73.税金の使い道(アジスアババ)
アジスの高級レストランでJICA&KICAの皆様を発見。税金を有益に使うとはどういうことなのでしょうか?

皆さん、こんばんは。安希です。
エチオピアを出国して、すでにケニアのナイロビに来ています。っが、エチオピアからケニアへの移動が、これまたかなり厳しく、レポートを書いている余裕も無く、というか野宿ではレポートも書けない。
そんな「適当な言い訳」があって、遅れながらエチオピアレポートを書いています。体調も崩しているので、この際ナイロビでゆっくり、のんびり、回復を待ちながら宿題を片付けたいと思います。どうも。

エチオピアは現在雨季。アジスアババは毎日ジトジトしていて洗濯物が乾かず、宿も安くないのに南京虫がいるらしく、宿の周りには怪しげなナンパお兄ちゃんが沢山いて、雰囲気はあまりよくなくて…。
アジスアババのコーヒー文化や、街のお洒落な感じはとてもとても好きだったのですが、宿周辺に蔓延する麻薬とストーカー気味のお兄さんの一群にビビッて、たった二晩の滞在の後、サムソン君と一緒に南下することを決めました。
本当は1週間ほどゆっくりして、街の文化を楽しみたかったのですが、残念無念でした。ナイロビへ急ぐサムソン君がアジスアババを離れたら最後、ストーカーグループが宿へ押しかけてくるのは明らかだったので…。ちょっとビビッてしまったわたくしでした。

さて、たった二晩とは言え、そこはアジスアババ。アジスアババからはそれぞれ別のスケジュールで動く予定だった私とミスターサムソンは、イエメンにいた時から計画していた最後の晩餐へ出かけました。
と言うのも、サムソン君の出したクイズに正解したごほうびに、アジスアババの韓国系レストランで夕飯を奢ってもらう予定だったのです。よ~っしゃ!ここはバッチリご馳走になっちゃいましょう。

有力な情報も地図も無いままレストランを探し回り、2時間かかってようやく探し当てました。レストランは、日本大使館や日系の駐在員さんの住むエリアに建っていて、近くには四川料理を出すレストランなどもあり、アジアチックな一角にありました。
店内は、想像以上の豪華さ!おお~。メニューは韓国料理と日本食が半分半分。何でも揃っております。洋館風の館内では、小奇麗な欧米人、韓国人、日本人が、テーブルで食事をしています。外のお庭も立派で、韓国風の創りのテラスで食事やお酒が楽しめます。
そして驚くことに、別館はカラオケバー。モニターの周りで歌い騒ぐ韓国系駐在員?たち。バックパッカーの生活エリアでは決してみることの出来ない人種と物資が揃っていました。

サムソン君と私が席に着くとすぐ、若くお洒落な(ファッショナブルでした!)女性が日本語で声をかけてくれました。少し言葉を交わしただけでしたが、彼女は協力隊の隊員としてエチオピアに来ている方だということでした。ということは、青年海外協力隊、JICA、KICA関係者がこのレストランには結構来るということでしょうか?
私達は、機会があれば、関係者と接触してお話を聴いてみるのも面白いかもねぇ、などと言いつつ、何ヶ月ぶりかに食べる東アジアの白いお米を前に、深く感動し、言葉を失い、JICAのことも次第に忘れ、チゲを食べたら涙が出て・・というのはウソですが、白米で沈黙したのは事実です。米は世界一だよぉ~。
アフリカ縦断のモチベーションが下がるほど感動的な夕飯でした。日本にいれば、毎日お米が食べられるではないか・・なのにどうして旅を続けなきゃならんのじゃ・・と。

食事が終わりに近づいた頃、一人の韓国人の青年が我々のテーブルへやって来て話し始めました。彼は、KICAの協力隊のメンバーで、写真家志望の男性でした。活動内容は給水がメインで、各村を訪れた際に給水活動の傍ら写真を撮っているのだそうです。
協力隊としての成果、国際貢献度について、彼自身どう感じるか、という質問には苦笑いで、どの国の協力隊も似たりよったりだけれど、具体的な成果というのはそれほど求められてもいないし、出てもいないのではないかなぁ~、といったところでしたね。
韓国では、協力隊に参加すると徴兵免除となるため、出願者の倍率は高く、国際貢献がどうという以前に、軍隊に行きたくないから隊員に志願するのが一般的なのだそうです。

