78.ウガンダの孤児を訪ねて「医療編」(ウガンダ南部)
HIV、マラリア、アフリカには病気も多いけれど...。良心的な医療が地元住民をサポートしています。

「ウガンダの孤児を訪ねて」の医療編です。子供達が沢山いるということは、つまり日々ちょっとした怪我や感染症、病気や体調不良と付き合うということを意味します。
なかでも、頭が禿げたり、皮膚の内側にジッガという卵(膿?)が入ってしまったり、小さな傷が化膿してしまったり、という程度のものは頻繁におこります。
頭の禿に薬をつけて、ジッガと言う卵を針でつっついて掘り出し、膿を出して消毒をして、というのが先生や大きいお兄ちゃんお姉ちゃんの仕事。チビちゃん達は、神妙な顔つきでジッと痛みに耐えている様子でした。

そんな田舎の子供達と医療の関わりを今回はレポートします。

■コミュニティー病院

ある日、5歳の男の子の足から腰にかけて沢山のできものが出来ていることに気づきました。しかも、引っかいた部分は化膿してしまっている。そこで彼を連れて、もう一人のお兄ちゃん(12歳くらい?)と一緒に地域の病院へ行くことになりました。
興味深かったのは、病院へ行く前におめかしをしたことです。お姉ちゃんがチビちゃんをお風呂にいれ(水浴び)、お兄ちゃんがよそ行きの服をチビちゃんに着させて、お出かけ準備をしてから病院へ。お兄ちゃんもお姉ちゃんもチビちゃんも、一つ一つの行動が、しっかりしていてかわいいくて、おばちゃんはまたもノックアウト。
病院は学校から40~50分歩いたところにある少し大きめの村にあります。いつもは元気な男の子も、病院に行くと聞いて緊張したのか、黙りこくったままとぼとぼと歩いてついてきます。そして病院へ着くと、すぐに診察室へと通されました。

病院は小さな平屋のコンクリートの建物でした。小さいけれど、診察室にはちゃんと机と椅子と水道までついていて、しかも電気もある!医療器具らしきものはほどんど見当たらなかったけれど、聴診器はありました。
診察の結果は「草むらの中を素足で走り回って沢山の切り傷ができ、そこからばい菌が入って感染し、化膿した。ので、できるだけ長ズボンを履かせて、朝晩2回シャワー(水浴び)をさせて清潔に保ち、薬を飲んで様子を見てください」とのこと。

さて、診察が終わると、横にある薬局へ薬をもらいに行きました。看護婦兼薬剤師?みたいなおばちゃんが薬の名前を紙に書いてくれてました。
一つ目は抗生物質。要するに化膿止めですね。看護婦さんは男の子に口を開けさせ、その中に大粒の抗生物質の錠剤を一つ放り込みました。水なしです。従って、男の子は抗生物質をボリボリっと噛んで飲み込みましたよぉ~。ええっ~、そんな飲み方アリですの??
二つ目の薬は良く分からないけれど袋に入った錠剤で、一日3回、8時間おきに服用するようにとのこと。
三つ目の薬は病院には無いので、プライベートの薬局へ行って購入するようにと。そして薬リストをもらったら、次は注射のお時間です。

注射の部屋の外で待機する私達。一つ前の順番の幼児が、泣き叫びながら母親に引きずられて室内に入っていく様子を、ジーッと観察。男の子は何とも言えない表情で黙りこくっています。
さて私達の順番になり、看護婦さんがドアを開けてくれると、男の子は自分でちゃんと歩いて一人で室内へ入っていきました。おお~、なんてたくましいのだ!お兄ちゃんは、ニヤニヤしながら窓から様子を見ています。おばちゃんは同伴したほうが良いのかしら?どうかしらと思いつつ、開けっ放しのドアから男の子を観察。
男の子は自ら寝台に上がり、そこで不安げに私達の方を振り向きました。看護婦さんが近づいていくと、ついに、男の子がシクシクと泣き出してしまいました。

