34.お年玉は国境を越えて①(フエ)
貨物バスに挟まったまま最悪の国境越え。けれど、ちょっとした「お年玉」に恵まれて最高の年越しです。

新年明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2007年の幕開けをベトナムにて迎えました。
ベトナムは中国の旧正月を祝う風習があるらしく、したがって我ながら見事に地味な年明けでした。
クリスマスもそうでしたが、普段と全く変わりなく、ふつ~に過ごしました。6時起床、10時就寝、酒なし…といった具合で(・・;)

ところで、ラオスからベトナムへ国境を越えてきたこの年末年始、地味だったからと言って悪い年明けだったとはちっとも思っておりません。
なぜなら、環境は最悪であったにも関わらず、ちょっとした嬉しい出来事、良い出会い、ささやかな「お年玉」に恵まれて気持ちよく新年を迎えることが出来たからです。
そんなわけで今年最初のレポートは、年末年始の国境越え&ベトナムの印象を「明るめトーン」でお伝えします。
ちなみに2部構成です。

■ラオスのドライバー

ラオスのパクセから18時30分発の夜行バスに乗って国境を越えるには、まずパクセ市外8キロに位地する(ただの野原のような)バス停まで行かなくてはけません。
トゥクトゥク(三輪自動車)かバイタク(バイクの横に屋根つき椅子がついている乗り物)でバス停まで行く算段でしたが、道路を歩いて乗り物を探してみると、予想以上に高いのです。

宿のお兄ちゃんが話していた額の3~4倍。もう国境を越えるから残りのキップも少なく、ドライバー数人と何度も値段交渉をしたけれど、値段が思うように下がらない。
う~ん、困った。日もどんどんと暮れてくるし、バスの時間も迫ってくるし…、どうするか、あと少し粘ってダメなら仕方ない、(彼らの大好きな)米ドルで話を着けて走ってもらうしかない。
と考えていたところへ、ぼろぼろのバイタクに乗ったおっちゃん(英語出来ない)と、英語が少し分かる若い男性が現れました。
10000キップ(1ドル)札を見せて、コレだけしかお金がないの~、これでバス停まで走って頂戴~、と頼んでみると、あら、OKが出ましたよ!
鶴の一声です。

バイクと荷台が今にも外れて飛んでいきそうなぼろぼろバイタクだったけれど、ドライバーのおっちゃんは、バイクを指差して
「ザァパン(日本製)グット!」、腕時計を指差して「ザァパン、グット!」とご機嫌で、夕闇の中をバス停へ向かって爆走してくれました。
ピンチの時に、この笑顔と親切。
値段交渉とお金をめぐる戦いに常にさらされているバックパッカーにとっては、このおっちゃんの親切はまさに感動なのでございます。
バイタクの荷台の上で、最後にポケットに残されたお金を計算すると、95000キップ。
出国税5000(それ以上かかったら、タイバーツと米ドルで対応予定)と、緊急トイレ1000(有料トイレの場合)を残し、残り分(バスの中のスナック代)をおっちゃんに支払ってしまうことに決めました。
まあ、いざとなればドルとバーツがあるわけだし、おっちゃんはいい人だし。

バス停についてからも、私のバスの出発時間を確認したり、バックパックを運んでくれたりと、最後まで親切だったドライバー。
笑顔で去っていこうとする彼を呼び止めて、残りのお金(微々たる額だけど)を全部渡すと、ドライバーは驚いて、お金を両手で受け取り、何度も頭を下げて去っていきました。
私からおっちゃんへの一足早い「お年玉」です。
ドライバーのおっちゃん、ありがとう。

■タイのノックさん

さて、旅行会社にてVIPバスと紹介されていたバスがどんなものかと言うと、世界オンボロバス選手権があれば優勝できるくらいの凄いバスでした!
バス停の草むらの奥に停車した一台のボロバス。まさかこれではないだろうと思い、ずっと無視していたのですが、う~ん、やはりコレでベトナムへ行くらしい。
恐る恐る中を覗いてみると、車内は荷物ですでに一杯。
一般バスに荷物が積み込まれているのではなく、貨物バスの荷物の間に人間がところどころ挟まっている感じ。

どうやって乗り込めばよいのでしょうか?入り口付近でモジモジしていると、横山ノックにそっくりのタイ人のおじさんが話しかけてきました。
「大丈夫、これでベトナムまで行けるから!」と。
他のベトナム人らしき乗客達も、私を見つけると荷物の間からニョキニョキっと這い出してきて、親近感を持って「変なバックパッカーの乗車」を手伝ってくれました。
どうやって乗車するかというと、四つんばいになって麻袋のうえを這っていって自分のスペースを確保するわけですね。(^^;)

さて、荷物に挟まって迎えた翌朝、目を開けると荷物の隙間に闇両替の女性が二人。
マスクに帽子に手袋にサングラス、と徹底的に怪しい二人は、両替を持ちかけてきました。
車内は薄暗く、身体は仰向けになって荷物に挟まった状態で、しかも寝起きで前も良く見えない…、こんな状況でお金の計算なんて出来ない!
そこで、しつこく両替を迫る女性を「あとで銀行で両替するから」と言って退け、再び荷物に包まって睡眠。

