45.問題無いわけない①(デリー)
あぁ、インドよ。私はもうへとへとさぁ。問題なんて一杯あるさぁ。

皆さん、こんばんは。
安希@デリーにて納豆ご飯の幻覚を見る今日この頃。
気が付けばもう三月ですね。日本はそろそろ桜の季節でしょうか?まだですか?

旅を始めて9ヶ月。思い出すのは北京の宿で知り合ったポーランド人の言葉です。ちょうど旅行を始めて9ヶ月目だった彼は、ベッドに寝転んだまま宙を見つめて苦しそうには話していました。
「9ヶ月目が苦しいんだ。前回の旅行も9ヶ月目で動けなくなってしまったんだ。何所で誰に会って何を見たのか、もう何も覚えられなくなるんだよ。疲れてくるんだ。今日、俺は必ずモンゴル大使館へ言ってビザの手続きをしてくる。必ずしてくる。だけどもう少しだけ、あと少しだけベッドでごろごろさせてくれ。」
活動的に観光していない自身を恥じるかのように、何度もその言葉を繰り返しながら宙を見つめていましたね。
私の「納豆ご飯の幻覚」も9ヶ月病の症状なのかしら…?

インドの首都デリーに着いて今日で4日目。ちょと疲れ気味だったので静養中です。
デリーまでがあまりの過密日程だったため、タジマハルからデリーに向かうオンボロバスの中でまたもや発熱。デリー到着後、体の前後に20Kgのバックパックを着けてふらふらと宿を探し歩いていたら、バッタリと前から転倒して、現在両膝が真っ黒なのでございます。内出血です。
そして毎日何をしているかと言うと、宿に引きこもり、ご飯の時だけ外へ出て、焼きそばやさんと果物屋さんに行って帰ってくるだけというシンプルライフです。
だって、インド人は鬱陶しいのだもの。道を歩いて何の問題もなく平穏無事に宿へ帰るなんて不可能ですもの。

エロ問題頻発だったカジュラホ以降も、問題続きでした。
わざわざ床屋さんへ行き、はっきりと「男みたいな頭にしてください!」と宣言し、怖ろしく切れないハサミと髭そり用のでっかいカミソリで、肩まで伸びていた髪もバッサリ。
インド男風、ザンバラ頭にしてもらってセクハラ防止を試みたのもつかの間、翌日には警察沙汰寸前の事件にまで巻き込まれ、もうインド男は顔もみたくないですね。
東急ハンズで付け髭を買ってもってくればよかったと今更ながら後悔してます。

宿のオーナーから従業員まで総出で平謝りして頂きましたけれど、どうして前科のある男を雇っているの?と聞きたい。
けれどさらにショックなのが、インド男を買いに世界から女が集まってくるというウワサが本当だという事実です。
だから、独り身で旅行している女は全員「セックス旅行」と勘違いされるらしいです。はぁ。毎日、毎日、もう喧嘩だらけで疲れますねぇ。

デリー二日目の朝もまた問題が…。微熱のためベッドで寝ていると、早朝から誰かがやってきてドアを激しく叩くのです。ベッドの中から用件を聞いても返事はなし。ただドアを叩き続ける。
ついに起き出して、ドアを開けると宿の少年ともう一人の青年が「サービスのチャイティーはどうですか?」と聞いてくるのです。
「要らない。」と言っても、「タダだから。」と言ってドアに張り付いて離れようとしない。「タダなら好きにすればいい。」と言い残してベッドに戻ると、しばらくして少年がチャイを持って現れ、再びドアをバンバンバンバン。
そして、ドアを開けると室内へどかどかっと入ってきて5ルピーを請求するわけです。はぁ?
しかもお金を手渡すまでは意地でも部屋を出て行かないぞ、というあの構え。

5ルピーはとても小さな額のお金です。けれどそこで支払ったら少年は毎朝ドアをバンバンやりに来ます。そして何より、彼らのウソが、その汚いやり方が許せない!!
今度は宿のオーナーまで出てきて、5ルピーをめぐる大喧嘩です。発熱しているのに、どうして朝から15分も大声で怒鳴りあわなきゃいけないのかしら…。
大声で怒鳴りあっている自分自身、そして少年を力ずくで部屋から追い出した自分の行為に驚き、虚しくなり、また疲れるのです。一体インドで何をしているのだろうか?と。

そんなわけで、宿の自分の部屋だけが唯一の安全地帯です。まあ、こうなったらせっかくの「引きこもり」生活を利用して、本を読んだり、レポートを片付けたり、のんびりとやっていきましょう。

さて、スタッフから頂いたメールに、インドの教育制度や失業問題に関する質問がありました。
現在は引きこもっているのであまり社会の観察はしていませんが、ここまでの経験と現在読んでいるインドの情報を総合して、ちょこっと書いてみようと思います。
ちなみに私が参考にしているガイドブックはLonely Planetというオーストラリアの会社が出しているトラベルガイドブックです。欧米人トラベラーの間では一番ポピュラーな本なので、誰かが古本を譲ってくれたり、国境付近で本を交換する際に便利という理由から活用しています。

■インドの教育制度

インドの識字率は、男性が75.3%、女性が53.7%と書かれています。女性は半分くらいが読み書きすら出来ないというのは怖ろしい話ですね。
公立の学校制度、政府主導の教育制度はかなり質が低いものと思われます。
今まで話をした人々も、みんな15、16歳くらいから仕事をしている人がほとんどでした。