と、ここでサムソン君と私には、基本的な二つの疑問が湧きました。隊員の国際協力に対する「モチベーション」と、「成果の基準」です。

以前、中国で出会ったアメリカ人の元協力隊の男性は(アメリカのピースコープスと呼ばれる国際協力事業)、27ヶ月間、アルバニアで英語を教えていたけれど、それが人々の生活の何の役に立つのかは全く不明。けれども給料が少し溜ったので、こうしてロシアを抜けて世界旅行をすることにした。と話されていました。
また、ベトナムで出会ったカナダ人の元協力隊は、以前2年間、ルワンダで英語を教える傍ら、周辺国を旅行したと話しており、「アキもアフリカで資金が尽きたら、是非カナダの協力隊に短期で応募してみるといい。6ヶ月くらいから雇ってもらえるので旅費の足しになるし、休みの日には旅行にもいけるので一石二鳥だよ。」と。
それから、何冊か手にしたJICA雑誌の「協力隊員からのレポート」なるものを読む限りでは、「言葉が通じず最初は苦労も多かったけれど、少しずつ現地での生活にもなれて、自分なりに成長したと思います。」とった類のものが目に付きました。
さらにKICAは、派遣先の地域の住民に韓国語を教えていたりするようです。??はぁ?JICAもバレーボールを教えたりしているみたいだけら、まあ似たり寄ったりですけれど。

志願者のモチベーション、動悸、現地のニーズ、そして成果と反省と改善、という基本に立ち返って上記の例を見ていくと、やっぱり疑問は湧くでしょう…、どうでしょうか?

KICAの青年の紹介で、この後、JICA事業に関わっておられる日本人の駐在員の方にもお話をうかがう機会を得ましたので、今日は、その内容をレポートです。

■KICAの成果

サムソン君が話しをしたKICA協力隊員の中で、国際協力に携わる人間として成果を出すことが出来たと思う、と答えた青年がいました。どのような活動をしていたのか?と聞くと、貧しい農村に学校を建てる手伝いをしていたらしい。
確かに、子供達の教育問題は重要で、近代化や産業化、市場経済主義へ傾く現在の世界の傾向からすると、教育の格差は将来の経済格差(国家間の格差も含め)に大きな影響を与えるのは確かです。
また世界の大きなシフトの中で失われつつある伝統的な教育基準と方法(例えば民族の掟であったり、知恵の伝授であったり、モラル基準であったり)の衰退に伴い、それらに代わって、現世に適した教育の基準、また新に発生する問題に対応できる教育システムの提供は必要だと思います。
その点においては、KICAの青年が学校建設に貢献したことは、成果だと言えると思いますね。

しかしここで一つだけ、サムソン君から青年に質問がありました。
「あなたは、建築の専門家ですか?どこで建築を学んだのですか?」と。
すると青年は、「建築に関しては無知だったけれど、現地で学びました。」と。
「ということは、建築のできる人材として事業に関わったのではなく、あなたは別の指導者の下、作業を手伝ったということですか?」
サムソン君の質問は厳しいですが、これは重要なポイントだと思いました。

学校の建設が必要な農村の、一番のニーズに沿って国際協力をするなら、「建築に無知な人材」を派遣するのではなく、5倍の給料を払ってでも、「建築のエキスパート(現地の環境を考慮して効率的で効果的な建設を指導できる人物)」を一人現地へ派遣して、現地人を教育し、建設の「作業」は現地人の手に任せて、その報酬を現地人に支払い、雇用改善にも役立てるほうが良いのではないでしょうか。
なぜなら、必要なのは、先進国の人間を現地で教育することではなく、現地の人が今後自立して学校建設が出来るように知恵を授け、また現地の人の一番深刻な問題である「未就労問題」を少しでも改善していくことのほうが重要なのではないかと。
一人の協力隊を現地教育し、作業の報酬として支払う額のお金で、いったいどれだけの現地人が雇えるのだろうか…、と考えるわけです。現地の小学校の先生の月給が約4500円という点を考えれば、学校建設事業にかかる費用(予算)の効率性の面でも、現地人を雇うほうがベターなのではないか、と考えてしまいました。

■エキスパートの卵たち

さて、専門性や社会経験の少ない若い人材を派遣するのか、それとも各分野のエキスパートを送り込むのか…、という選択に関して、少し違う角度からの意見がありました。
現在JICA事業の一環として給水活動に関わられている方のお話です。その方はかつて青年協力隊として地質調査をしていた経験の持ち主で、その時の経験が元になって、現在もJICA事業に関わる仕事をしているのだと話されていました。
つまり、協力隊の時代は確かに若く、国際協力としての具体的な成果には直接的には結びつかなかったかも知れないが、隊員時代の経験によって、国際協力や国際事業、また国外で起きている問題にも関心を持つようになったそうです。

協力隊員から、JICA事業へ。現在は企業人(社会人)として、また給水事業という専門性のある分野での活躍の背景には、協力隊員時代のトレーニングがあった。協力隊員から国際協力事業のエキスパートが育っていった、と考えることも出来るわけですね。
なるほどです。

■税金の有益な使い道

ODAの有益性から、JICAの存在意義まで、メディアなどを通じてもそれなりに議論されているとは思います。本当に有益な国際協力とは何か?という問題です。
例えば、ODA予算が無駄な建設事業に多く使われたり、現地人の生活の改善や経済効果に何の役目も果たさないJICA事業もあることは時折指摘されていることです。
けれど、今回の雑談の中で興味深かったことは、「誰にとって有益なもの」を求めるか、というポイントの違いですね。

「税金を使っている国際貢献ならば、現地の人のニーズに合った活動を展開し、効果をあげるべき」と考えるか、「税金を使って予算を組んでいる以上、それは日本人に有益に還元されるべきだ」と考えるかの違いです。

