40.限られた世界③「お金」(マンダレー)
米ドルだけが命綱!通貨崩壊寸前のこの国で札束を抱えた私、金策に走る!ひぇ~。

こんばんは。
3部構成「限られた世界」の最後は「お金」
ミャンマーのお金はエライことになっています!

ATM、存在しません。銀行、機能してません。クレジットカード、使えません。トラベラーズチェック、無視されます。
公式両替レート、とんちんかんです。闇両替、それが全てです。通貨崩壊、うんそれに近いかも。
米ドル、何よりも愛されてます。外貨、不足してます。一番大きい紙幣単位、百円以下です!
従って私は、ふろしきに札束を包み、それを担いで生活しておるわけです。ちょっとリッチな気分も味わいつつ。

■カードが使えない

ことの発端はヤンゴンの銀行でした。宿をシェアしていたドイツ人の女性がヤンゴンの最大手(ほぼ唯一の)銀行の窓口でキャッシングしようとしたところ、断られたというのです。
彼女は無防備にも、米ドルをほとんど持たずに入国しており、ATMもなければ、窓口もダメをいう状況に困惑していました。

ウワサによると唯一お金を手に入れられる場所は、一件の有名ホテル。
しかし、ホテルでキャッシングすると手数料が7%もかかる上に、手続きに24時間以上もかかる!
翌朝に他の街への移動を考えていたその女性は、他のドイツ人の男性に現金を前借し、キャッシングが可能と言われていた第二の都市マンダレー到着後彼に払い戻す約束をして出かけていきました。
彼女はあまり信頼の置けそうな人ではなかったので、うまく手が切れてラッキーでしたが、彼女に前貸しをした男性のその後を思うと…、大丈夫だったかしら。

さて、カードでのキャッシングが出来ないヤンゴン。カード支払いも当然出来ません。
航空券を予約しに行ったインド航空も、カードは受け付けないと。
さらに、トラベラーズチェックも受け付けない。ミャンマーの現地通貨(チャット)もダメ。
それじゃあ何で支払えというのじゃ?と聞くと、米ドルの現金のみ受け付けますと言われました。

ところでミャンマーには、外国人専用通貨FECというものがあり、数年前まで外人は、全員がある一定額のドルを1ドル=1FECで強制両替させられ、その特殊マネーは使い切るか捨てて帰るかの二者択一という厳しい処置があったそうです。
政府による外貨獲得戦略の一部だったのだと思います。
現在も、外人はFECなら比較的手に入り易いと聞いていたので、インド航空に、FECでも良いかと聞くと一応OKの返事がでました。
よしよし。
というわけで、私はマンダレー到着後に銀行でFECを手に入れ、それを航空券代金に当てることに決めました。

面倒な話ですが、これがミャンマーです。
ビザ申請に行ったインド大使館でも、米ドルかFEC以外での申請費支払いは不可能。
つまり、現地の通貨はまるで通用しないのですね。

■ドルが手に入らない

マンダレーについて数日、あまり魅力的な町ではないので、さっさと違う町へ遊びに行こうと考えていました。
っと、その前に、とりあえずお金のメドだけつけてから遊びに行こうと、銀行へ向かいました。
数少ない銀行のうち4件に足を運び、トラベラーズチェックをFECに換えられるか、カードでのキャッシングが出来ないか(うわさでは出来るはずだった)と聞いてみたけれど、答えは完全NO。
最後に行った銀行で理由を聞くと、
「二年前から始まったアメリカの経済制裁が原因で、クレジット会社との取引が途絶え、カード、TCなど、クレジット会社が発行しているものは一切取り扱えない。また、米ドルは一切外へは出さない。FECは存在しない。」そうです。
なんじゃそりゃ。

要するに、国外から持ち込んだ米ドル現金のみが頼みの綱ということになります。
確かに、誰も彼もが米ドルを欲しがります。
闇両替も、ホテルも、銀行もそうですが、この国の問題の根底に「決定的な外貨不足」がある以上、ドルは欲しいが、絶対に手放さないというルールがあることは確かです。

そんなわけで、私は慌ててホテルへ戻り、現金のカウントを開始!
うむ、場合によっては厳しい状況ですなぁ。
ヤンゴンの宿でドルからチャット(現地通貨)に両替した際に、もしチャットが余った場合は、同じレートでドルに再両替してもらえるという条件を取り付けてから両替えをしてきたので、こうなったら、このチャットの札束には出来る限り手をつけないでヤンゴンへ戻り、宿でドルに戻してもらって、残りの米ドルとあわせて航空券の支払いをするしかない。
というわけで、今、マンダレーの安宿に隠れて、白米だけで生活し、手持ち現金の流出阻止に努めています。

