世界旅2006:ゴキブリ列車に41時間、立ったまま乗ってみた(中国)

皆さんこんにちは。安希です。

私は今、パンダの故郷、中国の成都に来ています。四川省、辛い料理で有名な土地です。
前回のメールに書いた通り、本当は香港から雲南省の昆明を目指し、その周辺で2週間を過ごす予定が、成都へ来てしまいました。
それにはちょっとしたアクシデントとストーリーがあるので、今日はそのお話を…。

まず香港を発つ5日前のことですが、私は昆明行きの列車の切符を予約するために、中国旅行社という国内最大手の旅行会社へ行きました。
がしかし、列車の切符を買うにはその駅のチケットカウンターまで行かないと買えない、と言われ、
とりあえずはバスで広州まで行き、そこでバスステーションから列車の駅まで行き、そこで昆明行きの切符を買えばいいと言われました。

そこで私は指示に従い、朝6時に友人宅を出て、バスに乗り、しばらくしてからバスを降りて香港からの出境ゲートを通り、またバスに乗り、
川を渡り、またバスを降り、中国への入境ゲートを通り、またバスに乗って、11時30分に広州へ着きました。
中国旅行社の話によると、列車の駅は徒歩で30分のところにあり、昆明行きの列車は2時30分発ということだったのですが、
荷物も大きいし、ここは大事をとってタクシーを捕まえました。

ところが、中国のタクシーはどこもそうですが、本当に英語が通じない!!
落書き帳に漢字やら絵やらを描き、最後は、シュッシュポッポッ~とか意味不明のジェシュチャーまでやり、まるでやる気のないタクシードライバーとしばらくやり合って、やっと駅までやってきました。

ところが、これも中国のタクシーの特徴で、短い距離の客を露骨に嫌う傾向があるのです。
北京でも、タクシーに乗ってから行き先を告げると、「そんな短い距離は金にならないから走らない」と断られ、何度もタクシーから降ろされたことがありました。
広州のタクシーは駅まで行ったはいいけれど、お釣りを床へ投げられ、でもまあ走ってくれただけでも幸運ということで、床に落ちたお釣りをしっかりと拾って、駅のチケットカウンターへ。

広州駅には、所得の低そうな(難民のような)人たちが大きな荷物や麻袋(穀物が入っているのかな?)を抱えて、列車やチケットの順番を待ったり、新聞の上に所狭しと寝ていました。

さて、チケットの窓口は30以上あり、英語のサインはなく、ほとんどどれも同じ漢字が書かれていたので、私は無難な29番窓口へ並び15分以上待って窓口へ。
すると、23番へ行けと言われました。23番も29番も書いてある漢字は全く同じなのに、何故??でもそこは仕方ない。23番に並び15分。
しかし、昆明行きのチケットは売り切れで、早くても4日待ちと言われました。
4日!!

そこで私は即座に成都行きならあるかと聞きました。
というのも、成都からチベット行きの列車に乗るには、まず成都へ行って10日前に予約をしないと取れないとの情報を得ていたので、ならば先に成都へ行き、チケットを予約してから時間があれば昆明へ戻る路線に変更したわけですね。
成都行きなら明日の便が取れると言われたので、広州で一泊し(駅で変なおばちゃんに声をかけられ、着いて行ったら誰か家族が住んでいる裏手のアパートの一室へ放り込まれて、
全く英語が通じない大家族と共に一夜を明かすことになりました。80元(10ドル)、ちょっと高いが仕方ない)、そして、翌日成都へ。

ところがどっこい、このチケット、立ち席のチケットだったのです。
中国の列車で一番安い車両に硬座というのがあり、一般庶民(比較的低所得か田舎者か貧乏学生)はこの硬い椅子に座りって長距離旅行をするのですが、その車両はいつも人で溢れ、座席の取れない人々は、ギュウギュウ詰めになって立ったまま行くという恐怖の車両。
そして、私のチケットは、その硬座の「座席無し」のものでした。

席がないことも何も説明を受けていなかった上に、チケットに書かれた「立ち席」の中国漢字は日本では使わない漢字の為、理解できなかったのです。
でもまあ、これも「庶民の生活レベルに近い旅」の良い経験だと腹をくくり、17時間の立ったままに挑むことに。

車内は大荷物を抱えた家族連れや汚い服の若者で溢れ、床はゴミとゴキブリ(ゴキブリのちびちゃんみたいな虫がたくさん)で溢れ、ラーメーンの汁、果物の皮、吐き捨てられた唾、痰、食べかすだらけ。
眠るときは、立ったままか、運がよければ足を畳んで新聞の上に座るか、荷物の上に人が重なるように寝てみたり…といったところでした。
私は、時折しゃがんだり、立ち寝をしながら、それでもどうにか17時間が経ちました。

