世界旅2006:チベット医学のお医者さん(ネパール)

おはようございます。
内陸地での旅が続き、魚が恋しい安希でございます。
日本は秋刀魚の季節ですね。秋刀魚の塩焼き…、考え出すと発狂しそうです。ネパールの豆料理ももちろん大好きです!

さて、2週間ほど前のことになりますが、チベット医学のお医者さんにお会いしてきました。
お会いした直後から、いろいろと不思議なことが身の回りで起こりました。従って今回は、「チベット医学のお医者さん」に関わる体験記です。

カトマンドゥ到着直後から、市内の大気汚染、とくにチリやホコリに目と鼻をやられ、朝夕の鼻水と目の充血に悩んでいたある日、チベット医学のお医者さまに診ていただくという話が持ち上がりました。
先生は、チベットの特殊な地域のご出身とあって、地方特有の訛りでチベット語を話されるとの事。
そこで私は、チベット語を話す姉と、先生と同じ方言を話せる姉の友人(チベットからの亡命者)のダブル通訳を挟み、先生の診断を受けることになりました。

まず、僧院内の先生のお部屋へお邪魔しました。祭壇とチベット様式のベッドが4つ。先生ともう一人の僧侶がそれぞれのベッドの上に座っておられます。
先生は笑顔で私達を迎え入れてくださいました。そして、ベッドの上に座って先生と向かい合うと、先生はまず、私の左手首を取って脈をチェック。
指を三本脈に当て、随分長い間真剣に脈をとり、そして、次は右手首。そして、もう一度左手首。

その間に、ダブル通訳組みを介していくつかの質問がありました。

ポイント1:急な発熱を時々経験しませんか?特に高熱ですが、そういったことがしばしば起こるでしょう?

「急な発熱と高熱ですか?高熱で思い出すのはもう8年ぐらい前のことです。それほど発熱しているとは思いませんが…。」
先生は、あれ、おかしいなあ、熱が出やすいはずなのだけど。と神妙な顔つきで再度脈をチェック。

ポイント2:咳が出て苦しかったり、咳が止まらないことがしばしばあるでしょう?

「気管支が弱いのは確かです。今回もそうなのですが、最初は鼻水が原因です。鼻水からノドの痛み、気管支の痛みと下りてきて、そこまで来ると咳が長く続くことがあります。気管支が悪くなると発熱もしますね。」
先生と通訳二人組みは、ああ、やっぱり!と満足げ。やっぱり発熱するじゃないの!と。
「だけど、高熱が急に出るという経験はそれほど多いとは思いませんが…。」

ポイント3:めまいがすることはありませんか?

「たまにですが、あります。」
先生は、脈に指をあててまま、そうでしょうね、と神妙な面持ち。

診断は脈に指を触れるだけで終了。チベット語を話す三人は何やら楽しそうに談笑し、姉も先生に脈を診ていただいたりして診察は終了しました。
健康には特に問題は無いけれど、発熱に関しては慎重に様子をみたほうが良い、とのこと。後で薬を調合してお姉さんに渡しておきます、と。
そして、診察料(謝礼)を渡そうとすると、先生は全く受け取る気配も無く、手をあわせ笑顔で私に一礼をして、お堂の方へと去って行かれました。

さて、大気汚染が原因で鼻水が出ていただけにも関わらず、チベットのお医者さんにお会いしたいという好奇心から診察をお願いした私でしたが、この後、不思議なことが起こり始めたのです。
朝、先生の診断を受けて帰宅し、パソコンの前で普段と変わらない作業をしていると、なんとなく体の節々が痛くなってきたのです。
夕方ごろには明らかに顔面が熱くなり、変な悪寒がしてきました。

夜になり帰宅した姉が、やっぱり熱が出たわ!と感動して私に体温計を渡すと、ふむ、確かに。37.3度。微熱でございます。
「先生が予言するから熱が出てしまったじゃないのよ…。」と意気消沈した私は、翌日の昼まで長い睡眠を取り、熱が下がったのを見計らいお昼の僧院を最訪問。
すると、階段付近で昨日の先生に遭遇。熱が出ましたとお話すると、先生も、「ふむふむ、やっぱり。」とちょっと得意気で、調合したばかりのお薬を手渡して下さいました。