マンダレーから遊びに出かける前に気が付いたのが不幸中の幸いですね。
ちょっとでも疑いがあれば、何よりもまず金策を。
先手、先手、が大切です。

インド航空のエコノミーが取れれば問題ないですが、ビジネスクラスで飛ばされると、手持ち現金はかなりギリギリです。
最初にヤンゴン入りした直後、出国用の航空券を「3週間」の余裕を持って予約に行きました。
がしかし、ツーリストが使える便が週一便しか飛んでおらず、エコノミーはすでに満席。
そこでとりあえず現在はビジネスクラスを仮予約中、エコノミーのキャンセル待ち(リストの9番目)なのでございます。
はぁ。大変な国です。
それでも、バンコクへ一旦戻るよりは、たとえビジネスクラスでも直通で飛んだほうが安く上がるので、今は現金とにらめっこしながら無事の出国を祈る毎日です。

ところで、お金を前借りしてマンダレーへ旅立っていったドイツ人の彼女。
彼女は、インドビザ(ドイツ人は確か40ドル以上)の申請もまだ。チケットの予約もせずにヤンゴンを離れていきました。
う~ん、大丈夫なのだろうか。
前貸しした男性は、3週間の滞在費として400ドルの現金を持ってきているだけと話していたので、おそらくピンチですね。
ヤンゴンに早急に戻って、うわさの一件のホテルとやらに金策に走ったか・・・な?

■大量の紙くず

現地通貨のチャットというのは紙クズです。
通貨崩壊とまでは言わなくても、その価値の低さは驚きです。
しかも、欧米からの経済制裁が原因で現時点でもまだ通貨の下落が続いている・・・らしい。
これ以上価値が落ちたらどんなことが起こるのかしら。ちょっとワクワクしますねぇ、他人事ですからねぇ。

両替レートも、これがメチャクチャなのが紙クズ通貨の特徴です。

公式レート:1ドル=6チャット
闇レート:1ドル=1200~1400チャット。
はぃ??

つまり仮に、屋台で400チャットのご飯を食べると・・・
公式レートで両替した人は、一杯67ドル、約7700円!
闇レートで両替した人は、一杯33セント、約38円!

通貨って楽し~。通貨っておもしろ~い!

■限られた世界

こんな世界にあって、ローカルの人たちとお金の話になると、話が食い違ってもう大変。
みんなお金の話が大好きで、日本のお金環境もよく質問されますが・・・

例えば、仏塔めぐりに誘われた大学の先生と話していると、
「私の月給は50ドルだ。(普通の人の倍ぐらいだと思います)ちなみに君の月給はどんなもんかね。」
私のOL時代の月給を教えようものなら、そのビビたる額がここミャンマーでは、どこかの宮殿か何かと結びついてしまうくらいの額になるわけです。
はぁ、困りました。
日本の物価の高さや、経済の違いなど、一体どうやって説明すれば分かってくれるのだろうか。

大学の先生は私に質問をしました。
「ところで、私達が日本へ行ったら仕事はあるかね。」
「仕事ですか?」
「うん、何でもいい。私達はなんだってやるから、君、仕事を提供してはくれないかね。」
「どうでしょうか、日本語も英語もあまりお出来にならない場合は、ちょっと厳しいかもしれません。」
「しゃべらない仕事でいいよ。なんだって文句は言わないよ。」
「先生、そんなことおっしゃられても困りますわ。わたくし、ハローワークではございませんもの。」

また、お世話になった家庭の女性は嬉しそうに夢を語りました。
「次にミャンマーへ戻ってくるときには、是非あなたのお友達や家族も連れてきてね。」
「そうだね、機会があれば、そうしたいね。」
「そのときには、あなたの家族には特別にロンジー(民族衣装)を3ドルで提供するわ。普通のツーリストは本当は5ドルだけれど。それから、もしもお友達にロンジーを紹介してくれて10ドル売れたら、そのうちの2ドルをあなたにコミッションとして支払いたいの。あなたはもう私達のお友達で、ツーリストではないから、これはちゃんとしたビジネスの取り決めよ。2ドル、絶対に約束する!」

日本から再びミャンマーのこの小さな町へ戻ってくるために、私は1500ドル近い旅費と何日間にも渡る移動日数を費やし、ロンジーを10ドル分友達に売って2ドルのコミッションを受け取る。
この矛盾をどうやって説明すれば分かってくれるのだろうか。

限られた世界、ミャンマー。
子供達の笑顔は限りなく美しく、とにかくみんな親切で、すぐに助けの手を差し伸べてくれる、フレンドリーで素敵な国、ミャンマー。
でもこの国、やっぱりちょっと変かも。

それではまた、ごきげんよう。

安希

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