ところが、時間が来ても列車が停まる気配がない!そこで、ペンを取り出し漢字をならべて到着時間を確認することに。
すると、なんと、到着は翌朝だったのです。
到着時間も日付も、切符には書いていないので、駅の掲示板に表示された到着時間だけでは「到着日」が分からなかったのです。
つまり、一日勘違いです。ということは、私はプラス24時間、合計41時間立ちっぱなしで、このゴキブリ列車に乗っていくことに。ひえ~。

そんなわけで41時間、立ったまま食べ、立ったまま飲み、立ったまま寝て、時にいたし方なく人の山を踏み分けてトイレへ行き、棒で突っついて汚物を落とし込む強烈な(もちろん水なし、紙なし)トイレで悶絶し、
そして、多くの人に踏みつけられつつ、配膳ワゴンに足を轢かれ(狭いので何度も台車が足を踏んでいくのですが避けようがない。)
もう、踏んだり蹴ったり!YEY! ワゴンのご飯も立ち食いだったさ!お腹だって痛かったさ!
周りの学生もお腹痛いって言ってたから胃腸薬だって分けてあげたさ、というか強引に飲ませたさ!
「ほら君、コレ漢方薬だから飲みなさい!あなた中国人なら漢方薬飲めるでしょ!良薬口に苦し!」
彼は私に漢方薬を飲ませれて、おかげで翌日回復したさ!GOOD FOR HIM!

そして、私は見てしまったのですが、トイレの便器をこするほうきと廊下を掃くほうきが同じほうきなのです。
どうりであたり一面が臭いわけだ。
はあ、それにしても、この廊下を素足で行き来する(低所得)庶民の度胸には頭が下がりました。

それでも少しずつ周りの人たちと仲良くなり、漢字をノートに書いたりしながら色んな話をしました。
何といってもみんな暇で暇で退屈なので、食べるか寝るか話すか遊ぶか、ということになり、中国人でない乗客なんて私以外にはもちろんいなかったので、みなさん興味深々で筆談をやってくれましたよ。
面白い学生の二人組みは親身になって旅の相談に乗ってくれました。あの狭い車内で何時間も立ったままで~。

そしてついに朝9時、成都に到着。まず旅行手配社へ行き、チベット行きの情報を確認することに。
(チベットへ行くには、外人の場合は許可証がいるとか、バスに乗ってはいけないとか、いろいろややこしいのです。
そしてこういった法律は曖昧で、政府と旅行会社が癒着しているため勝手な法則を昨日の今日で変えてしまったりするのです。)
旅行手配社の情報では、8月4日に法改正があり、許可証は要らなくなった代わりに、外人は列車でチベットへは行けないことになった…と。はい?

それでも諦められない私は「もしかするとまた改正があったかもしれないし、分からない」との意見に望みをかけて、
駅までバスで戻り、そこから3時間半、計5人の鉄道職員と激しく窓口でやりあい、後ろの行列にもみくちゃにされても踏みとどまって、
怒声だってバシバシ飛び交っても窓口にへばりついてねばりにねばって、(41時間立ちっぱなしで二晩寝ていなかったので、おそらく目は血走っていたと思います)
けれど、鉄道職員もはっきりとした法律が分からず(ほとんど闇の世界ですから)最終的な答えは、外人にはチケットを売れない。とのことでした。

それでも諦められない私は、中国国際旅行社という、外人のチベット旅行では一番力を持っている代わりにしっかりとお金も吸い上げますという旅行会社へ電話をかけて確認。
やはり答えは、外人は列車でチベットへ行くことは出来なくなった(現在は無理)。唯一の方法は飛行機で行くこと…とのこと。
列車で行きたいがゆえに昆明を諦め、41時間のゴキブリ列車に耐えてココまで来たのに~。

あまりの疲労と足のむくみで自暴自棄になり、ついに列車を諦めました。
(足がむくみすぎて、足首の周りが赤くなって皮膚が炎症を起こしました。誰か、皮膚科のお医者さまいらっしゃいましたら処方お願いします。)
他にも、とても危険なバスをヒッチハイクして山を超えるとか、ジープの荷台に隠れていけばいいとか、更に北部からバスで入るとか、いろんな情報は飛び交っていますが、違反をしてまで旅をすることは私の目的ではないし、時間ももうないので、はい、分かりました、飛べばいいのですね。
従って、5日後、チベットへ飛びます。

標高3700メートルへ飛ぶのは少し不安ですね。できれば時間をかけて列車で行きたかったのですが。。。高山病の対処法、お願いします。
また、良い薬などあればアドバイスしてください。この周辺で薬などは手に入れてから飛びたいと思います。

