61.おばあちゃんの人口統計(カズー)
少女は若くして嫁に行き、50人のいとこが子を産めば・・・。はぁ~、そうですか~。

皆さん、こんばんは。安希@アラビア半島はシリアからのレポートです。
緑がほとんどなく、土色のブロック作りの街並みは、見るからに暑い。日中の屋外は47度くらいかな~、という猛暑です。
食べ物が腐敗し、病原菌が蔓延するには絶好の環境。前回トルコからのレポートでお約束した通り、今回は闘病記で・・・といきたいところですが、実は体調が思いのほか良いのです。
従って、残念ながら病気レポートは無理です。

生水もガバ飲み、生野菜、サラダ食べ放題、氷入りシェークを朝ごはんに、ハエつきランチ、という普通なら完全お腹ピ~のメニューなのに、下痢じゃないのです!
下痢との絶え間ないゲリラ戦を続けて早一年、私のお腹も成長したものじゃのぅ~、と感動していたら、シリアの水はかなり殺菌が行き届いているらしく、普通に飲めるそうで、別に私の胃袋が成長したわけでありませんでした。

とにもかくにも、健康が一番。暑さに疲れたらしっかりと水を飲み、キュウリに塩をふって齧り、お砂糖たっぷりのソーダを飲んで眠る。
お腹が空いていなくても食べ物を見つけたらとりあえず口へ入れて飲み込んじゃう作戦で元気にしています。

病気をしていないということは、つまり街中をほっつき歩き、そこらへんで見つけた暇そうなおっちゃん、おばちゃん、お兄ちゃん、子供、なんかを相手に遊んでいるわけですが、首都ダマスカスから北へ2時間のところにあるハマという街でベンチに座ってボンヤリしていたら、あら、近くにいたおっちゃんがお茶を出してくれましたよ。
ハマというところは、うわさ通り人のいい街で、街を歩けば沢山の人が声をかけてくれる、食べ物をタダで分けてくれる、そしてお家に招待してくれることもしょっちゅうある土地柄。
公園のそばで旅人が一人ベンチに座ってボヤ~ット物思いに耽っていようものなら、それを放っておくはずが無い。近くでお茶を飲んでいたおっちゃんの一人がグラスに入ったお茶をわざわざ届けてくれたのを機に、一人離れてお茶だけ飲んで帰るのも悪いし・・ということでおっちゃん達の輪に加わって井戸端会議をすることになりました。

「こうも暑いと仕事する気にならんわねぇ~。」
「う~ん、ならんわねぇ~。」
「日陰でお茶でも飲んでるのが一番じゃねぇ~。」
「う~ん、そうじゃねぇ~。」
とだらだら話していると、さっきお茶を出してくれたおっちゃんが、今度はコーヒーを飲みに行こうと誘ってくれました。
はぃ、どうも。シリアのエスプレッソはカルダモンが効いていて、私は結構好きです!ので、実はタクシーの運転手だったおっちゃんのチビタクシーに乗せてもらって、おっちゃんの家、隣町のカズーまで一緒に行くことになりました。

■おばあちゃんは少女の結婚を祝って・・・

さて、コンクリート作りのお家に招き入れていただいて、まずは子供達にご挨拶。14歳の長女はじめ、5人の子供達が元気にはしゃぎまわっています。
長女はしっかりしていて人懐っこく、わずかな英単語で話をしてくれました。そこでお互い、英ーアラビア辞書と筆談で話していたところ、どうやら彼女は3日後か3週間後か3ヶ月後のいづれかに結婚するらしい。
もう一度申し上げますと、彼女はまだあどけなさの残る14歳。日本なら中学2年生の歳です。すでに結婚準備は進んでいて、嫁入り道具を詰め終えたスーツケースも確かに置いてある。
耳を疑いましたが、話せば話すほど、やっぱり彼女は結婚するらしい。っということはナンじゃ、彼女が妻(母)=おばちゃんになるということは、じゃあ私はおばあちゃんに昇格ではござませんの?ビックリしました。

目の前にいる少女を見ているとちょっと信じがたい事実でしたが、お父さん(タクシーの運ちゃん)とお母さん(現在6人目を妊娠中)も、結婚は若かったらしい。
お父さん16歳、お母さん14歳で、この社会の中では特別若いというわけでもなく普通に結婚されたそうです。はぁ~、そうですか~。
他の旅行者が街で出会った妊婦も、歳を聞くと16歳です・・と。はぁ~、そうですか~。
お父さんは確かに見るからにおっちゃんだし、長女がもうすぐ嫁に行くお母さんは確かにおばちゃんだけど、実際の歳は私と大して違わない。うんうん。そしてもうすぐ我々はおじいちゃん、おばあちゃんの歳になる・・・と。はぁ~、そうですか~。

じゃあ学校は?と聞くと、一応15歳までは義務教育で、法律ではそれ以前の結婚は認められていないそうですが、そんなことはどうでも良くて、学校は辞めて結婚するらしく、ダマスカスへ行って結婚するほうが学校へ行くよりは嬉しいと話されてました。
じゃあお相手は?と聞くと、お父さんの従兄の息子20歳。親戚同士での結婚はイスラム教国では常識なので、特に驚きはしませんでした。
パキスタンの場合は80%の結婚がいとこ同士のために、血が濃くなりすぎて障害のある子供もかなり生まれてくるとのことでした。(小さな村に行ったりすると、障害者率がとても高かったりする。また地元の人の話では、よくある障害として、性的不能が挙げられる…と。)
つまり、親戚同士の見合い結婚のため、先進国のようにダラダラと相手を吟味する必要もなく、さっさと相手が決まって、ぱっぱと子供を生む社会システムです。
(お見合い結婚というより、ブラインド結婚ですね。長女も、相手の男性には会ったことはないそうです。結納で初めて顔を合わせるのが一般的。うぉ~スリル満点!)

