209.北朝鮮に行ってきました。市内編2 
(平壌)

皆さま、こんばんは。
北朝鮮レポートの市内編パート2です。
はやく北朝鮮レポを終わらせて、パーッと遊びに行きたい!(涙)

そう言えば、韓国大統領選が終わりましたね。北朝鮮にとっては、(少なくとも表向きには)ガッカリな結果となったようです。括弧をつけて〝表向きには″と書かなければいけない点が、北朝鮮のどうしようもなく面倒なところでして・・・。その辺りの事情も含め、市内観光の話を続けていきたいと思います。

■ ギャグか本気か?

平壌到着の翌日は、朝から市内観光で大忙しでした。まず、金日成、正日の二人の銅像がある有名な広場へ献花に行きました。
「共和国の偉大な指導者様に、どうしてもお花を捧げたいのです!」と申し出たところ寛大にも受け入れられ・・・、というのはもちろんウソで、「献花してください」と言われたので、いやなこったい、と思いました。
「お花はどうしても買わなくてはいけませんか?」とさりげなく訊いてみましたが、「はい、金日成主席、金正日総書記にご挨拶しにいきますから」と大真面目に返されると、もう言われる通りにするしかなく、心ではしぶしぶ、表向きには真面目に、献花することになりました。

しかも、連れて行かれた花屋さん(一組だけ突然出没した路上の花売り)で花束を買うのは、他でもない私です。だいたい5ユーロですが、私は中国の元で支払いました。50元支払って、10元のおつり。はい、そうです。北朝鮮では両替はできないので、外国人は全て外貨で支払いを求められます。日本円も使えなくはないですが、おつりはユーロか元で戻ってきます。私は元をいっぱい持っていたので、支払いは全て元で済ませました。

自分が崇拝していない独裁者のために花を買うというのは、本当にアホらしい気持ちになります。忌々しいというべきかもしれません。それに、金親子によって苦しめられたり、殺されたりした朝鮮国内の人たち、脱北者たち、それに日本や他の地域から拉致された人たちの苦しみを思うと、本当に、本当~に、なんでこんな花まで買わなアカンねんアホか!って心の底から思いましたが(また関西弁になるおばちゃん)、何か所作に不備があったりして、変に怪しまれても困るので、うやうやしく献花し、そして銅像に向かって黙礼。はぁ・・・ため息が出ますが、それもこらえて・・・。

次から次へと献花に訪れる人々。金親子、慕われてるんですね~。(本気かどうかは謎)            ちなみに、ブルーの制服は、交通整理係の印です。

厳かな雰囲気の中で黙礼をし、偉大な指導者たちの足跡と国に残した遺産について説明を受けると、なんとなくこちらまでそういう気分になってきます。周りの人たちは、真剣そのもので、本気で金親子を尊敬している様子なので、自分の心の中とは言え、不謹慎なことばかり考えてもいられないし、私までが、金親子の偉大さを理解しなければ・・・、真剣に頭を垂れなければ・・・という気持ちになってくる。周囲の想いに合わせようとする、ある種の心理的な協調作用というのでしょうか、ことのほか真面目に金親子の武勇伝に聴き入ってしまったり・・。不思議ですよね。

でもこういうことって、何度も経験したことがあります。例えば、宗教を信仰していなくても、モスクや教会や寺院に行くと、妙に厳かな気持ちになって、周りの信者の気分を害さないように、できるだけ同じような振る舞いをしよう、こちらの誠意が伝わるようにしよう、と思ったりする。それと少し似ていると思いました。アウェー(人の縄張り)に行くと、本能的な保身作用によって、マジョリティに同化し、受け入れてもらおうとする欲求が高まるのかもしれません。

ただ、金親子の銅像がモスクや教会や寺院と違うのは、崇拝している〝像”が(イスラム教は偶像崇拝していないですが・・)、つい最近まで生きていた人物の再現版であって、しかも〝像″がテカテカ、ケバケバしていて、しかもその〝像s″が親子で、お世辞にも美しいと形容できる容姿ではなく(例えば、イエスキリストなんかは、サマになっている)、そして極めつけは、その〝像″が2体ならんで満面の笑みを浮かべていたこと!!(二重あご)

いや~、不思議な気分でした。人々の崇拝ぶりは、本気なのか、ギャグなのか。尊敬しているのか、バカにしているのか。なんか、時々ワケが分からなくなるんですよね。教会やモスクだったら、明らかに厳かな雰囲気があるし、みんなが心から真剣に祈っている(崇拝している)ことが分かりますが、金親子の銅像の前にいた時は、現実かウソか、本気がギャグか、分からなくなっちゃうことがありました。やっぱり本気だった気もするけれど・・・、でも、この銅像は、ギャグでしょう!本気でこんな銅像、作らないでしょう!いやでも、本気かなぁ・・・。分からない・・・。 とにかく写真をじーっと見てみてください。 あとは、各々の判断に任せます。

金親子の銅像。二人とも、笑ってるんですよね。 顔をじーっと見ていて、ふと、マンガか何かで見たことあるな・・・と。どのマンガの誰だったか思い出せなくてもどかしいけど、もし思い出せた人がいたら、コメント欄に投稿してください。

■ あれはヤリですか?

