93.人脈、そして金脈「前編」(クマシ)<BR>ガーナのリッチ社会へ紛れ込んだおばちゃん。リッチから次のリッチへ、人脈ってすごいのねぇ。

皆さん、こんばんは。安希@ガーナ第二の都市クマシから。
ガーナ入りして早くも3週間。西アフリカのパワーに完全に魅了され、首都アクラ周辺にて長期滞在してしまいました。
ビザが切れる前に次の国へ抜けなければいけないので、後ろ髪を惹かれる思いで、現在ガーナを北上中です。

さて、旅を続けて1年半。ずっと楽しみにしてきた最終目的エリア、西アフリカの旅が始まりました。
芸術、音楽、民族、レゲエ、伝統文化に建築に…、と見たいもの盛りだくさんなうえ、料理も結構美味しい西アフリカ、こんな場所にいると遊びすぎてしまいます。困った困った。
ところで今日のレポートは、何もレゲエのお話ではございません。ガーナにて経済格差に関係する出来事や出会いをいくつか経験しましたので、そのお話をちょこっと。

始まりは、カイロ経由だったガーナ行きのフライトでした。乗り継ぎのカイロで偶然知り合ったガーナ人のビジネスマンとすっかり仲良くなって、アクラ到着後もずっとお世話になることになりました。
ガーナ人で世界を飛びまわれる経済力と言えば、やはり一般のアフリカ人とは違います。
28歳とはいえ、自宅と数件の店(バーなど)を所有し、車はBMW、タクシーも一台持っていて、運転手(彼のいとこ)に運転させています。
そして何より特徴的なのが、彼の忙しさと人脈でした。とにかく携帯は常になりっぱなしで、朝から晩まで人と会い、BMWで忙しくアクラの街を走り回っていました。

彼は、旅人の私のことも心配してくれていたらしく(旅なれているので心配は全く要らなかったのだけれど)、ホテル探しに始まり、その他ほぼ全ての移動と、食事(かなりご馳走になってしまった)をいつも手配してくれました。
彼が忙しいときには、使い走りの弟がタクシーで迎えに来るわ、遠距離になれば従兄弟のタクシーで送迎がつくわ、のえらい事になってしまって、甘ったれた旅になってしまいました。

■人、人、そして人

さて、忙しいのに気遣ってくれるMr.ビジネスマンは、日が沈んで過ごしやすくなる夕暮れ時になると、BMWでやってきます。そしてここからが人の嵐。
彼の友人が店や、家や、レストランや、道端や、とにかく何所にでもどんどん現れて、次から次へと新しい人に会い続けている感じでした。
そして何をするかと言うと、Mr.ビジネスマンは友人に私を紹介すると、次に現れた誰かの車に乗り換えて、さーっとどこかへ行ってしまいます。そこで私は、今紹介されたばかりの誰かさんと置き去りにされたまま、彼が戻ってくるまでの時間をホールドする、と。
紹介される人は、PCや機械関係のエンジニア、ビジネスマン、大使館職員など、ガーナでは所得が高い部類に入る人ばかりでした。

とりあえず出会ったばかりの人たちと、食事をしたり、飲んだりしながら、会話をし、名刺をもらい、Mr.ビジネスマンが戻ってくるのを待つ。
待っているうちに彼の友人達ともすっかり仲良くなって、またここから違う出会いが始り、兎にも角にも、アクラは毎日が人、人、人。
アフリカ人とは言っても、彼らの生活には、お金と人脈と車と携帯とインターネットが完備されているので、出会った翌日にはもうメールが来て「あなたがアクラを出る前にもう一度会いましょう。次はうちの家族を紹介するよ。」いったペースで物事が進んでいきました。
とても忙しかったです。

旅をしていると仕事をしていたときとは違って「週末」が無いので、ふと気づくと何週間も休まずバタバタしている自分に気づくことがありますが、まさにそんな感じでした。
それにしても、彼の人脈というか、周辺に多くの人を引き連れて多忙に動き回っている姿には、驚きました。
アフリカ人=暇そうに路上で井戸端会議をしている人、というイメージからはかけ離れた生活のアフリカ人達(彼の友人達も含め)に一度に沢山会ってしまったのだと思います。

■ドラムと、自炊と、ラスタマン

さて、アクラ生活3週間とはいっても、そのうち1週間は、Mr.ビジネスマンのビジーライフから逃れるべく、レゲエ音楽とラスタマンと太鼓が有名なビーチ沿いの街で過ごすことに決めました。
目的はレゲエの生バンド、民族音楽生バンド、そしてアフリカの太鼓を習うためです。
有名なアカデミーがあると聞いて、先生を探しに行ってみたけれど、アカデミーの先生のレッスン料はとても高く、貧乏バックパッカーには支払えない。

そこで、先生も見つからないまましょんぼりと道を歩いている途中、一人のラスタマンと出会いました。そのラスタマンは過去に、ジャンベ(太鼓)の本場のマリやブルキナファソでプロのドラマーとして活動していた人物。
いろいろと話をしているうちに、ラスタマンが私にジャンベを教えてくれることになり、レッスン料の代わりに、私が1週間分の食費を持つことになりました。

水道なし、電気なし、もちろんガスなし、のラスラマンの小屋で朝から練習し、海辺で買ってきた魚などを炭火で調理して食べる毎日。
このラスタマンは最近リベリアからガーナに戻り、新にアートクラフトショップを始めたばかりの人で、はっきり言って所得はとても低く、お金が無くなると食事も無くなるギリギリの生活者でした。
そんなラスタマンの生活は、異国の旅人にジャンベを教えて、ご飯を作って食べて、あとはダラダラ。そこでおばちゃんは聞きました。
「レッスンをしてくれてとても嬉しいのだけれど、毎日、こんな風にダラダラ過ごして、あなたの仕事のほうは大丈夫なのかしら?」と。

