240. キューバのお金 『賃金編1』
~葉巻工場で働くお兄さんの給料は、いくら?〜

皆さま、こんにちは。
今日は前回に引き続き、キューバのお金について。2つの通貨が存在する社会主義国のキューバで、人々がどのように働き、お金を稼いでいるのかを見ていきましょう。ただし一点断っておきたいのは、ここに書かれていることはあくまでも私の個人的な体験から得た情報であって、事実かどうかは分からないこと。スペイン語がまったくしゃべれないバックパッカーおばちゃんの戯れ言ってことで・・。

■ 偽物か、本物か?

首都ハバナに到着した日の午後、予約しておいた『カサ・パルティクラル(政府認定の民泊)』に行ったおばちゃんを待っていたのは、「予約なんてもらってない!」という宿のオーナーの剣幕でした。なんで、怒られなアカンねん・・・(笑)。予約の確認メールを見せるも『知らない!』と言い張るオーナー(ダブルブッキングだったようですが、自分の非を認めたくなかったんでしょうね)。仕方がないので荷物を担いで別の宿を探していると、一人の男性が片言の英語で話しかけてきました。「一泊1000円のカサがあるから紹介する」と。男性に続いて怪しげな建物の階段を上って行くうちに、他にも数人の男性がくっついてきたので、「これはヤバイかな?」と思ったおばちゃんは、足を止めて確認しました。
「私は外国人です。政府認定のカサ(青の碇のマークがついている)以外は宿泊できません。宿泊すると法を犯す事になるので、それはできません」
「もちろん、ここは認定カサだよ!」
そう言い張る男ども。う〜ん、分からないですけど、私もキューバに着いてまだ数時間しか経っていないときで判断がつかなかったので、とりあえず一泊1000円の部屋とやらを見せてもらってから決めることにしました。部屋は古いビルの4階にありましたが、オーナーである年配の夫婦も悪そうな人じゃなかったですし、屋根裏部屋のベッドも、問題なさそうだったので、ここで最初の4日間を過ごすことに決めました。

宿泊費を払い、自己紹介やらなんやらをやっていると、くっついて来た男性の一人が包み紙を広げて、突然「葉巻をあげましょう」と言ってきたんですね。うわ〜、怪しい展開だ〜と思いましたが、せっかくキューバにいるんだし、葉巻のことも知りたいと思い、言われるがままに葉巻を一ついただきました。
すると彼はこう言いました。
「僕は葉巻工場で働いています。この葉巻は僕が工場で手作りした最高級葉巻で、市場では一本1500円くらいするものです」
おばちゃんは葉巻の香りをかぎながら(いい香りでした)訊きました。
「これ、コイーバ(最高級の葉巻ブランド)ですか?」
「そうです!コイーバです」
「でもラベルがついていませんよね(正規商品にはラベルが貼ってあります)」
「ラベル付きが欲しければ、工場から持ってきますよ」
でも、どうして私に高級葉巻をプレゼントしてくるんだろう、この男は? と、当たり前ですけど、おばちゃんとしてはその裏にあるストーリーを詮索するわけですよ。だって、一本1500円のコイーバですよ?普通に考えたら怪しい。でもキューバに来たばかりなので、背景にある事情が読めない。すると男性は言いました。
「一本目はプレゼントするから、二本目からは僕から買って欲しい。正規価格の半額にするから」
「・・・考えておきます」
その場の会話は一旦終了させたものの、初っ端からミステリーに突っ込んでしまいました。疑問は2つ。

1、この宿は認定カサなのか、違法カサなのか?
2、この男は何者で、葉巻は果たして本物のコイーバなのか?

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■ 葉巻工場で働くお兄さんの給料

お兄さんが半額の葉巻を私に買わせたかった理由、それは彼の職場と賃金にあります。なぜなら、葉巻工場で働くお兄さんのお給料は、一ヶ月なんと1000円。たったの1000円では暮らしていけないので、お兄さんは自分の工場から持って来た葉巻を闇で販売してお金を稼いでいるわけです。だって、私が彼から半額の葉巻を買ったとして、1本750円。2本売れれば、一ヶ月半分の給料と同じ額が彼のポケットに入るわけです。そりゃ必死でしょう。売りたいでしょう。

