37.閉ざされた世界(ヤンゴン)
内部情報の持ち出し禁止。メールをするのも一苦労。半鎖国状態のこの国だけど、実は楽園だったりして...

皆さん、こんにちは。
安希@ヤンゴンからのレポートです。

「レポート」なんて書いてしまって大丈夫なのでしょうか…。
そもそもメールが配信されるかどうかすら不明です。読めますか?

ミャンマーのヤンゴンに来ています。
ミャンマービザ取得のためにタイのチェンマイで2週間もの足止めを食らってしまった話は以前のレポートに書きました。
はい、そうです、ミャンマーは半鎖国状態の国のため、出入国が多少面倒なのですね。

陸路での国境越えの場合はかなりの制約があり、タイの一部からの特殊な入国ルートを除いては、まず不可能。
また、国内での移動も地域によっては禁止されている場合があり、出国の際も当然ながら飛ばなくてはならないわけです。
従って、貧乏バックパッカーは空港使用税やら燃料費やらを支払うたびに憂鬱になっていくのでございます…、はぁ。

ところで、出入国の不便さに加えて、外部との通信という点でもかなり制限を受けるのがこの国の特徴です。
つまり、ネットアクセスもかなり制限され、さらに3G携帯などという国際派通信機器は、ここではゴミみたいなものです。
って、こんな事を書いてメールを流してしまって、私は大丈夫なのかしら…。

ここ数年で、ネット環境は急激に良くなってきた…とは言え…

●海外へ流れるメールは内部情報流出の危険があるため、政府の機関によってチェックされるか、内容にかかわらず一斉削除される。

ギョ。
他の旅行者(英語とヘブライ語が母国語の二人組み)には、ミャンマーの国内サーバーのメールアカウントを作ってメールを流せば、外国人スパイ疑惑はかからず、おそらく削除されずに配信されるので、ミャンマー ドット コム みたいなサーバーを探すようにアドバイスされました。
何じゃそれは?
ということは、やはりこのレポートは配信されないのかしら…?

政府の機関からは、一体どんなチェックが入るのでしょうか。

政府によってメールの内容がチェックされるというウワサは、チベットにいた時も一度経験しました。
つまり、チベット-中国の関係に言及したメール(特に中国政府に対して否定的な内容)はチェックされ、送信者はブラックリスト入りするというウワサです。
アメリカ人の旅行者が、際どい内容のメールを一斉配信したところ、そのうちの二通がどうやら配信されていなかったらしく、彼はとてもナーバスになっており、ちょうどその頃私も、レポート「ラサの軽い頭痛」を流した後だったためナーバスになり、すると同部屋だったもう一人のフランス人の女性も何通かヤバイ内容のものを流してしまったと言い出し。。。
我々は、とにかく出国するまでは静かに隠れていましょう、と話していたのですが、
彼らが言うには
「英語のタイトルのメールで、『中国のチベット侵略』とか『ダライラマ14世について』などの「いかにも」というものがターゲットになるので、日本語で書かれた私のメールは疑惑を持たれることもなく軽く無視されるでしょう」と。
ほお、なるほど。

日本語の得意なが捜査員が一つ一つメールを読んでチェックするというのも考えにくいですからね。
つまりタイトルをうまく誤魔化せばチェックの対象にはならないということですね。
では、配信時のメールのタイトルは「ミャンマー風のうどん、美味しいよ~。」でいってみましょう。
これならタダの腹ペコ旅行者とみなされて疑惑はないはず。フッフッ。

それでも内容をチェックするとしたら大変な作業ですね。
特に私のように「長い」ことが専売特許になっているようなメールを、つたない日本語で読み進む捜査官の苦労を思うと申し訳ない気持ちでございます。
そして私は、さらにもう少しだけ意地悪をしてみたくなるのです。