お兄ちゃんはそれでもニヤニヤっと注射見物を楽しんでいる模様。男の子がさらに激しく泣き出したところで私も部屋に入って、ちょっとかわいそうだけれど「男の子を力でねじ伏せる!」お兄ちゃんも飛んできて男の子を押さえつける!
看護婦さんが注射器を持ってくると、泣き叫んで暴れれだしました!お尻を手で覆って、注射をさせてくれないのです。ここでもう一人男性のスタッフが飛んできて、男の子の手を押さえ、私が足を押さえて、看護婦さんがお尻にブチュッーと注射しましたぞぉ。
この注射の針の太さには私も仰天でした。これまでの人生で様々な注射針、点滴の針を見てまいりましたが、あんなに太いのは初めてでした。あれだったらおばちゃんでも泣き叫びたいです。アフリカの注射は凄かったです。

注射も無事終わり、男の子は涙を拭いて、我々は帰路につきました。ところで、診察料も薬代も払わなかったことが不思議で、そのことを後で学校の先生に聞いてみると:
ウガンダでは、行政のやっている病院では無料で治療が受けられるのだそうです。
政府主導で、それぞれの地域(ちょっと大きい村)に病院が配置されており、地域の住民は、軽度のものであれば、公立病院で診てもらって、無料で薬が処方されます。

私達が行った病院には別棟もあって、そこは産婦人科でした。確かに、各地域に一つは必要です。
子供がちょっと熱を出したり、怪我をすることが多い孤児院にとっては、この無料医療サービスはとても助かっていると話されていましたね。
ただし、公立病院では治せないようなもう少し高度な医療行為を求める病気や、公立病院では取り扱っていない薬、また薬切れの場合は、患者が自分で民間病院へ行って、自費で診療を受けることになります。薬も買いに行かなくてはいけません。

地域住民が気軽に利用できる無料病院は、感染病の拡大や病気の放置による悪化を防ぐ役割も果たしているのではないでしょうか。特に途上国の医療では、高度な医療の実現より、ちょっとした予防医療や応急処置、衛生管理の徹底が大事なように思いましたよ。

■マラリア

行政がサポートしている医療サービスの一つに、マラリアの治療があります。マラリアは赤道周辺のアフリカ地域では本当に深刻な病気なのです。
一度かかっても免疫が出来ず、何度でもかかってしまう病気。またハマダラ蚊がいる限り撲滅も出来ないし、予防注射もない。予防薬はあるけれど、飲み続けるわけにもいかないので、このマラリアという「死に至ることもある病気」は病気が発症してから対処する以外ないのです。厄介な病です。

予防薬:
いろいろある中で、今一番注目されているメフロキンをナイロビで購入しました。メフロキンは週一回服用する予防薬でもあり、また病気発症後の治療薬としても使えます。マラリアは病原虫のタイプによっては特定の予防薬や治療薬では効果が無い場合もあるそうですが、とりあえず、メフロキンを飲んでおけば、発症しても軽度の症状で乗り越えられる、らしいです。
基本的に、マラリア予防薬は劇薬らしく、副作用が強い。以前ラオスからもレポートしたように、予防薬を服用中の女の子が体調不良と鬱で苦しんでいたこともありました。また、ナイロビで出会った旅行者は、薬を飲んだ夜は、動悸が激しくなり眠れないと話していました。

私が購入したメフロキンの説明書にれば、「副作用:最も起こりやすい症状として、眩暈、嘔吐、下痢、頭痛、疲労感、食欲不振、筋肉痛、が考えられるため、服用後は車の運転を控えること」と。こんな症状が出たら、言われなくても車なんて運転できません。こんな副作用に苦しむぐらいなら、もうマラリアにかかっちゃたほうがマシなくらいです。
けれど、孤児院滞在中にかかって、学校のスタッフに迷惑をかけるといけないので、孤児院へ向かうバスの中で服用しました。それで結果は…、ほとんど副作用なし!でした。ラッキー。一週間後に飲んだ二回目は、胸やけがしました。喉から胸にかけて何かがずーっと詰まっているような感覚が半日続きましたが、でもまあ、大したことはなく、マラリアにもかからずに済みました。めでたしめでたし。