銅像のある広場から大同江を挟んで対岸には、チュチェ思想塔があり、その前に革命同志たちの像がたっています。そのバックに、社会主義国ならではの道具を形どった像がありました。一つは鎌、もう一つはハンマー、そしてもう一つ真ん中に、何かが突き立てられているのが見えましたが、おばちゃんにはそれが何なのかが、最初は分かりませんでした。鎌とハンマーは、知っていました。というのも、旧ソ連の国を旅行中に、ロシアの友人が教えてくれたからです。『鎌は農業、ハンマーは工業を意味していて、農業と工業を推奨し、労働者を激励している』と。なるほどね~、社会主義ってそういうことなんだね~、と思って以来、覚えていたわけです。でも、北朝鮮のマークはちょっと違っていたのでガイドに訊きました。

「鎌とハンマーは分かりましたが、あの真ん中に突き刺さっているのは何ですか?」
「何だと思いますか?」
「え~っと、ヤリですか?」
「ヤリじゃありませんよ。筆です」
「ああ、筆ですか。私はてっきり戦闘用のヤリかと思いました」

私が、ソ連の国旗には鎌とハンマーしかなかったと言うと、ガイドは言いました。
「そうです。ソ連の社会主義は、労働だけでいい、考えたり勉強しなくてもいいと言っています。でも共和国(北朝鮮のこと)の社会主義は、労働だけではなく、学問にも励みなさいと、そう金日成主席が指導してくださいました。新しく国ができて、どういう風にやっていこうかと議論したときに、ソ連は昔からいたインテリを排除しましたが、金日成主席は、インテリは国のシステムが社会主義になってもきっと役立つからと言って残すことにしたのです。ですから、私たちには、強力な農業と、工業と、学問、その3つがあります」
「なるほど・・・」

やっぱりあれは、ヤリなんじゃないか・・・と。

■ 金日成、この人は英雄です。

次に、金日成の生家を見に行きました。貧しい家庭に生まれた金日成が、日本軍のひどい仕打ちに耐え忍び成長して、やがて抗日戦争で英雄となるまでのお話を聴きながら、再現された昔の家と暮らしを見学。他のツアー会社に付き添われてきた、ロシア、中国、オランダなどの旅行者などが集まっていて、狭い一区画で鉢合わせ。みんな同じツアーコース(つまりは、金親子の偉大さを確認する巡礼コース)をぐるぐるぐるぐる回っているだけなので、鉢合わせします。ガイドさんも、毎日のように同じ説明をさせられて、さぞ退屈だろうと思ったら、日本語のガイドさんに「英語も分かるんだったら、あっちのグループについていってください」と言われ、英語ガイドが率いるオランダ人グループに混ざって話を聴くことになりました。

内容は、日本は酷いな~、でも金日成はそれにもめげなかったな~、という話でした。

一通り話を聴いてみた感想として、金日成の功績は讃えられるべきものだろうな、と思いましたよ。以前のレポートにも、人民が崇拝しているのは、建国の父である金日成であって、その息子の正日ではない、と書きましたが、金日成は確かに英雄です。生い立ちから建国までの道のりを客観的に見て、確かに英雄だ、と感じました。ただし、建国から先の権力の維持拡大、そして独裁主義や世襲政治、国際社会での孤立、社会主義の破綻へと繋がっていく影の部分については、隠ぺいされたままです。

■ はい、ここで写真を撮ってください。パシャ!

今回の旅行では、行程が全て決められていたわけですが、写真を撮るタイミングも決まっていて、それが妙におかしかったです。普段、自由旅行しかしたことがないおばちゃん、しかも、石碑や銅像や歴史建造物系は、もう見飽きて見飽きて、写真なんて絶対に撮らない、というおばちゃんにとっては、モニュメントの前で「はい、ここで写真を撮ってください」と言われて、石碑なんかにおとなしくカメラを向けて、観光客らしく、しおらしく、パシャ・・・っとやるのは、かなり新鮮なロールプレイ(笑)でした。

銅像も、石碑も、金日成の生家も、はいはい、撮りますよ~、興味ないけど、撮りますよ~~。(笑)

続きはまた次回。
ではでは、ごきげんよう。

安希

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3件のコメント

  1. こんにちは。父子の像の表情を見て思いつくのは「マイキー」かなぁ。父母息子がマネキンで、表情全く変わらずシュールな会話劇してるテレビ番組。レポート面白いです。暮れ年明けぐらいは、ささっと書いてパーッと遊んでください!

  2. 安希さん、はじめまして。私は子供(高校生を3人)を持つオッサンです。元々本はかなり苦手で、マンガとエロ本(失礼しました!)くらいしか見ませんでした。しかし最近になって、会社にいってもあまり仕事がなく、スタンバイの日々が多くなって、色々な雑誌を読む様になりました。あまりにも暇で、長く読める面白い本て、無いもんかなぁ?と、思っていた所に、ある戦場カメラマンの(バレバレですが)海外の色々な話の本が目にはいりまして、思い切ってかってみました。それが思いの外、面白くて、あっという間に読みきってしまいました。元々バイクの旅が好きなのでハマる所があったんてしょう。そこから、嵐よういちさんの「ブラックロード」シリーズにハマってしまいました。いい加減、読み尽くしてしまい、また本屋さんに探しに行ったとき、安希さんの「インパラの朝」を目にしました。何かインテリぶった感じの姉ちゃんで、駄目かなぁ?!と思いつつ、立ち読みで1分ほど読んだだけで「これはいけるかも?」と、期待半分でレジに向かいました。会社で読み出すと
    、ガッツリハマッてしまい、読み終わった日に「食べる」も買っちゃいました!その頃にはすっかり私は「本好き」になっていた様です。ま、かなり好き嫌いはありますが・・・そんな感じで本を好きにさせてくれた渡部陽一さん、嵐よういちさん、そして中村安希さんが大好きになりました。また色々な楽しい本を創ってください。待っています。長文になっちゃってゴメンなさい。

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