従って、
「かえるぴょこぴょこ、ん?ぴょこぴょこ。合わせてぴょこぴょこ、ん?ぴょこぴょこ。であるから東京特許許可局にて抜本的な構造改革の増進が不可欠である薔薇の醤油。」
と書いておけば、この文章をチェックする捜査官は「カエルピョコピ、はにゃ?抜本、はにゃ?漢字ムズカシイネー。何のこっちゃ?」と大混乱するのでしょうか。
どうだ参ったか~。

●海外のメジャーサーバーへのアクセスが制限されている。

ヤフー、ホットメールなどへのアクセスは基本的に不可能です。
本日、数少ないネットセンターへ行ってアクセスを試みましたが、ヤフージャパンもホットメールもメールアカウントを開くことは不可能でした。
っが、しかし!ヤフージャパンのアカウントからレポートを配信しようとしているということは、つまり最終的にはアカウントが開いたわけですね。

どうやって開けたかと言うと:
Internet Exploreからだとブロックされてしまうので、とりあえずログインしてブロックされた(Filter Violationになってしまった)時点で、そのURLを切り取って、Mozilla Firefoxに貼り付け、YOUR FREEDOMというソフトでフランスかドイツのサーバーへメールを飛ばして、そこから再度配信し直せば政府のチェック網を抜けられるというものらしいです。
こういう手法は結構常識なのでしょうか?(ITご専門の皆様??)

フランスやドイツ経由なので二度手間がかかり、ネットアクセスは怖ろしくスローで、今日はメールを一つ送るのに33分もかかってしまったりしてギネスでしたが、繋がらないよりはずっとマシです。
おまけに、回線の問題で20分程度の中断が2回、停電になってジェネレーターが動き出したりしてなかなか大変でした。
けれどもミャンマーのネットセンターの皆さんは本当に親切でやさしく、何だって助けてくれるので、彼らの親切度数もまさにギネスですね。

■閉ざされているからこそ・・・

さて、政治的理由から外部との接触を制限しているミャンマーについて、少しだけ書いてきましたが、
外部との接触が少ない=他の東南アジア諸国に比べ旅行業が発達していない=海外からの悪影響をあまり受けていない=残された秘境?

ということで、ヤンゴンという街には、発達していない代わりに、ミャンマー独自の美しい文化と生活の流れがまだ残っていて、とにかく人々は親切で笑顔がいいです。
そして、何より好奇心が旺盛でフレンドリーな人が沢山いるので、屋台の椅子に座れば沢山の人が声をかけてくれて、食べ物や食べ方や値段や街のことを親切に教えてくれます。
例えば:

道端でバナナやアボカドを買うときに、山済みの商品の中から一番食べごろのものを親身になって探してくれて、押し売りもしない商売人。
混ぜ混ぜヌードル(揚げ物やサラダやヌードルがごちゃ混ぜの超絶品ミャンマースープヌードル)の屋台の女の子が、ニコニコ顔で私の食べる様子を見ていたかと思ったら、中身の少なくなった私のおわんに、コーンとスープとポテトを楽しげにオマケしてくれて、それを見ていたお母さんも損得関係なくニッコリ。
お茶に誘ってくれたおじさんは、「私は君に何がしてあげられる?」が口癖で、
ご飯を食べ終わると「次に、私は君に何がしてあげられる?」
お茶を飲んで談笑し終わると「次に、私は君に何がしてあげられる?」
宿まで送ってもらい、最後は握手で締めくくると、「君の夕飯のおじゃまをしちゃってゴメンよ」と屈託のない笑顔を残し、おじさんは去っていかれました。

宿のお兄さんもめちゃくちゃ親切です!
私のバスのチケットと航空券探しに付き合って、炎天下の中、旅行代理店を何軒も回ってくれました。

お兄さんは、ミャンマー政治がより混迷を深めていた80年代後半に5年間日本で出稼ぎをした経験があり、
「その時に日本の人には本当に親切にしてもらったので、私はその恩をミャンマーに来る日本の人に対して返したいだけです。」と。
あ~、涙が出るよ~。
彼にいただいた親切を、私もまた必ずどこかで返さなければいけませんね。
と、久々に「金をめぐる汚い争い」を離れ、純粋な気持ちになったのでございました。

一人で旅をしているのに、食事や買い物や、ちょっと一息ついて木陰に腰掛けるたびに、入れ替わり立ち代り人がやってきて笑顔を見せてくれるのです。
いい国でしょ?

