243. キューバのお金『商売編2』

皆さま、おはようございます。
キューバのお金、商売編の続きです。

■ 供給過剰を経て、淘汰が始まる

『辣腕カサ』の一人勝ち状態となっている『カサ パルティクラル(キューバの民宿)』の世界。しかし、この産業に新規参入してくる人は増え続けているようです。隣の家が『カサ登録』をして、月に2万円も5万円も稼いでいると知ったら、自分の家だって登録したいと思うのは当然でしょうから。そんなわけで、観光客が集まりそうな地域は、今やカサだらけです。

しかし、カサが増えたからと言って、観光客の数が永遠に増え続けるわけではありません。だから当然、客の奪い合いは激化し、価格競争だって起こります。新規参入したオーナー達は、「客を一人泊めることができれば、勤め先の月給を超えられるという夢」が、実はそんなに簡単なことではなかったことに気づき始めるはずです。『カサ』の供給過剰を経て、ビジネス下手な『ウブカサ』は、結局ビジネスを諦め、淘汰されていく運命にある、と。一方で、生き残ったカサは、ビジネスの規模をどんどん拡大していくことでしょう。ああ、悲しいかな社会主義〜(アイロニー)。

■ ライセンス取得、という特権階級

金儲けがしたい。というのは、もちろん客の奪い合いを加速させている一大モチベーションですが、実はもう一つ、『客を奪い合わざると得ない』という切実な事情もあります。それは、カサに登録するためのライセンス料の高さです。政府が利益を大幅に吸い上げるというのは、さすが社会主義だな〜、とも感じますし、一方で、ライセンス取得のハードルが高すぎて、こんなんじゃ平民は参入できないじゃんか〜という不公平感、というか特権的な匂いも感じたりするわけです。

まず、『カサ パルティクラル』の登録料は、一ヶ月7000円(2014年1月現在の情報)だそうです。プラス、売り上げの20パーセントの納税が義務づけられています。これはかなり高いハードルです。だから、『カサ』のオーナーたちは、一泊2500円の客が3泊し、さらに朝食(400円)を3回食べてくれる(8700円ー1500円=7200円。*朝食代はたぶん非課税)と、やっと一ヶ月分の登録料がペイできる計算になるんですね。だから、客が3人以下だと、それこそ大赤字!という高いリスクも負っているわけです。

さらに、このライセンス制度が『特権的』と感じるのは、登録料の支払いが、一年分一括払いだということ。毎年2月に、一括で収めなければいけないそうなんですね。だから、ある程度の蓄えがなければできませんし、また登録できる家は、『外国人を泊めて恥ずかしくないレベル』に限られていますから、それ相応の不動産を持っている人しか、結局はこのビジネスに参入できないということです。それに、一年分一括払いとなると、ハイシーズンだけ登録するというわけにもいきません。キューバの観光シーズンは冬場ですが、雨期や夏期の間は、地域によっては全然観光客が来ないこともあります。しかし、その間の分ももちろん登録料は支払わなければいけない。だから冬場、観光客がいる間に、オフシーズンの損失を補えるだけの高い収益を上げる必要が出てくるのです。

うん・・・、こうなってくると、『商売編1』で書いた『辣腕カサ』のような、少しでも多く金が取れそうな客へ乗り換えていくくらいの手荒なビジネス戦略がないと、なかなかボロ儲けはできないでしょうし、逆に『ウブカサ』のオーナーは、早い時期に『集客方法』を学ばない限り、カサを続けていくこと自体が難しくなると思います。

年収2万円の国の人たちが、年間8万4千円のライセンス料を一括で支払っている。それが、『カサ』です。そして、カサに登録するには、宿泊施設にふさわしい不動産を持っていなければいけない。

『カサ パルティクラル』は民泊、すなわち、それは『民家』として提供されている宿泊施設(ホームステーのようなもの)ですが、実際に『カサに登録されていない家』も何件か見に行ってみると、もう、そこには凄まじ格差があるんですよね。だから、『カサ パルティクラル』は、『ただの民泊』ではなくて、『特権階級の民家での民泊』と言うほうが、やっぱり正しいんじゃないかな?と、おばちゃんは思ったのでした。

■ 提携と囲い込み

『辣腕カサ』の人たちは、今、どんどんとビジネスを拡大させていっています。やり方は、『商売編1』でも書いたような、タクシーや現地ツアーガイドと提携することです。それ以外にも、他の街の『カサ』と提携して、お互いを紹介しあったり、数軒の家で斡旋しあったり、と、客の囲い込みに必死です。これはもう、ベトナムのデジャビューだな、と。(笑)ベトナムのいわゆる『hop on hop off バス』と同じ。次の街に着く前から、提携先の宿に自分の顧客情報が全部漏れていて、バスを降りた瞬間に『アキー!待ってたわよ〜』って宿のオーナーに抱きつかれるみたいな・・・。「っていうか、誰やねん!」(笑)

キューバはまだ、そこまでは進んでいませんが、道を歩いていると「やあ、また会ったね!」なんて親しみを込めてキスされて宿の紹介をうけて、もちろん心の中では、(だから、誰やねん!)と思いつつ、「あ〜、あのときの〜!」って振りをしてこっちもキス仕返したりして、一応条件だけ聞いて「じゃ、またあとで連絡するね〜」って言っておいて逃げたり、そんなこともありました。まあ、どっちもどっちですね。(笑)

キューバのカサ制度が、マフィア組織にがっちり囲い込まれているカンボジア、建前上の社会主義国ベトナムに、とってもよく似ているという点が非常に興味深かったです。この何年間か、旧社会主義の国々(東欧)、共産主義の中国、それに、北朝鮮、ベトナム、キューバを旅行してきましたが、この辺で一度、北欧型社会民主主義についても、いろいろ知りたいという欲求がわいてきました。とくに結論はないんだけど、面白いから。(笑)

じゃあ、次はどうしましょうか。
キューバの物価をダイジェストでレポートしましょう。

ではまた、ごきげんよう。
安希

Be the first to like.


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。