チベット医学のお薬がどんなものかご存知でしょうか?
黒い粒状のお薬で、大きさ形はチョコボールのような物です。朝昼晩と3粒づつを3回。それぞれ微妙に色や形が違っています。(お昼が一番大きくて黒い)
味は苦くて、木の幹をパウダーにして固めたらこんな感じかな~というところ。もちろん一息には飲み込めないので歯で噛み砕いてお湯で飲み込みます。
「特効性は全く無い」というのが特徴のチベットのお薬。噛み砕いた拍子に歯の隙間に挟まっちゃったりすると、一日が憂鬱になるお味でございます。

さて、先生の予言どおり?発熱した私でしたが、直ぐに回復し、平常どおりの生活に戻り忙しくしておりました。
そんなある日の夕方、仏塔の周りに赴き、チベット様式の礼拝(五体投地)に参加することになりました。
掌を合わせ、地面にうつぶせになって両手を前に伸ばし…を108回繰り返す肉体勝負の礼拝。
熱心な仏教徒に混じって礼拝し、それが終わると、もう真っ暗になってライトアップされた仏塔周辺を眺めながら、仏塔の一段高いところを周回(コルラ)することになりました。

仏塔の一段高いところをコルラするというのは、仏教では「悪い物が早く一度にやって来るのを助ける。そして浄化を早める」らしい。
「悪い物が一気に押し寄せてきたら怖いわねえ…」と言いつつも、仏塔周辺の美しい夜景に心を奪われて、コルラを行いました。

さあ、ここからがまた不思議な体験です。二日続けて礼拝を行った日の深夜、あまりの息苦しさと全身の痛みで私は目を覚ましました。
そうです。発熱してしまったのです。また~?

しかし今度の発熱は微熱どころの話ではなく、まさに高熱。
体温計は39.4度と表示しているではありませんの!!うえぇ!全身が沸騰して眠れない!
こんなに高熱では脳みそが溶けてバカになっちゃうわ!いやいや、もう十分バカだからこれ以上はバカにはならないわ!と考えてはみたけれど、リンパが痛くって痛くって、ギャグも言葉にならないではありませんの!

「特効性は全く無いチベットのお薬」を諦め、とにかく特効性がある解熱鎮痛剤を、というわけでパブロンを服用。
明け方には一時的に38.0度まで下がった熱も、再び昼頃に上昇し、再び39度を突破。
お昼頃には、ドイツ人やらスイス人のルームメート、また僧院の香港人の友人などがやって来て、やれ中国の薬が一番だの、リンパを冷やせだの、と枕元で大騒ぎ。
ひぇ~やめてくれぇ~。
そこで姉が言いました。
「きっと今、悪い物が全部出てるのよ。旅の疲れや今までに積んできた不徳を浄化してるのよ。だからとにかくゆっくり休んで治しなさい。」

確かに旅の疲れが一気に出てしまったのかもしれません。雑学の本に、海外に滞在すると滞在6ヵ月で原因不明の高熱が3日ほど続き、体が新しい環境にアジャストすると書いてありました。
アメリカにいたときも6ヵ月目で原因不明の発熱が起こり、40.2度の高熱が3日続いてERに行き(超田舎町だったため、隣町まで雪山を抜けてクリニックを探しに行った事がありました)、
一回の診察代が830ドル!(当時のレートで軽く10万円を越えていた)ことがあったなぁと。(保険に入っていたので、私の支払いは40ドルでした)
あれから8年、医者にかかるほどの発熱も病気もなく旅に出て、旅を始めてジャスト四ヶ月目の記念日に、8年分の熱が出たという感じでした。

中国の薬を飲んでも、リンパを冷やしても、熱は39度台に乗ったまま。
だけど、「浄化」の最中なので特効性の強い薬で抑熱しても本当には良くならないため、ここは我慢するしかない。
そこで、最近は「効果がない」と言われているらしいのですが、私達は「汗をかいて熱を下げる作戦」にでました。
やっぱり私達は、小さいころからこれ以外の方法で熱を下げた経験が無い。「とにかく汗をかいてすっきりしよう!」作戦です。

すると突然、窓の外は嵐になり、雷雨になり、雨のため停電し(ネパールの電力会社は雨に弱いので、ネパールの雨季はほとんど毎日停電するそうです)、
服を着込み布団を山のように被った私は、ロウソクの灯る暗い部屋で、雷を間近に聞きながら、汗をかくかく!
これぞまさしく怪しげな宗教儀式!何も停電に雷まで鳴らさなくても「浄化」は出来るでしょうに…。

