249. 国を分断する貿易協定、信用を失う政治とメディア
ウクライナに続き台湾も・・いや、日本もです

皆さま、こんばんは。今日は、先週18日(火)に勃発した台湾の学生たちによる議会占拠について。先ほど台湾の大学で教える友人からメールがありました。

今日の午後、彼女の教え子を含む163名の学生が、警察部隊との衝突によって負傷し、7名が病院に搬送された、と。

今回の事件の発端は、台湾と中国の間での貿易協定にあります。両国の間には長く複雑な歴史があり、また、現在の経済、政治、感情、建前、現実、それらのどの視点から見るかによって状況の説明の仕方は随分と変わってきます。貿易協定に関しては、細かい点について賛否両方があるのは当然のことですが、問題は、法案がなかなか通らないことに痺れを切らした馬政権が、正式な手続きを踏まずに無理矢理に法案を通したことにあります。政府の不正に憤慨した学生が議事堂周辺に結集し、抗議活動を開始。18日以降も、馬総統からは何の説明もなされず(23日まで)、日々、抗議群衆の数は増え続けました。そして昨日、政府は警察部隊を結集させ、群衆に対して武力反撃。そして今日午後の流血事件が起きてしまいました。

貿易協定それ自体に関しては、比較的中立的な立場でメールをしてきた友人でしたが、政府の不正と一般市民に対する武力行使(教え子が巻き込まれていますから・・)に対する怒りは隠しきれないようでした。

それからもう一つ興味深かったのは、彼女が台湾メディアの情報ではなく、国際メディアの情報をこちらに流して来たことでした。
『うちにはテレビがなく、台湾系のネットメディアで情報を追うのも、もう諦めている。なぜなら、台湾のほとんどのメディアは、中国系企業や馬政権に所有されているから』

彼女のメールを読んでいて、なんだかデジャビューだな・・と。ウクライナと似てるな、と。

ヤヌコビッチが貿易協定を巡ってトラブルを起こし、それに抗議した民衆に対して政府側が武力鎮圧を試みるも失敗。その混乱の中でクリミア危機が発生して、ウクライナは今に至っています。それから、ウクライナの友人たちもまた同じように、政府だけでなくメディアに対する強い不信感を語っていました。政府のスポークスマンでしかないメディアの意見を聞いていても意味がないので、別ルートから情報をとっているというもの。

この流れは一体なんなのでしょうか。貿易協定を軸に、各国の内部分裂が進んでいるということでしょうか。政府の企業利益最優先型の暴走に対して、市民がいよいよブチキレ始めているということでしょうか。世界の経済不況、格差の拡大に対する不満が新しい形で噴出し始めているということでしょうか。政府が対話や説得ではなく、強行採決や不正、武力による鎮圧に頼ろうとするのは、政治の劣化が進んでいるからでしょう。

彼女に台湾の様子を訊ねたそもそもの理由は、貿易協定を発端とした今回の事件が、近未来の日本の状況(TPPなど)を予想する上で役立つかもしれないと思ったからでした。しかし、彼女の意見は「日本で同じことは起きない。今回の事件の核心は、貿易協定を巡る是非にあるのではなく、政府の不正行為と、非武装市民に対する許されない暴力にあるから」でした。

その一文を読んで逆に、なんだかデジャビューだな・・と。近年日本で続いている政治、メディア、民衆をめぐる状況と照らし合わせると、本質的なところはむしろ似ているのではないか・・と感じます。

脱原発デモがあり、特定秘密保護法の審議打ち切り、強行採決があり、立憲主義を否定する政府見解があり、中立性を欠く奇妙な選挙報道(都知事選)があり・・。そしてここ数年、日本のニュースを知るために、わざわざ海外メディアから情報をとっている人がぐ〜っと増えている実感があります。

各国政府が経済的グローバリゼーションを目指している間に、各国の市民の間では情報的グローバリゼーションを通して意識や活動の共有がなされる時代。
アラブの春、ウォールストリートの占拠、そして今また、新しい流れがきているような気がします。

ではまた、ごきげんよう。

安希

 

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2件のコメント

  1. ご無沙汰してます。
    私もつくづく思います。ここ30年の中で、日本を含めて国際的に公権力の力がどんどん横暴になってきていると。
    日本でも特定秘密保護法やら立憲主義の否定論やらTPPやらで、経済的なグローバル化の中で内政的には内向きな国権主義的な政治運営が目立ちます。
    民衆は一見指を加えて見ているしかないと思われていますが、実はその中で、Twitterのツイートの中では、例えば山本太郎・三宅洋平・家入一真の活躍を見て、『私は市議選に出ます』『夫が市長選に出ます』といった書込みが徐々にですが増えています。やはり311以後、地方議会の中からコツコツと政治を変えて行こうという前向きな動きが出てきているのも事実です。実際に『1万人の立候補プロジェクト』『3年後に政治状況をひっくり返そうプロジェクト』というサイトがあるので、そういった視点でみれば、必ずしも悲観しなくてもいいのではないでしょうか?このブログでも、地方選挙の新しい動きについて扱ってもいいと思います。

  2. こんばんは。

    その昔、1968年に新宿駅で学生運動の人たちが暴動して半日、国鉄が止まったことがありました。ベトナム戦争反対の人たち。

    政府がどうのこうのと言うより、学生がどうのこうの、おとなしくなった気はします。、あんまり人のことは言えないかもしれないけれど、….。

    日本の学生のどうのこうのは終わるでしょうか?

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