217.チップとサービスと、私の年齢。(ボストン)

皆さま、こんにちは。
安希@ボストンのカフェからレポートしています。昨晩から降り出した雪が歩道脇に雪山を作り、今もまだ雨交じりの雪が降り続いています。長靴とレインコートがないと、外へ遊びに出ることができません。朝目覚めてから、何度も窓の外を確認してあれこれ予定を考えてみましたが、この天気では外に出ても楽しくありません。そしてようやく昼前になって、諦める決心がつきました。残念ですが、外に行くのを諦めたら諦めたで、なんだかホッとしました。

今回の旅行は、初日からずっと天候に恵まれ、地元の人でさえ「やっと春が来た。今年一番の晴天!」と目を輝かせるほどの好天が続いたおかげで、遊びすぎたのかもしれません。久々にホテルの中に閉じこもり、ベッドに寝転んで本を読み、昼寝をしたら、ブログを書くことを思いつきました。(笑)中途半端に雪が止むより、今日は一日、ずっとこのまま降り続いてくれたほうが良いとさえ思いますね。

さて、今日はチップと年齢について書いてみようと思います。

■ チップを払う価値について

アメリカで良いサービスを受けたければ、それに見合う対価を支払わなければいけません。個人的には、アメリカのチップを払うシステムがずっと好きではありませんでした。日本にはチップを払う習慣はありませんが、客に対して良いサービスを提供するは当たり前のこととされています。そういう文化で生きてきた人間にとって、チップを払う文化の良さは理解しがたいものがありました。飲食店などで、まったく良いと言えないサービスを受けた場合でも、10%くらいのチップを置かなければいけない制度には不服でした。そして、『金』で買わなければ良いサービスが受けられない、という考え方についても・・・。要するに、店員たちはサービス業についているのに「金がもらえなければ、客をもてなせないのかい?」と。

ただ、今回の旅行で、チップを払うちょっとした価値を初めて発見したように思います。もちろん、金と身分と格差階級の社会の中にいてこそ感じる価値だという点では、それを純粋に良い経験とすることもできないのですが、それでも、この旅行では何度か気持ちよくチップを払ったし、「チップをはずむ」という経験をしました。

では、チップにまつわる良い思い出がなかった昔と今で何が違うのか?はっきりしているのは年齢だと思います。年齢には、いろんなものがくっついてきます。まず見た目がもう若くはありません。身に着けているものも、少し違うのかもしれません。出入りする店も、オーダーの内容も、それから自分がまとっている雰囲気もたぶん、少し違うのだろうな、と思います。

とりわけ高価なものは、何一つとして身に着けていないし、相変わらずパソコンや書類がはいったバックパックを背負っているのですが、入店した時から、若い店員たちの対応がとても良い気がして気持ちがいいのです。この10年で、アメリカの店員教育が著しく進んだとも考えられないので、たぶん、「私の見られ方」が少し変わったのだろうと思います。つまり、「丁寧な対応をすればきちんとその対価を払いそうな客に見える」のだろう、と。

振り返ってみると、かつて有名ブランド店で販売の仕事をしていた時に、同じような目で客を見ていたことに気付きました。客の年齢や雰囲気で、どんな客なのか、どういう購買行動をとる人なのかを見極めていたように思います。むやみにお金を使う客が良い客だったわけではなく、欲しいものをきちんと探し当てて、その対価を支払い、そのプロセスを手伝った店員(私)に、気持ち良い空気を残して店を後にする。そういう客がいました。もちろん、ブランドショップと飲食店を同列で捉えることはできないと思いますが、あのころ直感的に感じ取っていた「良い客」の資質を、おそらくは自分自身も、年齢とともに少しだけ身に着けつつあるのかもしれない、と思います。

それから、数日間の滞在でしたが、南部のジョージア州でも最高のサービスを受けました。南部特有の保守的な土地柄や歴史的文化の中に残された「古き良きアメリカ」のマナーのようなものを、随所に感じました。(南部の歴史や現状の解釈については、まったく新しい発見がありましたが、ここでは割愛。)もちろん、カリフォルニアのカジュアルさや無茶ぶりだって大好きですが、南部独特の落ち着いた雰囲気もまた良いな・・・と。お世話になった家族のステータスの高さや、連れて行ってもらった店のレベルがどこも高かったことも要因の一つですが、「最高のサービスを受けてチップを払う」という行為を、初めて深い文化の一部として実感できたように思います。10年前の若造だった頃に、ではお金を積んで、高価な衣服で着飾り、そういう店に出入りすれば、よいサービスを受けられたか?といえば、おそらく答えはノーでしょう。その場にある会話や料理、雰囲気そのものを愉しめるようになるために、歳をとらなければいけなかったし、その間に積まなければいけなかった(テーブルマナーの勉強などとは全然違うタイプの)経験があるのだと思います。若い時は若いときで、ワイルドで、理不尽に扱われ、それはそれで面白かったけれど。(笑)

明日の夕飯は、ボストンでお会いした夫婦と一緒です。あさっては、10年前に同じ家で暮らしていたインド人のルームメイト(ボストンに来たら、偶然彼女が近くに住んでいることが判明した!!)とランチに行くことになりました。どんなサービスが待っているかは分かりませんが、気持ちよくチップを払えたら嬉しいです。手持ちの服は、相変わらずスニーカーとジーパンですが、それでも薄手のセーターと黒のタートルネック、少しくらい品の良いスカーフを持ってきて良かった、と思います。この3アイテムに活躍してもらうしかありませんからね!

はい。ブログを書き終わってしまいました。
みぞれが雪に形を変えて、激しく降り続いています。
ではまた、ごきげんよう。

安希

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1件のコメント

  1. 始めまして。
    インパラの朝を読ませていただきました。
    感想については、「ほどほど」ということで。
    チップの話、私は数年前、海外旅行をするまで真面目に考えたことはありませんでした。
    海外旅行をして初めてのピローチップに、海外旅行の雰囲気を楽しむ程度でした。
    が、よくよく考えてみるとチップという習慣、なかなか良い習慣ではないかと思います。
    なぜなら低所得の人にノータックスの収入をもたらすからです。
    消費税を含めた間接税が世界一の水準になろうとしている現在、日本でもチップの習慣を根付かせればいいのではないかと思っています。

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