コルカタで知り合ったラッシー屋さんのオーナーは22歳でしたが、6年前から故郷の農村を離れて都市の工場を転々としながら働き、一年前に偶然知り合った欧米人の助言と資金援助がきっかけでラッシー屋さんを始めたそうです。
以後、ラッシー屋さんは大当たり!(欧米人が助言しただけあって、値段も質もと~ってもピントが合っているのです!そして私も常連客でした。)彼は5年たったら一生かかっても使い切れないくらいの資産を得ることができると思うので、そうしたら引退して故郷へ戻りのんびりと暮らすそうです。
そのころ彼は27歳くらいですね。27歳のリタイアメントね。

話が少しそれましたが、インドの場合は、宗教や民族や言語があまりに多様化しているため、統一した教育制度を浸透させることがとても難しいのだと思います。
また、非公式に残っているカースト制度も全体的な教育レベルの引き上げを阻む原因だと思います。
宗教やカースト制度を基にした経済格差、教育格差が歴史的にとても固定化されている国がインドです。
これらの格差は、きっと私達が考えている以上に根が深く、そう簡単には変わらないはずです。

例えば、イスラム系で低カーストの男性が、ある農村を通りがかった際にのどが渇き井戸で水を飲んでいると、村中の人が出てきて「身分と宗教の違う人間が我々の水瓶を使った」と騒ぎ始め、まずは「不浄となった水瓶」をその場で叩き割り、男性に水瓶を弁償するよう要求してきたそうです。
私の感覚では、「そんなの無視して逃げればいいじゃん!」と言いたいところですが、彼は「僕は何も言わずに代金を支払い、新しい水瓶を用意してからその場を離れた。」と話していました。
宗教や身分の違いというのは、今でも確実に残っていて、逆らえるものではないのだそうです。なるほどねぇ。

また、国自体もまだまだ発展途上のために、社会保障や教育制度を改革していくほどの資金や余裕がないのだと思います。
政治の面でも、汚職、腐敗、そして宗教上の対立(不満、不平)などが残っていて、さらに隣国(パキスタン、中国)とのけん制のし合い、また大国(人口と土地面積の大きい国)であるがゆえに軍事外交にもかなりの労力と資金を注がなければいけないわけです。
そんな状況下において、農村で民族衣装を着て牛の乳搾りをしている女性がはたして文字を書けるか書けないか、などというのは政府にとっては協議する価値が低いことなのかもしれません。

どの街へ行っても、宿や店で下働きをする10歳くらいの少年の姿を必ず目にします。列車に乗れば、飢えに苦しむ少年が、自分のボロ着で床を磨いて小銭をねだってきます。
(床を磨いているというよりは、ただ正座をしたままゾロゾロと前へ進んでいっているだけなのですが、あの痩せこけて肌がガサガサになった上半身や、伸び放題の髪と雑巾になってしまったシャツを見せ付けられると、無視できなくなってくるのですねぇ。けれどこういう子供は次から次へとやってくるので、全員には支払えず、結局は無視しています。)

彼らの場合は、教育制度がどうという以前に、飢えこそが先決問題です。
とはいっても、高い教育レベルは出生率の抑制(低下)につながるので、男女共に教育水準が上がって子供の数が減れば、子供一人当りにかける養育予算に余裕が出て、飢える子供の数が減少するのも確かです。
まあ、この辺りに関しては、例えば機械化の進んでいないインドの農村部では子供が貴重な労働力だったりもするので、現段階では一概には言えないと思いますが…。

そう考えると、やっぱり産業革命って凄かったのねぇ…、おかげで効率化に成功した先進国は、高学歴=人口減少にあえいでおりますが…。

■失業問題

インドの失業率は約9.5%。失業問題も貧困層の生活水準の引き上げも、イギリスからの独立以来改善されてきてはいるらしいのですが、まだまだ問題山積です。
本の情報によれば、約4億人の人口が未だに貧困層にあり、そのうち75%が農村部に集中している。約34.7%の人口が、一日に1ドル以下の生活を強いられている。
特に農村部の人々の平均的収入は、都市部のそれの約4分の1に過ぎず、生活は苦しい。

貧困のもたらす大きな社会問題として、識字率の低下(教育問題)と人口増加があるが、人口増加は実質手には国全体の経済成長率を高めている、つまり国自体は急速な経済成長を遂げているように見えるけれど、内部では貧困層の人口も増加しているということかしら。
インドの最低日給は54.28ルピー(約1.5ドル)と定められているけれど、実質的には40~45ルピー(1ドル以下)のケースも多く、また女性の賃金に関してはさらに低い。
失業&貧困問題と関係して、売春も大きなマーケットになっている。などなど。

失業率9.5%という数字自体はそれほど悲観的なものではないと思いますが、ここで疑問に思うのが、就業率の数字に含まれる人々の仕事内容と賃金ですね。
小さな宿や小さなお店では、明らかに必要以上の数の男性が働いています。みんな暇そうに、けれど他に行くところもないのでその小さな職場にしがみついている感じですね。
しかもほとんどが親戚筋です。みんな暇で、あまりお金にもならないので、旅行者を発見すると「何かしらのビジネスチャンス」を求めて群がってくるのですね。

道を歩けば、そこらじゅうの物売りが声をかけてくるし、暇そうなショップのオーナーが「ウォーター?ウォーター?」と声をかけてくるし、バイタクが数台後ろから尾行してくるし。。。はぁ。
もう見れば分かるでしょう!水のボトルを手に持って歩いているのに、わざわざもう一本買うわけがない!
宿で頻発する「朝からドアノック。行事の勧誘。」も、就業しているけど実質的には全然仕事がない人々の「仕事不足」を露呈しているように思います。

インドの社会に関して、まだもう少しだけトピックがあります。が、話が長引いてきたので続きは次のレポートで。

それではまた、ごきげんよう。

安希

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