは言いました。

すると女性達は、
「だったらハマムへ行きましょう。そうしましょうよ!」
「はぁ?ハマム?ってあのアラブ式お風呂屋さんのハマム?」
どこからハマムが出てきたのかは分からないけれど、女性達は地球語で口々にハマムを繰り返しました。
「ハマムへ行きましょう。みんなでハマムへ行って、その後でマラケシュへ旅立てばちょうどいいじゃない?」
何がちょうどいいのかは不明だけど、本気でハマムへ行くらしい。

けれどディルハムの小銭しか持っていない私は、「まず銀行へ行ってお金を両替しないと、ハマムにもマラケシュにも行けない」と伝えました。
ドルとユーロとディルハムの小銭を全て絨毯の上へ並べて、説明したわけです。「このユーロをバンクに持っていくのね。それでコレが、ディルハムになるのね。そのディルハムを持って、テクテクテクって歩いて、ハマムね。で、気持ちいい~、ハマム~ね。分かる?」
すると、女性達は「何のこっちゃ?」という顔でしばらくポカーンとしてから、お金の問題だと気づくと、
「問題ない!心配するな!」をフランス語で連発。
そんなことなら問題ない、と大興奮の皆さんは、わたし用のタオルや石鹸や垢すりやパンツやらをせっせと準備し始めました。
「あの~、パンツは自分用があるからいいです。大丈夫です。」

近所のハマムへみんなで歩いて行ってきました。アラブ式のスチーム風呂、一種のサウナですね。
パンツになって(日本の銭湯と違ってパンツだけは、はいている)、まずは奥の部屋へみんなで入り、敷物を並べてリラックス。あったか~い。気持ちいいですね。
次にバケツに何杯ものお湯を汲んできて、洗浄。モロッコ名産のアルガン石鹸をお互いの身体に塗りあって、次は垢すり。みんなで順番に背中をこすり合いました。

地球語しか話せない私達の「裸の付き合い」です。

数日振りに入るお風呂(移動が続き、シャワーを浴びていなかった。)、数ヶ月ぶりに浴びる沢山の温かいお湯が、どれくらい感動的で幸福かを、言葉で表すのは無理だと思いました。
気持ちいいどころの話じゃなかったです。幸せだ~。モロッコだ~。アラブだ~。ありがとう~。

2時間くらいハマムで過ごし、帰宅すると、運ちゃん2とお友達が「マラケシュへ行こう!」と言い出したので、いよいよ出発の準備をしてみんなにお別れを言いました。
さて我々は一路マラケシュへ、と思ったら、運ちゃん2は地元の有名バス会社へ私を連れて行き、「僕はマラケシュへは一緒に行けなくなった。だからバスでもいいかい?」と。
「そうなのかぁ、一緒に行けないのは残念だけど、バス停まで送ってもらってありがとう。」
お礼を述べて、バイバーイするのはいいけれど、ところで昨日乗せてもらった運ちゃんはどうすればいいのだろうか…。どうやってそのことを伝えればいいのだろうか…。
と悩んでいると、バイバーイのはずの運ちゃんとお友達が、私のバックパックを持ってバス会社の窓口へ歩いていってしまいました。

「ああ、運ちゃん2、待ってぇ、待ってってばぁ。私は今から銀行へ行くんだよ~。銀行へ行かないとディルハムがなくてチケットが…、だからもういいよ、カバンだけその辺においていってくれればさぁ~。」
運ちゃん2は、私の地球語を理解したようでしたが、意にも介さぬ面持ちで、窓口へ勝手に突進。チケットを買って私に手渡し、お金のことは「問題ない!」とフランス語で言いました。
それは良くない!12ドルのチケット代を運ちゃん2が支払う義務は全くなく、また何度も食事をご馳走になって、お泊りして、ハマムにも連れて行ってもらって、お友達の運ちゃん1のこともあるし、どうしたらいいのだろうか…、アラブのもてなしとは言え、これはもらい過ぎだ。
と思った私は、ポケットに入っていた20ドル札を取り出して、運ちゃんの胸につき付け、「これで、約150ディルハムある。バンクへ持っていけば、サンクセンカント(フランス語で150)ディルハムになるから、これ、持って行って!」

すると、運ちゃん2は、何を勘違いしたか、「おお、そうか、150だね、ちょっと待てよ…。」と150ディルハムをポケットから取り出して数えだしました。
どうやら、ディルハムを持っていない私が、両替を求めていると勘違いしたらしい。
「違うよ。これは運ちゃん2が持っていく分だよ。ビュス(バス)と、マンジェ(食事)とドルミ(宿泊)と…、シュクラン(アラビア語のありがとう)ね!分かる?バンクに持って行ってね。分かる?」

意味が分かった運ちゃんは、一言「ノー」と言って首を大きく横に振り、20ドル札を私に返すと、最後に堅い握手をして、清々しい笑顔で去っていきました。
運ちゃん達、一切お金を受け取りません。
チケットを握り締めて、しばらく呆然のわたし…。言葉が出ません。

3泊4日、2000数百キロに及ぶ西サハラの旅を、ついに一銭も使うことなく来てしまいました。

地球語しか話せない私達。
私は、運ちゃん1にも運ちゃん2にも、電話でありがとうを言うことができません。メールをすることもできません。
彼らの名前すら定かではありません。
だだ、運ちゃん1のカメラのフィルムに、「トラックに勝手に乗り込んできたジャパニーズ」と撮った何枚かの写真が残り、私の記憶の中に「信じられないくらい明るくて気前のいいモロッコの運ちゃん達」との思い出が残っていきます。

観光地マラケシュについた後から、ヨーロッパをはじめとする各国からの旅行者にどど~っと会いました。そこらかしこにいます。
そんな旅行者とモロッコについて語ると、「モロッコは金とセクハラに汚染させている。とか、モロッコ人は必ずボッってくるから鬱陶しい。モラルを疑うよ。」というような話になります。
確かに、観光客を相手にしているモロッコ人とは、私もほとんど関わりあいたくないと思っています。(お金が絡むか、話しがとてもつまらないから)。
そんな話しの途中で、私が出会った運ちゃん達やその家族の話をすると、みんな驚きますね。「それ、本当にモロッコ人?」と。

はい、モロッコ人です。私は、彼らこそ本当のモロッコ人だと思っています。

今回もまた医療と無関係のレポートになっていますが、ではモロッコについて彼ら運ちゃん達の前に、誰について何について書けばいいのでしょうか?
他のことなら、新聞やガイドブックを読んでください、と言いたいです。

言葉の通じない「本当のモロッコ人」「アラブの奥深さ」との出会いから、次は言葉の通じるモロッコ、「ドクター一家」との出会いについて。
第3部へと続く。

安希

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1件のコメント

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    久しぶりです。
    モロッコ人は評判と違いホントに暖かいって言うか、旅人に優しいですよね。
    俺もあちこちで何度もお世話になりました。
    ああ、タジン食べたい!

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