■いとこは何人?

若くして結婚し、子供をバンバン産み育てる。ならば少子化にあえぐ日本も、イスラム教国にしてしまえば?と、提言してみたくなりますね。
シリア中~小都市の一般家庭の子供の数は大体5~10人くらいだそうです。
結婚が早いだけでなく、高齢になっても可能な限り産み続けるので、親子の妊娠期間が長期にわたって重なり、親子同時妊娠や、兄弟が自分の子供より若いということも普通に起こりうるわけです。

例えば、長期に渡って産み続けたギネス記録はと言うと、お父さんの従兄夫婦。ご夫婦は現在50歳くらいで、今も赤ちゃんの養育中ですが、現在までに産んできた子供の数、何人か想像できますか?
私は本気で耳を疑いましたが、24人です。双子も数回あったらしいです。24人って、妻は何人ですか?シリアは一夫多妻なのですか?と聞いてみたら、一夫一妻なので、一人の妻が24人産み続けてきて・・・まだこれから記録が伸びるかもしれない・・・と。

そして、こんなに大量に子供がいるとどうなっちゃうかと言うと、兄弟増加、従兄妹さらに増加、と巨大親戚構造を作り上げるわけですね。
シリア第二の都市アレッポの中心で、従兄妹が37人という男の子達(そこらじゅうの人が従兄妹同士だった・・・)に会って驚きましたが、カズーのような田舎だとその数はさらにふくらみ、私が招いていただいたご家族は現在のいとこ数50ジャスト。
けれどあくまでもこの数字は現在のものであって、まだまだ妊娠適齢期(シリアは長いのです!)のご夫婦および、彼らの若き兄弟姉妹がこの先さらに産みまくると考えると、近いうちに軽く100を突破するかもしれませんね。

兄弟24人、従兄妹100人・・・。はぁ~、そうですか~。

■人口統計

以上に書いたとおり、早婚子沢山によりシリアの人口は増加しています。当たり前です。
ただし、都市部に限っては人口は抑制傾向にあるらしい。と言うのも、近年の怖ろしい物価上昇(主に不動産)により、結婚生活に見合う生活水準を維持できない層の人が都市部に増えているからなのだそうです。
アラブ(イスラム)の社会では、男性は住居を確保し、妻子を養っていかなければいけません。ところが、経済状況は一向に改善されず、仕事もなく、なのに物価だけ上昇して、要するに家庭を持てない層の人が都市部では増えつつあるらしい。
女性に関しては、男性が住居を確保できないとなると縁談がその分減少し、社会構造的に女性の経済的な自立は見込みがほとんどないことから、貰い手がないまま実家に残り、そして早婚社会で25を過ぎれば完全に賞味期限が切れてしまう。
なかなか厳しい世の中なのです。

物価高によって、結婚や出生率が抑制される都市部と、無制限に産み続ける農村部。シリアの人口増加と言っても、内部状況はもう少し複雑なようです。

かつて人口増大に悩んでいた(今も決して減っているわけではないが)中国は、一人っ子政策で人口を抑制してきました。
その政策の意味は、一人っ子=高学歴=高就職率=晩婚化=少子化、つまり20歳の結婚は100年単位で5人の子供を意味し、30歳の結婚は3人の子供を意味する。コレが十数億という人口単位で変化すればものすごい人口抑制が見込めるわけです。

中国の例からシリアの現状を観てみると、子沢山=低学歴=早婚=人口増、に加えて人口が抑制に成功?している都市もただの職なし=低就職率というだけの、かなり厳しい状況ですね。
政府がどうにかしなければいけないのでしょうけれど、シリアの政府は、独裁、腐敗、親戚関連で固めるだけ・・・タイプのかなりお粗末な政府、プラス、市民が暴動などを起こせば武力で残酷に鎮圧型、ということなので、シリアの国内整備はまだまだ大変。
デモクラシーがないのでねぇ。

とても親切で礼儀正しく、フレンドリーなシリアの人々だけれど、経済成長や国内整備のために、もう少し結婚を遅らせて、子供の未来を考えて教育を受けさせ、お金の計算や将来設計を立てることも必要ではないかと思います。というのは大きなお世話?

以上、おばあちゃんからのお世話・・・じゃなくて、おばあちゃんが発見したシリア人口の秘密についてのお話でした。
少子化の日本は、これから計画的に低学歴、早婚、低就職率、子沢山を実現し、みんなさっさとおばあちゃん、おじいちゃんになろうのススメ、で人口を回復してゆきましょう!

それではまた、ごきげんよう。

安希

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