東南アジアからのレポートを通じて、観光業の発展がもたらした地元人への影響を、失われていく笑顔と深まる孤独感、そしてエスカレートする拝金主義を中心に書いてきましたが、皮肉にも国を閉ざしているミャンマーこそが、純粋な笑顔を国民全体レベルで残している最後の国ではないかと思わざるをえないです。
ヤンゴンの街を走る車はボロボロで、未だATMが存在せず、経済発展や国際化の面では明らかに遅れをとっている国ですが、国を開き国際化の波が押し寄せれば、彼らの笑顔はその波に押し流されてはかなく消えてしまうかもしれない、と思うと複雑ですね。
彼らから学ぶ事は本当に大きいです。

●良いことを思いつきました。

ミャンマーの良いこと悪いことを好き勝手に書いてみましたが、書きながら良いことを思いつきました。
よく考えてみたら、ミャンマーからメールを配信しなくても、レポートをブログへUPだけしておいて、後はフォーラムの事務局からブログのURLを配信しておいていただければ問題なくレポートが出来るわけですね。
うんうん、そうだわ。どうして最初に思いつかなかったのかしら。
というわけで、フォーラムのスタッフさん、よろしくお願い致します。

配信時には私のメールアドレスを配信先リストから外しておいて貰えると、レポートの通信痕跡(ブログURLの添付も含め)はミャンマー政府のメールフィルターを一切通過せずに済むので、晴れて私も疑惑対象外です。
よし!

ん?けれどブログの管理者ページ自体がフィルターに引っかかってしまったら、アウトなのでしょうか?どういうシステムになっているのか分かりませんねぇ。
とはいえ、別に政治体制について言及したレポートではないので、読まれてしまったところでブラックリストに入れられるような事もないですけれどね。

ところで、ちょっと余談になりますが、こういう政治的な制約が多い国へ行く場合、ビザ申請や入国時に記入する「職業」にも頭を悩ませることになります。
「NO JOB」と堂々と書くと、お金も無い所属先不明の怪しい人物、または出稼ぎ目的で入国してくる貧乏人との疑惑がつきます。
(出稼ぎには興味ないですけど、「無職で貧乏で所属先の無い怪しい人物」より的確に己の現境遇を表現できる言葉はないですなぁ。)

では仮に「WRITER」と書くとどうなるのかと言うと、WRITERやPHOTOGRAPHERというのは、基本的に世界を自由に移動することを仕事の一部としている職業として、入国時に便利(有利)に働くこともあるらしいです。
しかしその反面、ジャーナリスト(内部情報の国外流出と過激な内政批判の可能性)として怪しまれると、ミャンマーやチベットのような場所ではブラックリスト入りするわけです。

「NO JOB(無職)」以外が好ましいということで、ここまで色々な職業(本当にいろいろ)を書き込んできた私ですが、ミャンマーのビザ申請時にいつものノリで「WRITER」と書いてから、ハッと思って書き足したのです。
「WRITER(COOKING RELATED)」と。
政治や国家や国土と最も無関係だけれどライターと書いても怪しまれない程度のものというと、これしか思いつかなかったのです。
とっさの判断です。

というわけで、現在わたくしは、料理作家です。
次回、ミャンマーの揚げ物とピリ辛ソースの特集、乞うご期待!

それではまた、ごきげんよう。

安希

お知らせ:
これからヤンゴンを離れ、北部へ向かいます。
ヤンゴンを離れるとネット環境はさらに絶望的になりますので、安希レポは2~3週間後に再びヤンゴンへ戻った際にまとめて配信したいと思います。

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1件のコメント

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    ミャンマーはすごく人がいいらしいって本当だねー
    読んでてそれだけでいきたくなりました
    アジアの旅は人との摩擦の旅だもんねー

    レポート大変やろけどがんばってかきつづけてね!

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