でも、これって要するに闇取引ってことですよね?捕まったりしたらヤバくないんですか?そもそも、どうやって工場から葉巻をくすねてきてるんですか?実は葉巻工場で働いているっていうのはウソで、偽物の安い葉巻を750円で売りつけようとしてるんじゃないでしょうね?などなど、様々なことを考えてしまいましたね。ただ、この男性と数日間を一緒に過ごした印象として、彼がウソをついている可能性は極めてゼロに近いと思いました。直感で。そして、真相は葉巻工場で確かめることに・・・。

■ 葉巻工場を見学

葉巻工場の見学ツアーに行きました。工場のビルの中にはずらりと机が並び、老若男女を問わず多くの人が働いていました。すべて手作業です。週に5日、一日8時間働き、一人だいたい100〜150本を一日に生産します。丁寧に作っているとは思いましたが、8時間真剣に働いたら数百本は作れると思いました。これで休憩時間が5時間くらいなら、ある意味理にかなっていて笑えますけど、まあそんなこともないでしょうし。(笑)そして、月収は出来高制だが、一人だいたい1000円から1500円くらいだ、と。やっぱり・・・お兄さんの言ってたことはウソではなかった。

さらに従業員は、毎日5本の葉巻をタダで支給されます。だからお兄さんは、葉巻をあんなにたくさん持っていたのですね。つまり、お兄さんが持っていた葉巻は、まず間違いなく本物(工場で支給されたもの)です。ただし、グレードが最上級かどうかは分かりませんから、コイーバでない可能性はありますが(そもそも、コイーバであのサイズだったら正規価格で2500円くらいします)、少なくとも、工場で生産された本物を売ろうとしていたことは分かりました。

それにしてもですね・・・、一人あたり一日120本生産したとして、一ヶ月で2400本、それを一本1500円で販売した場合、従業員一人当たりがもたらす売り上げは毎月360万円です。で、月給1000円って・・・。もちろん1500円というのは末端価格ですから、諸々の経費は差し引かなければいけませんが、それでも100円というのは・・・ねぇ・・残りの金はどうなるの?(笑)社会主義っておもしろ〜い。いや、おもしろくな〜い、みたいな。

ちなみに、工場には社員食堂がついていますが、この食堂は無料ではないそうです。1食1ペソ=4円かかるそうです(社会主義なのに無料じゃないんだ・・)。たった4円ですけど、月給1000円のうちの80円(4円×20日)ですから、ざっと月収の8%です。これを月給30万円の日本のサラリーマンに当てはめてみますと、30万円×8%÷20日=1食1200円の社食です。はい、安くないっすね。

ただし、実際の相場観からすると、やはり1ペソは安いです。というのも、結局のところ、誰も月給の1000円だけで生きているわけではないから。みんな副業(葉巻の闇販売など)を持っていて、そっちの収入のほうがはるかに大きいわけです。そして、その葉巻を売るチャンス、すなわちクック(要は外貨です)を獲得するチャンスは、キューバへやってくる外国人にある。だから『複雑な距離感』の中でも書きましたが、外貨の味を知っている人は、外国人に近づくために必死になり、外貨獲得に血眼になるのです。

ちなみに、葉巻工場の視察料は1000円です。写真撮影は禁止で、あまり見るところはないですから、1000円は高いと思いました。そして案内係のお姉さんも、案の定、案内などはそっちのけで、むしろ葉巻を”特別価格”で観光客に売ることで頭がいっぱいのようでした。(笑)銘柄はコイーバ。ラベル付きで格安!欧米人のツアーグループが一瞬で買いあさってしまったので、おばちゃんは買いそびれましたが(買う気もなかったし・・)、「どれどれ」と身を乗り出したら、あろうことかジャケットの袖がむき出しの電線に引っかかってしまい、接触させてあった導線が離れてしまって、いきなり部屋が停電。ひえ〜、ごめんなさい〜。そして、2本の導線をくっ付けたら、再び明かりが灯りました〜!工場の電気は、スイッチ式ではなく、手動式だったんですね。(笑)360万円の売り上げがあったら、スイッチ式にできるんじゃないかな〜。

長くなってきたので、一旦ここで終わりにします。続編はまた後日改めて。

ではまた、ごきげんよう。

安希

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1件のコメント

  1. 面白かった!!!はらはらしました!!よかったいい人で!!65歳知らなかったことが多すぎる

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