95.看護大学におじゃま(ボルガタンガ)<BR>ガーナ北部の田舎町で、看護大学を突撃訪問。遠隔医療と医療教育。そして何より、未来について。

皆さん、こんにちは。安希@実はもうブルキナに来ていますが、ガーナレポートをもう一本。
クマシからボルガタンガという北部の町へ向かうバスで出会った女の子の家族の話です。

クマシの紳士に乗せられた長距離バスは、普段私が使うローカルのオンボロとは違って、所得が高めの人が使うバスでした。
ボルガタンガへ夜9時ごろ到着し、さて困った。ホテルをどうやって探そうか、と思っていると、バスで隣の席だった女の子が、彼女のお母さんが迎えに来るので乗せていってあげようと声をかけてくれました。
そしてそのまま、その子のお宅へお邪魔し、寝泊りさせてもらうことになりました。
アフリカ二度目の「突撃民泊」です。

さすが「良いバス」に乗り合わせた女の子だけあって、どうやら街のちょっとしたお金持ち一家らしい。お家も周りの家よりは随分立派でした。
そして二晩お世話になり、いよいよブルキナへ向かう朝、いつも忙しい一家のお父さんとたまたまリビングルームで居合わせて、話していると…、分かりました。

お父さんは、この街の看護大学の校長先生なのです。そして、あなたが日本へ帰って、もしも知っている看護学校があれば紹介してくれませんか、私達の大学と提携してくれる学校探しています。という話になり…、
また、あなたが日本の外務省にいて、ガーナにテクノロジーの部分で何かを支援するとしたら、何が最も効果的だと感じましたか?との質問もあって、う~ん、パソコンとインターネットかなぁ・・・という話にもなり…、
実は・・・、ということで「アジアパシフィック医療改革フォーラム」のことを話してみました。
すると校長先生はとても興味を示されて、そのあと私は大学見学に行くことになり…、という、つまりそういうお話です。

■田舎の大学とインターネット

案内された田舎の大学では、看護師を目指す地元の優秀な若者達が勉強に励んでいました。男子生徒数が、女性徒数を若干上回っているらしい。
授業風景も是非見て言ってくださいといわれ、おばちゃんが教壇に立たされてしまうと、生徒がいっせいに起立。ひえ~、私はタダのおばちゃんなので、そんなに礼儀正しくされても困ります…。

大学で今力を入れているのはパソコン。PCルームを作って、生徒にパソコンに慣れさせて、これからは、医療データなどの処理を出来るだけ電子で行っていきたいと、熱く語っていただきました。
大学の隣には町の医療設備もあって、田舎町とは言え、まずまず立派なものでした。特に最近デンマークのNGO?の支援で作られた治療室はピカピカで、先生達の自慢の施設でした。

資金不足によって苦しんでいる分野が二つ。一つは実験室。もう一つは薬剤なのだそうです。田舎なので実験室の充実は難しいけれど、薬不足は解決していきたいと話されていました。

■医療保険制度

ガーナには、国民健康保険に相当する保険制度があります。以前はカバー領域が狭くあまり効果が無かったそうですが、近年法改正が進み、例えば乳ガンのような専門性を必要とする医療行為も保険の対象になってきた。とのことです。
ただし、保険でカバーされる薬の種類は現在もかなり限られていて、少し良い薬になると、患者は薬局から自費で購入しなければなりません。
しかもそういった薬は輸入される量がもともと少なくて、手に入りづらく、とても高額なので一般市民には手が出ないのだそうです。

校長先生は、西洋医学は薬やハイテク機器などの導入が必要になりあまりにもお金がかかりすぎるので、もっと東洋医学を混ぜていけないかと模索しているのだと話されていました。
特に針灸や漢方薬のことに興味がある様子でした。
私が高校生の時にテニス肘にかかり、レーザー治療も塗り薬もシップ薬も、なにも効かず、最後に試した針灸であっというまに痛みが引いた話をすると、目を輝かせておられました。
確かに、レーザーやシップ薬を輸入するより、針を打てる医師を育てるほうが、経済的かもしれません。

薬も同じで、西洋医学の薬は高すぎるけれど、アフリカにもハーブ類はあるので、それらを使ってもう少し自然に低コストで治療を進めていけると効率がよいとのことでした。

■人的資源の流出

前回のレポートで、ガーナ社会の経済格差について書きましたが、都市部と農村の経済格差に伴って、優秀な医師や医療機関が都市部にのみ集中してしまう傾向がガーナでも強く、優秀な人的資源が、まずは都市部に流出し、さらに海外にも出て行ってしまうことが一番深刻なのだそうです。
都市部の医師は、給料がいい上に、医療機関が集中している地理的優位もあって、二つの病院をかけもちしている医師が多く、給料の差は、都市と農村では2倍以上。
さらに、子供の教育のことなどを考えると、都市志向、海外志向がさらに深まる、とのことでした。

クマシで都市計画をずっと進めてきた紳士も、ガーナの優秀な医師は、みな海外にいってしまう、と話されていました。

■医療格差と遠隔医療

農村から人的資源が流出し、医療サービスの格差に嘆く農村の看護学校の校長先生は、「遠隔医療」や「遠隔教育(提携)」に強い関心を持たれているようでした。
今のままで格差だけが広がると、農村の医療学校自体が、都市部で必要とされる医療行為にすら追いつけなくなり、教育の格差が生まれ、農村部の優秀な学生がさらに都市部の学校へ流れていく可能性もある、と。
したがって、農村部にいても、医師や学校の先生や生徒が、常に都市部と連係して教育や医療サービスを進めていく必要があります。
今回お話をした方が、教育関係者ということもあり、「医療行為」というよりは「医療知識」がより平等に地方大学へも供給されるシステムを望んでおられることを切に感じましたよ。

ところで、ガーナ第二の都市であるクマシで、高所得者層にあり、しかも海外留学経験ありのクマシの紳士によれば、都市部ではすでにヨーロッパとの遠隔医療提携が始まっているとのことでした。
けれど、そのシステムはまだまだ始まったばかりで、それだけの高度&高額医療の恩恵を受けられる人口は極端に限られていますし、またガーナ国内の医療設備がヨーロッパより劣っている以上、最終的な治療段階になって、患者は結局ヨーロッパで治療を受けることになる。と。
つまり、遠隔医療の試みはあるけれど、とてつもなく高いコストのケースのみが試されている。それが現状のようです。

以上、簡単にですが、ガーナの看護大学見学をレポートしてみました。
校長先生は、田舎の看護学校および医療レベルの向上、また低コストで効果的な医療サービスの模索という点で、とても熱心に地元のことを考えておられるのだなと、感心させられました。
ちなみに、校長先生のお名前はムーミン。とても温厚な、まさにムーミンパパの印象で、まさか看護大学の校長先生だとはつゆにも思わず、二日間の勝手なお泊りをさせてもらいました。
ムーミン先生の地元への夢が実現していくことを祈るばかりです。

それではまた、ごきげんよう。

安希

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