2008年、オリンピックが北京で開催されますが、ある意味で心配です。
ゲストハウスで相部屋になったドイツ人曰く、オリンピックまでに、政府は北京中のタクシードライバーを教育して、街を整備し、北京の工場を二ヶ月前から閉めて労働者を街の外へ追い出しておいて、近代化した国際的な中国を世界にアピールするだろう。
とのことですが、ひとたび北京の外へ観光客が出てしまうと、国際基準からすると驚くような実態に「唖然」とするかもしれないですね。

旅行会社と政府が結託してお金儲けをするシステム
(基本的に列車のチケットを外人には売りたくない理由は、外人には飛行機を使って三倍以上のお金を支払ってもらいたいから。
しかも、例の許可証と言うのは名ばかりで、証明書が発行されるわけでも、スタンプを押してもらえるわけでもなく、ただ、飛行機で行くならそれは透明の許可証が含まれていると考えるのだそうです。。。??はい??何ですかそれは?意味不明。)
つまり、こうした外国人旅行者へのちょっとした差別こそが、2008年までの中国の課題のような気がします。
でも基本的には、中国はこれらの問題を、特に問題だとは意識していないでしょう、というのが実感です。

とまあ、私はちょっと疲れているので、ネガティブなお話になってしまいましたが、
中国が外国人旅行者を歓迎しない(少なくとも歓迎的な態度で対応しない)理由の一つに、中国国内の膨大な人口と国内旅行者の数が上げられると思います。

チベットの例はちょっと特殊なのでおいておくとしても、今、中国はすごい旅行ブームで、どこへ行っても観光地は人の海です。とにかく身動きが取れないほどの人、人、人。
ですから、中国という国は海外からの旅行者を増やす必要なんてないような気がしますね。
これは、ビジネスに関しても同じかもしれません。とにかく国内に消費者が沢山いる(国内が最大のマーケットになりうる)のでわざわざ海外を意識しなくてもいい。
そういった部分が、この国の人の国際化や外人への態度の中に表れている気がします。

しかし!これはビジネスを考えている人にとっては、やはり中国はすごい市場なのです。
以前スタッフからのメールにもあったように、これから中国はすごく発展するでしょう。
そして、さらなるインフレを起こし、既存の国際社会の枠内に迎合することなく、独自の市場を成長させながら堂々と世界へ出てきて世界市場を圧巻していくかもしれません。
もちろん私は経済のことは良く分からないので、実際のことは分かりませんが、人の多さと人のパワー、堂々としているというか、国際基準ではちょっと傲慢ともいえる彼らの態度から、近未来の中国について私が抱いているイメージはそんなところです。
そして、同じゲストハウスで相部屋になる沢山の旅行者(世界中、中国中を何年も回っているような人たち)の意見も私と似たり寄ったりですね。

随分長くなってしまいました。相変わらずまとまりを欠いていてすみません。
中国の国家イメージについて話が長引きましたが、やはり最後にもう一点だけ確認しておきたいことがあります。
それは、国の機関やビジネスの世界とは関係なく、やはりこの国にも沢山いるフレンドリーな市民のことを、この旅を通じてしっかりと理解していかなければいけないということです。

列車の中で夜を徹してアドバイスをくれた学生達、全く言葉が分からないにも関わらず、私が数時間の睡眠が取れるように「しゃがめるだけ」のスペースを確保してくれた周辺の乗客。
そして、私が成都へ到着した後、宿探しに困らないようにと、安宿を予約して携帯へメールをくれた上海のお友達。
ごく当たり前のように救いの手を差し伸べてくれる人々のことを忘れてはいけないと感じています。

成都に到着した日の夜、上海の友人に宛てて、宿を予約してくれたお礼と鉄道会社への愚痴をメールした最後にこう書きました。
「奇妙な公共機関の印象ではなくてあなたの親切さを、私は中国のイメージとして心にとめておきたいです。」と。

国家の全体像や国のシステムを冷静に観察するのと同時に、周りの人々の肌の温度もまたしっかりと受け止めておきたいと思った一週間でした。
国のイメージ=? 一言では言い表せません。

次はチベットかカトマンドゥからレポートします。 それではみなさんごきげんよう。

安希

追伸:
昨日、九塞溝へ行ってきました。往復バスで24時間。プラス、朝6時半から夕方6時半まで12時間ノンストップハイキングでした。
この一週間のアクシデントを忘れるには充分の素晴らしい湖でした。お勧めです。数日間はまた筋肉痛ですね。カニさん歩きです。(^^)

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