特に青年海外協力隊の活動意義についての話が面白かったです。
私とサムソン君は、活動に参加する人間の「モチベーション」と活動の「効果」をプロの国際協力者(お金をもらって活動している人)には厳しく問うべきだ、と初めは考えていました。

モチベーションと言うのは、ある程度社会経験を積み、または協力が必要な地域などをすでに訪問し、ニーズを勉強した人間が、その地域に必要なものを提供したいと切に願って隊員として志願することを意味します。
また、効果の点でも、それは具体的な計画に基づいた活動の最後に、はっきりとした形で残るものでなくてはいけないと定義づけをしていました。
特にサムソンという企業の過激な成果主義、競争社会を生き抜いている彼の見方は厳しいです。「具体的な成果」のないところにお金を落とすべきではない!とピシャリ。はぃ、一般社会ではその通りです。

しかし、JICA事業の方の見方は、私達のものとは異なっていました。
社会経験のない、海外に出たこともない人間だからこそ派遣し、現場教育することで、将来、国際社会に目を向ける若者を育成することが出来る。
日本の若者に国際経験を積ませ、またより広い視野を持った人間を育成することは、とても有益な税金の使い道だと思う、と。

また、協力隊の活動とは、具体的に成果の出るものよりは、長期的に見て効果を期待するものだと思うとも、話されていました。
例えば協力隊が、とある村の人々ととても良好な人間関係を結ぶことに成功し、「日本人」として好印象を残し、その村から将来大物政治家などが輩出されれば、「日本びいき」しいては、国益につながるかもしれない。(確率はとても低いけれど)
それに、海外の実態を経験した若い協力隊が帰国し、現地の状況や自身の経験を伝えてることで、日本社会の「国際貢献に対する理解」が深まる効果もあるはずです。と。

それから、協力隊と一言で言っても、様々な職種の、じつに多種多様な人材が派遣されているので、その活動内容や成果は人それぞれだということでした。
例えば高卒の隊員が、現地生活に溶け込んで、驚くほど素晴らしい人間関係を構築したり、その一方で脱サラ組の「専門職」の人達が現地の生活に溶け込めず全く成果が上がらなかったり。国際貢献に夢を抱いて隊員となる人間もいれば、国際貢献に全く興味はないけれど就職口として取り合えず隊員になり、現地で一日中ファミコンをしているような人もいる。らしい。

要するにポイントは、「若手の国際人が育ち、うまくいけば日本の印象UPに繋がり、また雇用の受け皿としても効果があり(就業率UPに貢献している)、さらに職業訓練としての機能も果たせる(履歴書に協力隊と書ける。現地語が学べる。国際経験が積める。KICAのカメラマンは現地で撮り溜めた写真を雑誌に売って、カメラマンデビューの日も近い。)、など、それらをせいぜい200億程度の予算でやっているのだから、税金の使い道としては有益な方でしょう。他の行政機関なんて、その何十倍、何百倍もの予算で、めちゃくちゃやってるじゃないですか?」と。

サムソン君も私も、「税金を国民のために有効に使う」と言う点に異論はなく、うんうん、確かに。言われてみると、それなりに筋は通っていますね。
JICAや協力隊の新しい捉え方です。日本の税金を日本のために使う。日本の人材育成に使う。いいんじゃないでしょうか。
ただし、その予算を「国際貢献、国際協力」の名の下に割くというのはちょっとおかしいかも。「人材育成。国際活動奨学金。雇用補助予算」のほうが納得がいきます。
な~んて書いちゃったら、ちょっと手厳しすぎて、JICAに嫌われちゃいますか?

JICAの方のお話の最後に、「良い点もあるけど、悪い点もあるので、僕らもまあ色々言われてるんですけど、まあ外部からバシバシ批判してやってください。どんどん言ってやってください。」と投げやりに言われました。(雑談中、批判はしなかったつもりですが、質問の内容は好意的なものばかりではなかったので…)
はぃ…では次回はさらにバシバシといかせてもらいます…、というのはウソで、外部に言わせていないで、悪い点があると思うなら内部でバシバシ指摘して改善すればどうですの?と。私はJICAもKICAもメディアも、実は全然関係のない旅人なので…。しかも貧乏でそれなりに多忙で面倒なことはしたくない派。

ということで、今回はアジスアババの高級レストランで起きた雑談レポートでした。
私のレポートは、私見と偏見に満ちたものですので、色々問題もあるかと思います。レポートへのご意見、ご批判、バシバシお待ちしております。って、レポートに問題があるなら、自分で書き直せばどうですの?って、独り言ですけれど。

それではまた、ごきげんよう。

安希

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2件のコメント

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    いやーいい記事だった。
    これからは単に腹立ててしまうだけじゃない対応ができそう。

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    Iguさん、コメントありがとうございます。これからもビシバシと、しかもできるだけ公平に国際協力の現状を見ていきたいですね。まあ、時には腹も立てつつ・・・。

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