姉の作ったしょうが汁(砂糖と塩入り)を飲んで、再び汗をかくかく。
そして、全身サウナ状態でもうこれ以上汗は出ないという段階になり、ようやく電気が戻ってきました!そして雷もやみました!
そしてついに熱が37.1度まで下がった!(やっぱり解熱にはこれしか無いでしょう)
熱が下がれば食欲も沸いてきます。姉の手厚い看護もあって、気分も身体も、すっきり、すっかり、治ってしまいました。

チベット医学のお医者さんに診てもらって以来、二回も熱が出たのは不思議な体験でした。
そして、よく考えてみると、今回の発熱はとてもタイミングの良い発熱(体調整備と療養)だったと思います。
過去8年の間では最も良い環境、つまりは看病をしてくれる姉がそばにいる状態で発熱でき、時間や仕事のプレッシャーもなくゆっくりと療養ができたからです。
よく寝て、栄養のあるものを食べて、毒抜きをする。ネパールを離れた後に一人ホテルで発熱するよりは、ずっとずっと良い状態での発熱でした。

安心して体調を崩せる環境。つまり本当にピンチの時に誰かが看病してくれるという環境は改めて素晴らしいと実感しました。
また、日ごろから無意識に溜まっていた疲れや緊張を、一気に解き放つことが出来る環境もまた重要だと思いました。
過去8年のうちでも、特に日本で過ごした2年間は、上記のような環境にはなかったと言わざるを得ません。

(アメリカ滞在中は必ずルームメートがいたので、完全に孤立することは無かったです。例えばお年寄りのルームメートが居たときなどは、緊急時に血圧を測る手伝いをしたり、ご家族や病院に連絡を入れたりという役目を果たしていたこともありました。)

病院のベッドの上でなくても、ちょっとした看護の手や監視の目があるというのは案外重要なことのようです。と今回の発熱で実感しましたよ。

さて、最初の診断から2週間が経った昨日、先生に言われていたとおり二度目の診察に伺いました。
先生のお部屋をお伺いする前に、朝からリンポチェ(高僧)に謁見していた私と姉は、チベットの民族ドレスを着て髪を結い上げ、装飾にメイクアップと気合十分の格好で、謁見終了とともに急いで先生のお部屋へ。。
我々の気合入りチベットドレス姿を見た先生は「いつになく気合を入れて」診察してくださって、お昼すぎには、新しい薬を調合して私達の元へ届けてくださいました。

おぉっと、薬の量が増えております!一回3粒。一日4回。つまり一日に12粒!これはなかなかの量ですぞ!
すっかり張り切って下さった先生と、最後には僧院の屋上で雪のヒマラヤをバックに記念撮影会までやってしまいました。(^^)

最後に、一回目の診察の時のビデオ(診察の様子をビデオ撮影しました)を見直していた私達ですが、ここで先生の診断内容をもう少し補足しておきましょう。

1、あなたはちょっと吸収が悪いようですね。
「吸収が悪いって、何の吸収?栄養?知識?経験?」(結局、何の吸収かは不明ですが、姉いわく、おそらく全ての面の吸収が足りないそうで…はい。)

2、身体はそれほど強いほうではありませんが、心臓はとても強いですね。
「はい。そのようです。日本の心電図でも実証済みです。脈がと~っても遅くて変動しないらしいです。」

3、大丈夫ですよ。あなたの心はきれいです。
「ええっ~何とおっしゃいました?!(感動)そんなことを言われたら、もう悪いことはできませぬ。(笑)」

というわけで、医療関係の皆様、これを活用してみてはいかがでしょうか?
今度患者さんを診察する際には、聴診器の音にそっと耳を傾け
「確かに体調は好ましくないようです。けれど大丈夫ですよ。心はとてもきれいです。」と。
私ぐらいの単純者の患者であれば、これだけで病気のことなど忘れて一日ハッピー。
もう悪いことは出来ないわ、と、ちょっと動揺したついでに改心を試みるかもしれませんよ。

それではみなさん、ご多忙中とは思いますが、時にはゆっくりと休憩をしてリフレッシュに努めてください。
ごきげんよう。

安希

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1件のコメント

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    チベット医学を検索していてたどり着き、楽しく拝読させていただきました。

    「3」の決め文句はちょっと可笑しいですね。熱があって本当にしんどいときに言われたら「大人の返事」ができないかもしれませんが・・・

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