するとタイのノックさんが、今から国境を越えるから一緒に行こうと声をかけてくれました。
私達はバスを降り、朝もやの中をイミグレーションに向かって歩いていきました。

と、ここでアクシデント。
出国税が予想の4倍、つまり20000キップもかかるらしい。仕方がない、タイバーツで支払うか…、と考えていると、ノックさんは私のパスポートを持って、窓口の群集を押しのけ、さっさと出国スタンプを押してもらって帰ってきたのです。
そして、お金ももう支払ったから気にするな、と。
ええ~?
いや、タイバーツがあるから支払いは大丈夫です、と言ってお札を取り出しても、ノックさんは、
「いいんだよ、君は共に国境を越えていく僕の友達なのだから。」
と、お金を受けとらず。
なんてやさしいおっちゃんなのだ…。

今度はベトナム入国管理局へ歩き始めた私達。
そういえば、ノックさん(東南アジアの国境越えに詳しい)は、バスの中で闇両替していたなと思い出し、レートを確認してみることにしました。
私が思い描いていたレートで1バーツ=約420ドン。
街中でのレートがよく分からないけれど、ここから街までに必要な小銭のことも考えて、1バーツ=400ドン以上であれば、少し両替しておこうかなと考えていたのですが、ノックさんの話によると1=440らしい。
なんだか良いレートのようです。そこで3000バーツまとめて両替してしまうことに決めました。

マスク、手袋、帽子、サングラスの怪しいおねえさんの群集が我々を取り囲み、ノックさんがレートの交渉に当ってくれます。
3000バーツ札を取り出すと、おお~、攻撃的なおねえちゃんが、無理やりお金を掴み取って両替の横取り合戦開始です。

向こうも私も札の端っこを握り締め、ここは引っ張りあいの睨み合い。
「札から手を放せぃ!」「後ろに下がれぃ!」
むこうもベトナム語で何かを叫びながらお札の端を握ったままなかなか放そうとはしませんぞ!
ノックさんも、他の群集との対応に追われてもみくちゃです。

最初に1=440で手をあげたおねえちゃんと取引を続けていたノックさん。私はようやく取り戻した3000バーツをノックさんにパス!
ノックさんは、おねえちゃんに何度も電卓を叩かせ、受け取った紙幣1320000ドンのカウント開始。
算数の時間です。1ミリオンドンとか言われても、分けがわからない。
ノックさんに続いて、私も札束のカウント開始。ワンミリオン、スリーハンドレッド、トゥエンティーサウザンド、ドン。はい、確かに。
ノックさんの手馴れた両替術に助けられ、納得のレートで両替が完了しました。
おじさん、どうもありがとう。

ベトナム国境を越えてからも、ノックさんはとっても親切でした。
流暢なベトナム語でお昼ご飯もさっさとオーダーしてくれて、なんとご馳走になってしまいました。
ノックさんのベトナム人のお友達にバスの中から電話をかけて、私の宿の手配をしてくれたり…。
ノックさんは最後まで親切で、「いつかタイに来たときにお昼をおごってくれればいいよ~」なんて笑いながら、爽やかにニコヤカに去っていかれました。

タイのおじさんからの一足早い「お年玉」でした。
最悪のバスにもかかわらず、とても楽しい旅ができました。
タイのノックさん、ありがとう。

■ベトナムのジャッキーチェーン

やっとフエにたどり着きオンボロバスを降りると、そこにはベトナムの美しき町がありました、と言うのはウソで、私はフエ市外遥か彼方のジャングルの中に置き去りにされたのでした。
(バス会社とバイタクがグルになってワザト市外で乗客を降ろし、市内への交通手段の必要を迫る作戦ではないかと。クッソ~、メラメラ。中国でも似たような手口がありましたけど。)
民家も何もございませんが、ここは何処ですの?ジャングルですの?

バスで仲良くなったシンガポールの男の子二人組みとタイ人の若者団体5人くらいと一緒に、どことも分からない僻地に突然下ろされ、土砂降りの中途方に暮れる私達(やられた!)。
すると、もう一人一緒に降りたジャッキーチェーンを細身にした感じのベトナム人のおじさんが、どうやら我々を助けようとしてくれているらしいのです。
ジャングルで置き去りにされる我々を狙って、何台か集まったバイク(荷台無しの普通のバイク)軍団(バスに置き去りにされる旅行者を待ち受けるボッタクリ?バイタクです)と、ジャッキーは激しく値段交渉を開始。
おじさんは、雨に濡れながら、ド迫力でバイク軍団に指示を出し、一人20000ドン(1ドルちょい)で全員が街に辿りつけるように交渉してくれたのですね。

さて、バイクの台数には限りがあるので相乗りが必要になります。
そこで、一台のバイクにドライバー、ジャッキー、私の三人がまたがり、さらに私の背中には15キロのバックパックがくっ付いて、サイドにはパソコンの入ったリュックを抱え、いざ出発!
ジャッキーさんをサンドイッチ乗車でございます。
おっこちる~。しかも降りしきる雨で前が見えない。

ジャッキーのジャケットにしがみついて「スローダウン!」を繰り返し、ビビる私。
もしもタイヤがスリップしてバイクが横転したら、背中に縛り付けられた荷物に引っ張られ、きっと仰向けに落車転倒してそのまま転がっていって、気がついたら病院のベッドの上…、かしら。。と心配しましたが、無事市内にたどり着きました。

下車後も金銭問題で文句を続けるバイク軍団を、ジャッキーは仁王立ちで一蹴。
我々哀れな旅行者からは約束どおりの額のみを徴収し、親切にも安宿の方角を教え、そして、激しく唾を飛ばしてバイク軍団に言い返して、ついに彼らを撃退したのでした!
おお~!ジャッキー、さすが、カッコイイです!
ベトナムのスターから一足早い「お年玉」でした。
ベトナムのジャッキー、ありがとう。

つづきは2部にて。
それではまた、ごきげんよう。

安希

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