するとラスタマンは、
「仕事をしようにも、今はお金が全く無くて、新しい店につける電球やペンキが買えない。だから何も出来ない。」と言いました。
そんなにギリギリなのかぁ~、と驚くおばちゃんは言いました。
「ペンキを買うお金を作らないといけないんじゃない?」と。
「だから、商品が売れるのを待っているんだよ。それでお金が出来たらペンキを買う。」
「今ある商品は数が少なすぎるよ。もっといっぱい生産して商品を店に並べないとお客は来ない。」
「商品を(アクセサリー)を作るワイヤーがもう無いんだよ。これを買うには首都アクラまで行かなくちゃ行けないけど、そのバス代がない。」
「…。」

ビジネスをしていく元手が底を着いているラスタマン。私が食材を買わないと絶食してしまうラスタマン。
そこでおばちゃんは、ラスタマンの最初の客になり、彼のアクセサリーを少し高めの値段で数点買うことに決めました。ラスタマンよ、私からの売上金を上手く使ってビジネスを進めておくれ!という気持ちです。

こんなことがあって、私達はガーナやアフリカの社会について色々な話をしたのですが、ラスタマン曰く、
「アフリカの社会には、雇用機会の均等とか、社会保障の考えがほとんどない。彼がペンキを買うために他の仕事を少してお金を作ろうとしたところで、絶対に仕事など見つからない。なぜならアフリカでの就職は全てがコネだから、人脈がないと仕事は得られない。」と。
おばちゃんは少し反論しました。
「確かにそれもあるかもしれないけど、アクラで出会った「仕事をしている人々」はとても忙しそうに働いていて、例えばペンキがなければ、無いからと言って毎日何もせずにボヤ~っとお金が回ってくるのを待っていたりはしない人たちだと思う。いろんな手を使ってお金を稼ぎに出かけていくし、計画的にお金を使っている点が違うように思うけれど。」
「君は外国人だから分からないんだよ。例えばガーナの高所得者は決して僕達には話しかけてこない。彼らとはもともと住む世界が違っていて、教育も生活も職業もコネも全部別次元で動いているんだよ。君が話していたビジネスマンが君に声をかけたのは、君が外国人だから。アフリカでは外国人は金持ちでインテリということになっているから、彼らは君と友達になろうとするし、人を紹介もするし、彼らの仕事内容を君に大っぴらに打ち明けたりもする。そんなことは、僕には絶対しないことだよ。」

貧乏サイクルの原因が「人脈」なのか「怠惰」なのか、そんな話をした翌日、ラスタマンにココナッツボタンの注文がフランスのカバン製作者の女性から入りました。
届け先はブルキナファソの首都ワガドゥグ。女性がクリスマスにブルキナ入りする際に届けてほしいとのことでした。やった~注文が入りました!
ガーナのあと、ちょうどクリスマスまでにはブルキナ入り予定の私が持っていけば、送料もかからないし、ちょうどよい。ということで私がビーチの町を離れる前に、受注したボタンを作らなくてはいけません。

ところがラスタマンは、ぼやぼやしていてなかなかボタン生産に取り掛からない。早くしないと私がもう街を出てしまう!と何度注意したか分からないけれど、最後のほうは必死になってボタンを作りおえました。
時間に追われて、私もボタン磨きを手伝いました。全て手作業で、とにかく時間がかかり、これを全部作ったところで一体いくらの儲けになるのじゃ?と言いたくなるような骨の折れる作業でした。
それでも、電気の無い小屋にロウソクを立てて夜までボタンを作っていたラスタマンの姿を思い出すと、ブルキナまでちゃんとお届けしなければいけない、という気持ちになりましたね。

それと同時に思い出したのは、Mr.ビジネスマンの18歳の弟の姿。BMWに乗ったままで路上の物売りたちから品物を買う際、見下したようにお金を窓から投げ捨て、物乞いを笑いものにしていた姿。
彼が投げ捨てたお金の額が、ラスタマンの作ったココナッツボタンを上回っていないことを、おばちゃんは祈るばかりです。

ちなみに、もちろん仕事経験も無く、大富豪の叔父に育てられて一般の公共バスなどにもほとんど乗ったことの無い、おぼっちゃま18歳を連れて、おばちゃんは2時間はなれた町へ観光に行き、その際に「カツ」をいれさせていただきました。
自分の家とBMWを出たとたんにおどおどする弟。すぐにタクシーに乗ろうとする弟。普段はかっこよくBMを乗り回しているあの姿はいづこへ?
Mr.ビジネスマンも嘆くおぼっちゃま弟の初めての遠出の相手役となったおばちゃんには、お坊ちゃま君の金銭感覚は痛手となり、だんだん腹が立ってきた。うんうん、金を稼いだことも無いくせに偉そうにタクシーなんか拾うな!と。(でも結局3回もタクシーに乗り、支払いは全て、おばちゃん。泣。)
おばちゃんの教育(弟へのカツ)は、Mr.ビジネスマンには一応感謝されました。この先、お坊ちゃま君は、イギリスへ留学させられて、海外でもまれる予定、との事ですが、イギリスの金持ち親戚に預けられるだけなら、結局一緒なのではないかと思います。

家柄の差というか、生まれの差というか、階層社会とは怖ろしいものだと感じました。
外人=金持ち、だけど貧乏バックパッカーなので、低所得者と同じ乗り物、同じご飯、の私は、両方の世界を一度に体験できてしまいます。
そしてその歴然とした差に驚くばかりです。

続きは後半にて。

それではまた、ごきげんよう。

安希

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