治療:
ところで、現地で生活する人たちは、予防薬は飲んでいません。特に雨季の後の6~8月に蚊が増えて、その時期はマラリアに苦しむ子供達も多いそうです。
激しい高熱、関節の痛み、嘔吐を繰り返します。5歳未満の幼児の場合は、死亡率も高くなります。高熱が出て、すぐに対処できるかどうかが鍵だと話されていました。
薬の服用が遅れると症状はどんどん悪化し、治りにくくなり、肝機能障害が出たりするそうです。

治療薬:
そこで治療薬ですが、公立病院では、無料で治療薬を提供しています。クロロキンです。学校周辺でかかるマラリアは、現在のところクロロキンで対応できているとのことでした。
クロロキンがどうしても効かない原虫には、アルテスミン、コアテム、またはメフロキンを自費購入する必要があるらしいです。

マラリアテスト:
治療薬に加え、マラリアの検査も、公立病院にて無料で受けられます。最近では、高熱を発症しないマラリアとかいう厄介な原虫も出てきたらしいので、体調不良の場合は検査したほうが身のためかもしれません。(ただし、この情報はナイロビのもの。ウガンダではまだそういうタイプは聞いたことがないらしい。)

■HIV

アフリカの感染病と言えば、マラリアに加えてHIVも深刻です。黄熱病などとは違い、HIVも予防注射が出来ない点が面倒なのです。
特にウガンダは90年代、エイズ感染率が最も高い国の一つという不名誉なタイトルを持ち、平均寿命も40歳代という悲しい経験をしています。
孤児達のほとんどが親をHIVで亡くしていることからも、その感染率の高さや、病気の身近さを感じずにはいられませんでした。

けれどウガンダは、HIV対策を熱心に進めてきた国の一つで、感染率を大幅に低下させてきた成功例でもあるらしい。奥様の話によると、HIV対策は、90年代以降の海外NGOの働きかけによる効果も大きかったと話されていました。
一番重要なこととして、「エイズに関する住民の理解」があげられます。現在、病気の原因が何なのか、どうやって感染するのか、どうすれば防げるのかを、国民みんなが知っていることがとても大きい、と。
そして、もちろん公立病院では、無料のエイズ検査、エイズ治療薬の処方が受けられます。病院の壁にも、受検促進のポスターや、母子間感染を防ぐための出産時の注意などが書かれた張り紙が多く目に付きました。

■基盤はある

ウガンダの医療について話を聞いた限りでは、最低限のことはしっかりやっているのだなという印象を受けました。「質は低いけれど、最低限の治療は受けられる、無料の医療制度」です。
要所は押さえているという感じでした。この調子を続けながら、各分野の質を少しずつ高めていけば良いのではないでしょうか。
というわけで、保険制度の問題や医療格差問題を抱えるいくつかの先進国も、ちょっぴり見習ってみたいウガンダの良心的な医療制度のお話でした。

それではまた。ごきげんよう。

安希

追伸:
今、足の裏を触ってみたら、変なデキモノが出来ているのに気づきました。一つは真っ黒。あとの二つは、なんでしょうか、魚の目かしら。ミニばさみで皮膚を切開すると、膿の塊が出てきました。なんだかこれ、子供達のジッガと同じ感じ。膿を取って皮膚を切り取ると、赤い肉がむき出し。ひえ~、これも子供達のジッガと同じ感じ。
ジッガって魚の目のことだったのかしら。全然痛みはないけれど、ちょっと痒くて、ぼっこり穴が開いて肉が見えていて気持ち悪いですね。何もないので、イソジンうがい薬をつけてみました。治るかしら…?

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